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宇宙の世界へようこそ①「地球・金星・水星」

地球は2100年代の太陽系において最も豊かな経済圏となっているが、少なくない資源を宇宙に頼っている消費社会でもある。そして人口減少と資源枯渇に対して無人化と宇宙資源と新技術で補填できる先進国と、技術開発に遅れた発展途上国の間には格差が残っている。

地球温暖化については核融合炉や原子炉など脱炭素電源の実用化により現状維持しつつ、二酸化炭素回収によりある程度のコントールが可能になり一定の解決を見た。産油国はプラスチック材料としての石油需要を満たしつつ、豊富な太陽光で生産したアンモニアや人造石油などクリーン燃料の輸出に切り替えた国が多い。地球と宇宙をつなぐオービタルリングについて、アースポートは政治的トラブルを回避すると同時に船舶による大量輸送を行うため公海上に設置されることが多かったが、輸送需要増大と赤道諸国の安定化によりアフリカや南米への設置も始まった。

またオービタルリング防衛を目的とした後進国支援の活発化や、豊富なエネルギーと宇宙資源により地球上での深刻な戦争は激減している。しかしリン資源の海水回収は採算が取れず、特に鉄・銅・白筋・金・亜鉛などは火星や小惑星の鉱床に依存していること、地球社会の効率的運営に必須のコンピュータも生産設備や重要原材料を宇宙に依拠していることなどが安全保障の観点から指摘されている。

主な輸入品は大口径半導体Siインゴット・コンクリート用の砂・リン鉱石・ヘリウム・各種希土類元素
主な輸出品は知的財産・保険商品・金融商品・核燃料・窒素・水・ソフトウェア・コンピュータ・量子演算素子・核融合炉・常温超電導線材・各種メタマテリアル・食品
軌道利用状況は高度100kmから宇宙空間・高度120~250kmにオービタルリング関連施設・高度300~1000kmに低軌道コンステ衛星・高度1万kmにスペースコロニーが少し・高度2万kmに測位衛星(GPS)・高度3.5万kmに通信や気象などの静止衛星・高度38万kmに月

金星は基本的に資源惑星であり植民は進んでいない。理由としては地表付近は約450℃ 90気圧と非常に過酷な環境であり、人間や機械を金星地表面に投入することがほぼ不可能だからである。そのため二酸化炭素(金星大気の90%)と窒素(金星大気の3%)といったガスや硫黄などをオービタルリングによって汲み上げて輸出している。なお高度50km付近では気温気圧ともに地球表面とほぼ同じになるため、居住空間や研究施設やガス採掘拠点などがある。

水星は太陽に近いため表面温度が400℃にもなり地上拠点の建設が難しく、また水星から他惑星への移動に太陽の深い重力井戸の底から登る必要があるため輸送コストが高くなる。そのため鉱物資源の輸出コストにおいて火星や小惑星帯に敗北しているため開発が全く進んでいない。深宇宙に依存しないヘリウム3の鉱床として期待されている。

参考資料
・EU重要原材料リストと行動計画(英語) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52020DC0474
・資源枯渇リスク(NIMS) https://www.nims.go.jp/research/elements/rare-metal/probrem/dryness.html
・アナログハック・オープンリソース:宇宙利用-地球圏 https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/35.html
・アナログハック・オープンリソース:宇宙利用-地球圏以遠 https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/40.html
・地球(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83
・ヴァン・アレン帯(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B3%E5%B8%AF
・スターリング衛星(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
・GPS衛星(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/GPS%E8%A1%9B%E6%98%9F
・静止軌道(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%99%E6%AD%A2%E8%BB%8C%E9%81%93
・ラグランジュ点(英語wiki) https://en.wikipedia.org/wiki/Lagrange_point
・月(wiki) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88
・金星(英語wiki) https://en.wikipedia.org/wiki/Venus
・金星の大気(英語wiki) https://en.wikipedia.org/wiki/Atmosphere_of_Venus
・大気採掘(英語wiki) https://en.wikipedia.org/wiki/Atmospheric_mining
・火星の燃料用の一酸化炭素(英語フォーラム) https://forum.nasaspaceflight.com/index.php?topic=21544.0;all


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