見出し画像

4TEEN(海埜ゆうこ)

石田衣良の同名小説を、海埜ゆうこが漫画化。仲良しのブロガーさんに教えてもらって、早速、買ってみた。
拒食と過食を繰り返す中学生・ルミナが、なかなか魅力的に描かれてる。
たとえば「月の草」という章。彼女が自分(正確には、自分を含めた子供たち)を(大人という)太陽なしでは輝けない「月」にたとえる場面があり、このくだりは、すごくいいと思う。
痩せ姫の魅力って、月の光に似てるから。あくまで受け身の輝きなのだけど、太陽みたいな押しつけがましさがなく、神秘的で、変幻自在で、心に沁みてくるような儚い美しさ。
ただ、プロの漫画家をしても、その魅力を具体化するには、限界があるのかな、という気もした。Uー30(ルミナの場合は、150センチ25キロ)の痩せ姫って、もっと細いし、しかも、せつなくなるほどの可憐さがあるから。
それとも、そういう痩せ姫を、もっと迫真的に描いた場合、大多数の人は、そこに痛々しさしか感じず、漫画のヒロインとしては成立しなくなるのだろうか。
ただでさえ、太陽タイプの女性がもてはやされがちな今、痩せ姫に限らず、月タイプの女性は生きづらいのかもしれない。

(初出「痩せ姫の光と影」2010年9月)


14年前に書いた記事では、ルミナが目標体重の25キロを切り、念願のワンピースを着てみせる場面の絵を紹介した。これがやや物足りなくて。でも、今回、トップ画像にした腕の絵(この時点で体重は28キロ)はかなり真に迫ってると思う。ちなみに、食べてるのはカロリーメイト。「私、ダイエット中だから暗くなったらなにも食べないんだ」「あと、ビタミンをいくつかとカルシウムと鉄分」という台詞がある。なお、この作品については痩せ姫本でも引用させてもらった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?