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② キャリアと出産のダブル時限爆弾に詰められる笛美。

前回、負けられない、愛されねばならない戦いにどっぷり浸かり、会社にしか居場所がなくなっていった要領の悪い笛美。

職場の男性たちは、
かなり女性にモテているようでした。

合コンしてお持ち帰りした話、
夜中に呼び出せばヤらせてくれる女性の話、
デリヘルの話、
遊んだ女の人がストーカーみたいになった話・・

そんな女性たちを笑うことで、
私は優越感を感じていました。

男性の先輩や同僚たちは、
次々に結婚
していきました。

奥さんが家庭に入って、
すべての世話をやってくれるようでした。

結婚しても彼らのライフスタイルは変わらず、
深夜残業をし、
コンビニや外食でごはんを食べていました。

「お前もそろそろ結婚しないとやばいよ」
「女性の独り身は惨めだよ」
「卵子が老化するんだよ」
と言われるようになりました。

卵子の老化のことは20代前半で
よくニュースで言われるようになり、
ずっとそれを気にしていました。

そういう自分はどうなの?と男性に聞くと
「男は30過ぎても結婚できるから
心配いらないんだよ

と言われました。

どうせ女子は辞めるから、
大きな仕事を任せたくない

と言われたこともありました。

そうなんだろうと思いました。

私は結婚する気配もないんですけど?と
言うツッコミは出てきませんでした。

どうやら私は世間で良しとされている
夫婦モデルに、
男としても女としても当てはまらないのでした。

仕事をし家庭を養う男としても不良品で、
ケア労働を担う女としても不良品だという考えが生まれました。

もしも男性としても女性としても
成功したかったら、
20代のうちに何とかしなければならない。

仕事で確固たる地位を築き、
パートナーを見つけて妊娠するということを、
たった数年で
こなさなければ
ならないと思いました。

まるで時限爆弾を突きつけられている
ようでした。

なぜ女性だけが若いうちに出産をするという
責任を押し付けられているのか?

なぜ男性だけが結婚しても子供が生まれても、
ライフスタイルを変えなくていいのか?

もし時間制限がなければ、
どんな生き方をしたかったのか?


そんな発想は出てきませんでした。

時限爆弾を一人で背負いこんだ私は、
30万円を払って
結婚相談所に入会しました。


20代後半のことでした。


黒歴史③ 婚活で、無料ホステス状態になった、広告屋の笛美。