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右?左?詰める?~エスカレーター論

先月新潟から大阪へ引っ越して(戻って)きて、もうすぐ1か月経とうとしています。時の流れは速いもので…でも16年も住んでた新潟=東日本の癖は、なかなか抜けませんね。コンビニのレジで「すいません」と店員さんに声を掛けるアクセントが標準語だったり(笑…気付いて恥ずかしくなるんですよね。焦ってコテコテの大阪弁アクセントに戻したりしてね)。もう1つが、エスカレータです。乗り込んで無意識に左手が左の手すりに行っちゃいます。慌てて右側へ立ち直す事がたびたび。治すのには暫く掛かりそう。

そんな中、間もなく終わりますが…こんなキャンペーン記事がTwitterのTLに流れてきました。

全国の鉄道会社共同のキャンペーンだそうです。
今月末で終了するそうですが…大阪メトロの駅を使っててても、全く気づきませんでした。エスカレータは歩かず、片側を空けず、並んで立ち止まって乗りましょうよ…という啓蒙のCPだそうです。
でも、駅員さんが拡声器を使って呼び掛けたり、歩く人を注意したり、並び直させたり…なんて様子は全く見ませんでしたよね。結局、関係各団体でも諦めてるんでしょう。でも何もしないと外野からヤジが飛ぶので、一応やってますよ…という姿勢だけは見せておこう…的な物と思います。

どうですか?首都圏の皆さん。新潟の皆さん。少しは改善しましたか?してませんよね(笑)。そりゃそうです。だって皆んな思ってますよ。「無理っ」て。治りようが無いんです。何故か。
そもそもエスカレータという乗り物が遅いから。

デパートや郊外のショッピングセンターのエスカレータを思い出して下さい。結構な確率で、立ち止まって乗るお客さん、左右横に並んで立つお客さんに遭遇しますよね。基本、左右どちらか空けますが、歩く人は、鉄道駅に比べると少ないでしょう。何故か?急がないからです。

そう。駅のエスカレータを使うお客は急ぐ人が多いんです。あの、エスカレータの速度では遅いんです。いや、遅く感じるんです。遅く感じるからイライラするんです。だから歩くんです。
でも、あれ以上エスカレータの速度を上げると多分転倒事故が多発します。乗り降りする際、もっと速いと危険です。あの速度が最も適しているから、あの”遅さ”である必要があるんです。
でも、みんな歩くんです。先を急ぐから

では東日本で「右」、西日本で「左」を空けて立ち止まって乗る人たちは?
怖いんです。面倒が嫌なんです。
左右埋めて立ちたい人も居るでしょう。でも、そうすると、急ぐ人が下から「どけ」という圧力を掛けてきて怖いんです。癖の悪い人だと、わざと肩で突き飛ばしてくるかも知れません。こちらがコケて怪我するのは嫌です。怒鳴られて周囲の冷たい視線を浴びるのも嫌です。ストレスです。避けたい。だから縦一列に並ぶんです。

つまり、長年掛かって成立した”暗黙のルール”なんです。
今更、いくら啓蒙しても無くなりません。人間社会とはそういうモノです。すべての人の行動には理由が有ります。多くの人で形成された”しきたり”を破るには、先ほど出たようなストレスや勇気、反論するだけのしっかり確立された理論武装が必要です。日常生活の中で、それだけのリスクを負える人なんてごくごく僅かじゃないでしょうか。

そう、あるべき姿と…今ある姿は、別物です。

あるべき姿が実現する…それは「理想」です。
でも、なかなか理想の社会は実現しません。
エスカレータを取り巻く環境は、それです。人間社会の縮図です(笑)。

もし鉄道各社やエスカレータメーカーが”本気”で改善したいなら、人々へ啓蒙する”以外”の方法も考えるべきだと思います。
例えば…
”いらち”専用高速エスカレータ(笑)とか…
ステップ各所の角張った部分を丸めて金属以外の柔らか素材で構成した「人にやさしいエスカレータ」とか…
ステップを大きくして、階段状じゃなく「ゴンドラ型」にした”歩けないエスカレータ”とか…
何がしかの新たなエスカレータ像を提案すべきだと思います。

思い返せば…エレベータは、子供の頃から数十年で、高速化、ボタンの押しやすさ、通過階の分かり易い表示など、さまざまな改善がなされてきました。でもエスカレータは、ココ数十年、特に変わった部分って無いですよね。階段状で左右にゴムの手すりが付いていて、ゆっくり上下する。ステップ部分は金属製で角ばっていて、細かい溝が沢山付いていて、縁の部分は黄色い警戒色で色分けされていて…昔から変わらないスタイルです。何故なんでしょうね?YouTubeで、海外等で将棋倒し事故の映像を見たり、上下交互に飛び移って悪さする奴の映像を見たり…トラブルも起こりがちですが、パッと見て「なんと!」と驚くような新しいエスカレータを見た事は無いです。途中踊り場付近で平たんになってまた上昇するとか、真っすぐじゃなくカーブを描きながら上がってゆく…という”移動上の工夫””設置上の工夫”をした構造的な開発はされても、「今ある=立ち止まる人と歩く人が共存する」しきたりを踏まえた新規開発は、見た事が有りません。

物は”人に使われて”ナンボです。その為に改良されてゆきました。
クルマなんて、運転者がハンドル持たなくても勝手に走ってくれる時代が訪れようとしてるのに…。

どうです?エスカレータも”人に合わせて”進化する時代、とっくに来てるように思うんですけどね。そもそも、エスカレータのステップが金属のままで角が立ってるまんまなのは、何故なんでしょうね?ちょっと知りたいです。

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