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桜といえば西行だ

桜には物狂おしさがある。

春風の花を散らすと見る夢はさめても胸のさわぐなりけり
                        西行

この歌は、まさしくその心境をうたったものだ。

幽玄とはこのことなのだろうと思う。

夜桜に誘われると、どこか知らぬ世界に迷いこむような気がする。

西行の歌にもそれと同じ力があるようだ。

心がいつもざわついてしまう。

短い言葉の羅列が、自然の様子、人間の怪しい心を表現していることに、驚いてしまう。

果てしないほどの過去の事象が、今に蘇るのだから、不思議なものだ。

西行は真言宗の僧侶だった。

真言宗では、月は仏の心を意味する。

西行は月を恋人にたとえて、歌っている。

出家の説はいろいろと憶測があり、本当のところはわからないが、待賢門院璋子との身分違いの恋が原因で、西行は出家したともいわれている。

彼は月にその想いをたくしたのだろうか。

許されざる恋心、桜、月

しばし時を忘れて、想いは千路乱れる。


待賢門院璋子 鳥羽天皇の皇后
       西行より17歳年上


作品掲載  「小説家になろう」
       華やかなる追跡者
       風の誘惑      他

      「エブリスタ」
       相続人
       ガラスの靴をさがして  ビルの片隅で

 


   


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