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 昨日はやたらと忙しかった。なぜかクレームの電話が多かった。突然忙しくなるといつも思い出すことがある。コンビニのレジの行列だ。

 わたしは、長いことコンビニで働いていたことがある。いろいろな立地のコンビニで働いた。駅前、ビジネス街、住宅街、街道筋、商店街。コンビニは取り扱っている商品はほぼ同じでも、来店するお客様が違うから品揃えが変わる。お客様の来店状況は、ビジネス街にあるコンビニであれば、土日は閑散とするし、お昼になると昼食を買いに近隣のビジネスマンで店内が溢れるほど混む。駅前立地のコンビニであれば、朝、夕、電車が止まる度にレジに行列ができるし、住宅街のコンビニはのんびりしていて、店内が混んでごった返すこともなくばらばらと1日中、来店する。街道筋にあるコンビニであれば、休みの早朝にこれからおでかけする人たちが車の中で食べるおにぎりなどを買いにくる。それぞれの立地によって、店内が混雑して、レジに行列ができるのはわかる。そういうレジの行列ではなく、レジの行列のでき方は、どんな立地のコンビニであっても共通する行列のでき方がある。

 一人が並ぶと、必ず行列ができるのだ。

 他の仕事で忙しいときに限って、今まで誰もレジに行かなかったのに、一人がレジにいくと店内にいた人たちがこぞってレジに並ぶ。コンビニでは少数精鋭で店を回しているから、レジ、品出し、事務など仕事は多岐にわたる。今、レジに並んでほしくないなあと思っていると必ず誰かが並ぶ。一人だけ精算して、今のやっている仕事に戻りたいなと思っても、店内で買い物をしているお客様が全員と言っていいほど並ぶから、一人の精算だけでは終わらないのだ。
 この行列のでき方、観察していると、コンビニに限らず、ドラッグストアやスーパーでも同じような現象が起きる。

 コールセンターの仕事をするようになって不思議だなと思うのは、電話が鳴らずに今日は暇だなと思っていても、1本電話が鳴ると、どんどん電話が鳴り出すのだ。コンビニのレジならまだわかる。誰もレジにいないときに並ぶのは気が引けるというのもあるだろう。誰かが並ぶとそれにつられてしまうというのも理解できる。しかしだ。コールセンターの電話は、電話の先にいる人たちは日本全国どこにいるかわからない。誰が電話をしているのかなんてわからないはず。それぞれが、それぞれの時間で電話をしているはずだ。お昼休みに電話が集中するというのなら理解できる。そうではない。1本の電話をきっかけでそれから突然電話が鳴り出すのだ。不思議である。

 コールセンターは、電話が集中した時間帯の全ての電話を受けられるように人の配置を決めるわけではなく、1日全体の電話の件数を元に人の配置を決める。電話が集中した時間帯で人の配置を決めたら、それ以外の時間帯で手持ち無沙汰のオペレーターにかかるコストが膨大になるからだ。

 わたしのいるところでは、オペレーターの間での会話に暗黙の了解がある。「今日は暇だね」などいう会話はしないことだ。オペレーターは経験的に電話が鳴らないとか暇だとか会話をすると、その会話がきっかけで1本の電話が入るとわかっている。

 この現象は科学で説明がつくのだろうか?

 

 


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