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ひかるおうち

お片付けの仕事でいろんなお家にお邪魔するようになったけど、ざっくり分けて3タイプのお家があるなーと感じている。

・カオス型

分かりやすく散らかっている。ひたすら物が多く、いわゆる足の踏み場もない状態。

・情報過多型

パッと見は片付いている。が、実は書類などの「体積は少ないけど情報量の多い不要品」が引き出しや棚の中に潜んでいて、脳の容量を圧迫している。

・気に入らない型

パッと見は片付いている。が、一つ一つの家具や小物をあまり厳選せず、間に合わせで買ってしまったものが多いため、視界に入るものがいちいち「気に入っていない」ということが地味にストレスになっている。

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先日お邪魔したお家は「情報過多型」だった。

おしゃれな広い高級マンションで、家具も全てセンスが良く、床に置いてあるものも、テーブルの上に出ているものも一切ない。パッと見かなりきれいで片付いている。だけど依頼主さんは「片付けられない!」と混乱して体調まで崩してしまったそうで、緊急のご依頼だった。

どこが一番モヤモヤするか伺って、書斎から始めることにした。まずは棚に入っているものを「本」と「その他」に分けて床に全部出していく。

まずはゴチャゴチャした「その他」から着手。

この方はファイルにたくさんのレシートを保管していた。そして数冊の家計簿と、家計簿のつけ方にまつわる数冊の本。

結婚して、ありとあらゆる方法で家計簿をつけようと試みたけど、何一つ続けられず悩んでいたのだという。

「家計簿、つけなくていいかもね」と私がニヤニヤしながら言うと「だよね!」と依頼主さんの顔が輝いた。

もう、ほとんど心は決まっていたのだと思う。ほんのあと一押しが欲しかっただけなんだろうな。

家計簿を全部捨て、大量のレシートを全部捨て、クレジット関係のものはシュレッダーに。家計簿にまつわる本は全て古本屋行きの山に。

家計簿のつけ方、手帳の書き方、ノートの取り方などなど。いろんなメソッドがあるし、活用できる人は大いに活用すればいい。

だけど「どんな方法であれ、やること自体がストレス」というタイプの人はいる。そういう人はシンプルに「やらない」のがベストだ。

次に細々した書類。たくさんのいらない書類があった。もう家に存在しない電化製品の説明書、期限の切れた保証書、ねんきん定期便、給与明細、過去の通帳、もらった手紙、年賀状など、ガンガン捨てる。

お土産でもらったけど気に入っていない微妙な小物などもありがとう&さようなら。

さて、残るは本の整理なのだけど、この方かなり思い切りが良くて、サクサクサクサクと半分くらいの本を「手放す山」に仕分けてしまった。

なるほどなるほど。一見ほとんどが真新しいきれいな本で、視覚的にゴチャついた感じは受けなかったけど、この方にとってはどうやら「買っていつか読もうと思いながら読めていなくてストレスになっている本」や「一読したけど別にさほど気に入っていない本」が多かったのだ。

造り付けの棚と本棚、の2箇所に分散していた本が、あっという間に「本棚だけ」におさまる量になってしまった。

ガラガラになった造り付けの棚には「保管する必要のある書類」のファイルと文房具だけを収納。

本棚には残った本を、私がサイズとジャンル別に配置を考えながら並べさせていただいた。並べ方がしっくり来なかったら後で入れ替えてね、と言いつつ。私はこの、本を並べる作業がけっこう好きだ。

(余談だけどサイズが独特すぎる本は単体で見るとオシャレだったりするけど、並べた時に変に飛び出したりしてストレスになるので嫌いだ。横に長い本とかね。。本はぜひ定番のサイズで作ってほしいと切に願っている)

書類と本の取捨選択・収納が完了したら、マンションのゴミ捨て場に大量のゴミを運び、古本屋さんに買い取りの申し込みをし、あとは家具の配置を少しだけ変えて終了。ここまでで5時間だった。

家計簿がムリ!とか、情報過多が強いストレスになるあたりから言っても、この依頼主さんは私と同じADHDのケが強い方だと思われる。

ADHDあるある、の話でも盛り上がったのだけど、我々の共通点として「時間の見積もりが甘い」というのがある。

頭が多動なので「ああしてこうしてそうやって」と頭の中でシミュレーションするのだけは素早く、実際に手足を動かしてそれをやるとどれぐらい時間がかかる、というのがイマイチ掴めていない。

この日は書斎だけで終わったけれど「キッチンもクローゼットもいけるかなとか思っちゃったよね!」と依頼主さんは笑っていた。

私は仕事でたくさんお片付けをしているので、さすがに何となく実際の作業時間の予測はつくようになったけど

「思ったほどできない」「モノの次元を動かすのは頭の中よりだいぶ時間がかかる」のですよねー、ADHDのみなさん!

パッと見は元々片付いていたお家なので、カオス型のお家に比べると視覚的な変化はさほど大きくなかったけれど、依頼主さんは相当ストレスが消えたようで本当に喜んでくれた。私も嬉しかった。

そして私が帰った数時間後、帰宅した旦那様がものすごくびっくりしていたと報告が。

そう、情報過多型のお家で、視覚的にそんなに変化が大きくなくても、帰宅したご家族がびっくりするという報告をよくいただく。

なぜかご家族は一様に「空気がキラキラしている」とか「部屋が光ってる」みたいな感想を漏らすらしい。面白いねー!


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