2023.08.19 高井神島

計画

 2022年4月から、就職で愛媛県に住むことになり県内の地図を眺めていたのだが、「離島巡りが楽しそう」と思ってフェリーでしか行けないような離島に行く計画も立て始めた。魚島(上島町)や日振島・戸島(宇和島市)などに行くことを考えていた。
 行き方を調べたが、同じ県内であるのにもかかわらず片道4時間半だった。1泊2日は最低でも必要だ。カレンダーを見るとちょうど8月19日、20日が空いていた。
 その前の週まで北海道を100km/日ペースでずっと走り回っていたのもあって、もうガッツリ走る自転車旅はしばらく休憩したい。その状況に、あまり自転車で長距離を走らなくても良い離島旅はちょうど良かった。

(電車)松山7:23→今治8:27

 松山から今治まで予讃線普通列車のサイクルトレインに乗車。乗車時間は1時間ほど。

🚲今治駅→今治港

 JR今治駅に到着し、改札からそのまま自転車を押して出る。外に自転車を停めて、コンビニで食料を買い込む。この日は素泊まりで宿を予約しているので、8/19昼食~8/20朝食まで、今治市内のコンビニで買うか上島町弓削港のデイリーヤマザキで買わなければ、食料がない。常温で保存できるカップうどんなどを買った。
 その後で今治駅のパン屋さんで朝食。アイスカフェオレもパンも美味しかった。駅のトイレに行き、そこから港に向かう。

 側道から信号がわかりにくい交差点があった。

(高速船)今治9:50→弓削10:57

 9:50に今治港を出発。芸予汽船の高速船で弓削港へ。

 出発。1時間ほどの船の旅。

 自転車は外に積載することとなっているのだが、荷物は客室内にすべて入れる必要がある。そのため、慌てて荷物を外して持ち込んだ。バイクパッキングのグラベルロードではやや面倒。

 船内は空いていて、3列の席を1人で使えた。

 宮窪町(大島)の友浦港に寄港。

 木浦港に寄港し、再び出発。

 佐島港を出発。この次は目的地の弓削港。

 弓削大橋の下を通る。

 10:57 弓削に到着。弓削港で30分乗り換え待ち。

 魚島方面の切符を買う。自動券売機で買うことができる。

(高速船)弓削11:27→高井神11:57

 魚島行きの船が来た。こちらも高速船タイプだが、自転車は船の後方にある貨物室の中に入れることになっている。

 橋を潜って南へ。

 高速船はとても早く、あっという間に橋が遠ざかっていく。40km/hくらい出していた。

 船名は「ニューうおしま」という。

 出発から25分で高井神島が見えてきた。左端に集落が見える。

 集落周辺を除き、人工物をほとんど見かけない。思っていたより到着が早く、おにぎりを食べている途中だったが慌てて下船の準備をし、荷物をまとめる。

高井神島 移動経路

高井神島:旅客船待合室

 11時55分に高井神港に到着。125ccの原付に乗った住民の方が来て、島を観光する際の注意点を聞いた。人口7人(2023年)、全員が高齢者(最年少で72歳)のこの島にはエンジン付きの乗り物は3台しかない(軽トラ、125cc原付、ショベルカー)が、そのうちの1台。

 高井神島の住民はすべて港周辺の集落に住んでいる。他には集落はどこにもない。

 待合室には以下のものがあった。離島のフェリー乗り場であるが充実した設備。ただの「待合室」にとどまらず、町役場の出張所代わりの役割もあるようだ。
・時刻表と運賃の表
・テレビ(自由につけて良い)
・トイレ
・エアコン(昼間はついている)
・自動販売機(四国本土と同じ価格:DYDOのもの)
・レンタルビデオ返却ボックス(町営のレンタルビデオサービスあり)
・行政サービスの申込書等

高井神島:公民館南側へ

 準備完了。自転車で島を見て回ろう。…と思ったが、よく考えると走れそうな道が港周辺を除きほとんどない。自転車は押し歩きで徒歩で回るしかない。

 高井神公民館。「アートの島」で知られる高井神島ではここにもイラストが描かれている。

 公民館の南側には細い道がある。SUPを楽しんでいる人たちがいた。島外から来ている若者のようだ。この人たちに数時間後、再び会うこととなる。

高井神島:集落~灯台

 集落の南端にある細い道を通り、灯台に向かう。この道はGoogle Mapsには記載がなく、地理院地図を見る必要がある。

 ゲートが現れる。このゲートはイノシシから地域住民を守ることを目的としており、開けたら必ず閉めなければならない。

 集落を一望。島に平地がほとんどなく、この角度から撮影すると山の中にある集落のようにも見える。島の東側の急斜面に人が住んでいる。

 急勾配が続く。押し歩きで進むが、カメラ関係などの荷物が重くてなかなか進めない。

 少し開けたところから海を眺める。

 隣の島、豊島(とよしま)も見えた。ここは無人島ではあるが美術館があるとのことで、いつか行ってみようと思う。

 1921年に設置された高井神島灯台。かつては人が住んでいて、管理していた。今ではもちろん無人であり、今治海上保安部が管理している。
 標高100mほどの場所にあった。トンボが多く飛んでいた。

