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卵管造影検査と喫茶店のモーニング・前編 ー不妊治療エッセイ②

今日も今日とて不妊治療。

最近、会社の帰りに不妊治療クリニックに通ってるのか、不妊治療クリニックに通うついでに会社に行ってるのかわからなくなってきた、などと大袈裟なことを言ってみるものの、初めて不妊治療クリニックの門を叩いて約一ヶ月しかたっていない。ただ、その支出は確実に我が家の家計を苦しめていた。


前回noteに書いたフーナーテスト後も、週1~2で婦人科に通いつめ、高温期、低温期採血などを行ってきた。自費検査も多く高額な会計が続き、うっかり手持ちがなく初めて病院でツケ払いをするという経験を経て(厳密にはまだ払っていない)、私も不妊治療クリニックに馴れ、初心者マークは外れたのではないかなどと自負する。いや、まだまだこれからなのだ。道のりは長いぞ。おこがましい。


さて、こうして基礎検査も終わりかけ、夏のボーナスから引き落とした5 万円も底をつきかけた8月の終わり。


ついにやって来た。
痛いと有名な、卵管造影検査。


◇◇◇


提携先の「産婦人科」でないと卵管造影検査を行っていないというので、不妊治療クリニックから徒歩5分ほどの距離にあるその病院に入る土曜の朝9時。広い。新しくてきれいだ。


なにより驚いたのが、空いていること。
いつも行ってる不妊治療クリニックは、土曜の朝となると待合室も満員なのに、この産婦人科は2、3人しかいない。シックな色のソファが並べられた待合室と、ウッド調の受け付けカウンター。がらんとしたその空間にぽつんと座る、場違いな私。たまたま今日は空いているのかもしれないけれど、産みたいひとはあんなにいるのに、産めるひとはこんなにも少ないのか、となんともいえない気持ちになる。


やがて次々に入ってくる妊婦さんたち。
うーん、これは精神的に来る。
いまこの産婦人科にいるのは、私以外みんな妊娠している女性なのだ。私もこの病院にいることで、妊娠中だと思われているのだろうか。変に誤解されて否定する元気はいまの私にはないから、お願いだから知り合いは来てくれるな、と祈りながら、ばつの悪い気持ちを奥歯に噛みしめ順番を待つ。旅行雑誌などを読むが頭に入ってこない。これからかかる不妊治療の費用と、この楽園リゾートに行く費用、どっちが高いんだろうなどと考える。


そうしているうちに、やがて順番を呼ばれる。不妊治療クリニックと違うのは、本名フルネームで呼ばれること。あっちは番号札制だ。


まずは医師の診察があり、これから受ける検査の説明を受ける。だいたいインターネットで情報収集済だったが改めて真剣に聞く。子宮に管を通し、風船で蓋をして造影剤を入れる検査です。文字にするとすごいことだよね。そりゃあ痛いでしょう。


さぁ、いよいよ検査だ。

後編に続く。

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