見えない涙~「アオゾラペダル」

「アオゾラペダル」(嵐)のビデオクリップが、感動的な理由。最大のツボは、ヒロインの佐藤ありさが泣くシーンにある。
といっても、涙は映らない。告白が実らず、それでも平静を装いながら、仲間との花火に参加していたものの……自分の線香花火が消えた瞬間、こらえきれなくなり、首を落とし、泣き崩れるような仕草になる。そのまま、泣き崩れてる彼女を、女友達が、肩を抱き、髪を撫でたりして、慰めるだけで、流れているであろう涙は、最後まで映らない。
原案を担当した二宮和也のアイデアなのか、演出家のプランなのか。いずれにせよ、効果的なシーンだと思う。
それにつけても、自分は女の子の涙が好きなんだな(苦笑)。以前「アイドルと涙」というテーマで、コメント仕事をした際、竹内結子が「あすか」で流した涙をベストシーンに推したことがあり、その後、彼女が涙の似合う女優としてブレイクしていったことが、ひそかな自慢だったりする。
竹内といえば、映画「星に願いを。」を妻と観に行ったとき、あとで「どのシーンがよかったか」という話になり、僕が「竹内が泣くシーン」妻が「吉澤悠が泣くシーン」を挙げて「結局、異性が泣くのを見るのが好きなだけじゃないか」と、笑い合った思い出も。
涙の数だけ強くなれる、かどうかはわからないけど、涙の数だけ、女の子は綺麗になれる気がします。

(初出「痩せ姫の光と影」2010年9月)


この10年後の9月に、竹内結子は亡くなったんだな。この記事を書いた以降の活動だと「真田丸」が印象的。三谷幸喜がメンヘラ性を盛り込んだ「茶々」像を、彼女が見事に体現していた。三谷もきっと、ああいう亡くなり方をするとは思っていなかっただろう。

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