高井神島:灯台~関道神社

 来た道を戻って神社へ向かう。

 関道神社に到着。

 境内にはトイレもあるのだが、使っていいのかわからない。自然に還ってしまっていた。左には和式便器があるのだが、扉が開かなかった。

 神社にお参り。

 ナタオレノキは愛媛県内では珍しく、高井神島でしか自生しない。

 崩壊した建物もある。人口7人、全員が高齢者というこの島では維持も難しくなってしまっているようだ。

高井神島:関道神社~集落

 右側に道が見える。ここから高井神島の最高点にある展望台に行けるようだ。

 「一周遊歩道」という名前がついている。

 最初は道も歩きやすいのだが…

 途中で倒木によりこの先に進むことは断念。

 集落の手前まで戻ってきた。現在休校中の高井神小中学校が見える。

高井神島:集落内散歩

 ゲートを閉めて集落の中へ。

 急斜面を下っていく。

 空き家を利用したイラスト。

 高井神島の漁港。

 集落の中に入り、高井神診療所へ。

 急坂を登って学校に向かう。

 高井神小中学校に到着。2017年度弓削小学校6年生児童によって作成された「かみじま事典」によると、ピークでは80名の児童生徒が通っていた。中学校は2004年から、小学校は2008年から休校しているが、14年間休校扱いで廃校とはなっておらず、正式に廃校となったのは2023年3月のこと(出典:上島町HP)。校舎は1階建て。

 ブランコはそのまま残っていた。

 校舎を上から眺める。カーテンが破れていた。

 坂を下っていく。

 島で唯一の民宿「なたおれの木」。この島に来るまでは民宿があるということは知らなかった。島には食料を買う店がないため、食料は弓削や今治で買って持ってくる必要がある。

 「ざわ…」。

 高井神公民館をバックに自転車を撮影。

 港から見える建物はすべて壁にイラストが描かれている。少し昔のアニメや漫画のものが多く、20代の自分は知らない作品が多かったが、上の世代の人たちからは懐かしさを感じると思う。

 写真を撮っていると松山から来たという人に話しかけられた。大学の研究関係で来ているのだとか。

 港の反対側も撮影していた。左側に見える陸地は広島県福山市周辺と思われる。

高井神島:突然始まったBBQ

 松山から来たという人に「今からBBQをするけど来ない?」と誘われた。そこで、当初乗る予定だったフェリーには乗らず1本遅らせ、高井神島で夕食。
  松山から来た人、東京から上島町のとある島に移住した人、高井神島に住んでいる人、東京から盆休みで里帰り中の人…といろいろな人がいて楽しかった。

 肉や魚などとても美味しかった。鯛の塩焼きは暑い中1日中動き回った後にはピッタリ。

 これは高井神島で唯一の自動車(軽トラ)。自動車はあるが、走れる幅の道は港周辺のわずか200mほどしかない。それでも、荷物の運搬には必要なのだろう。

 この日は魚島まで船で移動するだけなので、酒も飲む。

 美味しそうな匂いだったのか、犬も寄ってきた。

 楽しく話していたら19時前。日が暮れていく。自転車は持ってきているのだが、今治駅~今治港の連絡を含んでもこの日の走行距離はわずか3kmだった。ほとんど歩いていた。一応「自転車旅」ではあるのだが…(走れる道がなかった)

 19時を過ぎて暗くなってきた。

 星が綺麗。

 船の時間が近づいてくる。いよいよ魚島へ。

(高速船)高井神20:15→魚島20:27

 住民の方に「そろそろ時間だよ」と言われて待合室へ。楽しい夏の思い出になった。

 しばらく待っていると船が来た。12分乗船し、この日の宿泊先である魚島へ。魚島に帰省する、という人が多く乗っていたように思える。

 20:27 魚島到着。

 住民の方にも話しかけられ、「松山から来ました」と言ったら「ずいぶん遠くから来たんだね」という反応だった。ここも愛媛県ではあるが、この辺りでは松山といってもかなり遠い街のように認識されているようだ。

魚島観光センター

 5階建ての島で唯一の宿泊施設、「魚島観光センター」へ。2023年現在ではスリランカ人が運営しているが、日本語が上手だった。

 中学校の頃の部活の合宿を思い出した。こういうホテルに泊まっていた。

 部屋の中は和室、テレビや電気ケトルがある。素泊まり1泊4400円、普通の民宿だった。まず風呂へ行ったが、熱すぎて入れずシャワーのみで上がった。

魚島:夜の散歩

風呂上がりの散歩。島で唯一の売店に魚島のポスターを発見。

 タバコ200円の古い自販機。もちろん稼働はしていない。

 ここは船の待合室として使われており、島で唯一の自販機もある。

 高速船は魚島港で夜間滞泊する運用のようだ。

 少し港周辺を歩くが、本土から遠く離れた離島とは思えないビルの高さ。かつての魚島村役場はなんと5階建て。

 「魚島観光センター」に戻って夜の魚島港周辺を眺める。

 この日は11時就寝。楽しい離島巡り旅だった。明日は朝起きて魚島を自転車で一周しよう。

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