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アートからどうやって写真を学ぶのか?〜岡本太郎がくれた写真作家としての転機〜

いつもありがとう、藤澤一です。

昨年の夏、衝撃を受けた展示がある。

『展覧会 岡本太郎』。岡本太郎の幼少期から晩年まで、代表作からこれまであまり注目されてこなかった晩年の作品なども紹介し、その芸術人生をたどる大回顧展だ。

大阪中之島美術館、東京都美術館、愛知県美術館と、日本の三大都市を巡回したので、観にいった人もいると思う。

僕は写真活動において、写真からのインプット以上に、芸術や映画・小説などさまざまなカルチャーからのインプットが大切だと考えている。

今回のnoteでは『展覧会 岡本太郎』を観て、僕が何を感じたのか?写真作家活動にどう活かそうと思ったのか?を伝えたい。

岡本太郎に学ぶ写真において大切なこと、そして写真作家としての芸術展の見方の参考になれば幸いです。

◾︎岡本太郎の印象

岡本太郎といえば、どんな印象を持っているだろうか?

僕はまだ芸術に詳しいわけではない。恥ずかしながら岡本太郎のことも「太陽の塔」「なんか派手で奇抜だけどそんなに好きじゃないかな」くらいに思っていた。

そんな中、なぜ本展を観に行ったかというと「なぜ日本の芸術家の中で、世界で最も評価されているのかを知りたい」と思ったからだ。

1964年の東京オリンピック参加メダル、1970年の大阪万博のシンボル太陽の塔。日本に最も勢いがあった高度経済成長期を象徴するオリンピックと万博というイベントのシンボルを、どちらも岡本太郎が手掛けている。

評価されるものには必ず理由がある。そして観に行った結果、最も好きな芸術家は岡本太郎になった。

実は今日も岡本太郎×TANG TANGのTシャツを着ていたり。今年買ったお気に入りだ。


◾︎『展覧会 岡本太郎』を観て感じたこと

大きく2つある。

まず、岡本太郎は"芸術家"である以上に"思想家"だということ。

そして、「何かある一つのものを表現し続ける」という選択肢に気付けたことだ。

僕にとっては、このどちらもが今後の作家人生において転機になったと言えるほどの衝撃だった。


◾︎"芸術家"である以上に"思想家"

太陽の塔には4つの顔があることをご存知だろうか。

頂部にある「黄金の顔」、正面にある「太陽の顔」、背部にある「黒い太陽」。そして長年謎に包まれてきた第4の顔「地底の太陽」。

そしてそれぞれの顔が「未来・現在・過去」を意味している。

ここで重要なのが、この岡本太郎の「太陽」は、この太陽の塔だけで表現されたものではなく、長年に渡り様々な作品で表現されてきたものであり、「太陽」には様々な意味づけやメッセージが込められていること。その集大成の一つがこの太陽の塔だと僕は感じた。

そこには、「人生はこうあるべきだ」という激しい炎のような人生観や、社会問題への強いメッセージ性が込められている。

そして、岡本太郎が今もこれだけ多くの人に支持されるのは、この岡本太郎の思想・人生観・生き様に強く共感し、「岡本太郎の作品に触れれば前向きになる・自分自身も人生に熱く挑戦的になれる」といった意味付けが最も大きいと感じた。

『自分の中に毒を持て』という本を読んだことがある人はいるだろうか。岡本太郎の思想・人生観にエネルギーをもらえる本なので、ぜひ読んでみてほしい。


◾︎ 「何かある一つのものを表現し続ける」という選択肢

これは僕が写真作家であるからかもしれないが、大きな衝撃だった。

写真作品を作り続けていると、つい「まだ撮ったことがないもの」「したことのない表現」を求めてしまう。一度撮ったものや場所、した表現は陳腐化してしまう感覚がどこかあった。

岡本太郎は「太陽」というものを、数十年に渡り表現し続けていた。お恥ずかしながら展覧会の前、全くと言っていいほど岡本太郎に詳しくなかった私は、太陽の塔以外にも多数の作品に太陽が描かれていることに強く衝撃を受けた。

「太陽」というものを数十年に渡り表現し続ける中で、例えば「黒い太陽」など様々な太陽の表現・解釈が生まれた。

また「太陽」以外にも「リボン」「赤」など数十年に渡り表現し続けたテーマが多数ある。

常に新しいものを生み出し続けるのも一つだが、作家として・思想家としては、人生観をもとに何かテーマを決めて、一つのことを表現し続けるのも重要だと感じた。

これも『太陽』を描いた作品の一つだ。


◾︎岡本太郎に学ぶ、僕の作家人生

何度もnoteに書いた通り、僕の人生における理念は「深く・広く人に幸せの影響を与える」である。

そのために、僕も岡本太郎のように「フジさんの写真に触れたり手元にあれば前向きになれる・エネルギーが沸いてくる」と言ってもらえるような存在になりたい。

僕と直接話した時、何かの企画に参加してくれた時、その人が前向きになったり幸せのきっかけを作ることができる自信はある。

でも、僕がいない時、自分一人で自分と・人生と向き合う場面になった時、僕と直接会ったことがない人にも、そんな前向きや幸せになる源泉のような存在になりたい。

UVERworldの歌詞でとても好きなフレーズがある。「悲しい過去を忘れさす歌じゃなく、悲しみに立ち向かえる歌を」白昼夢という曲の一節だ。

僕もそんな存在になれるよう、僕は写真を通じて表現したい。『展覧会 岡本太郎』を観て、そう強く感じた。

みんなも、ぜひ写真以外のいろんな芸術に触れてほしい。そして「その作品が好きか・美しいか」だけでなく「なぜその作品を作ったのか」「作家はどんな価値観・人生観なのか」という視点で芸術を見てみてほしい。

きっと何倍も芸術を見ることが楽しくなり、自身の人生や写真活動においてもきっかけが生まれるはずだ。

僕はこれからもあなたに「幸せのきっかけ」となれるような作品作りや、企画などの機会を作り続けていく。ぜひこれからを一層楽しみにして頂けると嬉しいです。

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