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ろうそくの物語

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キャンドルの物語。 物語の中から出てきたような不思議なろうそくをテーマに 作ったキャンドルから得られるインスピレーションや感じたこと こだわりのポイントなどを物語にしています。… もっと読む
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記事一覧

こちらの世界の月

ドワーフの日記より抜粋 今夜の月がどんな月か、また見に行かねばなるまい。 見事な月に美しいと言わなければ 二度とその色合いを見ることはできないのだから… Ⅰ人間界から来たものが夜空を見上げて初めに驚くことは 月が「2つ」浮かんでいることだ。 たいていの人間が、頭がおかしくなったのかと 自分を疑い、頭を抱えるのを見て いつもこれが普通なのだと説明をしても、にわかには信じがたいという。 あの便利屋が初めてこちらの世界に来た時もそうだった。 当時は人間界で面倒が起きていて

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ウンディーネとジェルのろうそく

一年が終わる日の少し前。 明かされていなかった名前と素性が少しだけわかるお話。 ろうそくの物語は、まだ始まったばかり。 Ⅰ北の魔女のお城には様々な生き物が集まるが、 中でもろうそく作りに興味を持ったのは水の精霊だった。 キャンドルを一緒に作ったり、炎を眺めているうちに 彼女たちはとても仲のいい友達となった。 水の精霊・ウンディーネは、いつも草花に囲まれている魔女の事を とてもうらやましく思っていた。 いつか、自分の住む湖の中でも朽ちることのない 草花が欲しいと願って

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北の魔女のボタニカルキャンドル

こちらの世界の北の果ては いつも氷に閉ざされて それはそれは寂しいものでした。 その奥地にあるお城には それはそれは美しい魔女が住んでいて その姿を見たものは誰もが 心を奪われるという。 そんな魔女とろうそくの話。 Ⅰその昔。 北のずっと奥にある森に一人で住んでいた魔女は お城の周りにある広い森に生い茂る 貴重な植物を摘みに行くのが楽しみでした。 そうして、誰にもその植物が奪われないように 永遠に朽ちることのない魔法をかけて 氷の部屋の中にしまっておくのでした。

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逢魔時

「カシャン」と、ライターの音をさせてタバコに火をつけた。 いつもと同じ変わらない夕方。 思いっきりタバコの煙を吐く理由は、思いっきりため息をつくため。 便利屋の仕事は、今の時代に合っている。 自分の性格にも、生き方にもすごく合っている。 僕は眼鏡を外して、 ぼやけた視界の中でデスクの上にある灰皿に手を伸ばした。 この時間帯はだいたい一人だ。 頭の後ろから差し込む光はだんだんと弱くなり やがて暗闇が訪れる。 案の定、吸い殻で山盛りになった灰皿からは 数本の吸い殻と灰

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ドワーフの鉱物症候群

ドワーフの日記より抜粋 これを「ミネラルシンドローム」と名付けて 少しづつ研究することに決めた。 まずは標本作りをろうそく屋に頼むとするか。 鉱石の採掘も始まるし 忙しくなるな… Ⅰこの世界は広く、まだ全体像の地図は完成していない。 命の続く限りこの世界を冒険し 謎を解明するのが一族の定め。 自ら大賢者と名乗ってはいるものの 自分より知識のある生き物が この世界のどこかにいるかもしれぬ。 その時は潔く 情報を共有し合おう。 そんなことでまた争いが起きてしまっては こ

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ドワーフの焚き火キャンドルⅡ

木の芯から始まる不思議な話 もう少しここにいさせて… 透き通るような声は 店主だけに聞こえているのか 何も気づかないドワーフは 残りの木の板を袋の中に残したまま 研究施設へと帰っていった 私は人魚… 店主は夢中で炎を見つめていた Ⅰその夜。 かすかな物音に目が覚めた店主が 恐る恐る1階にある作業場を見に行くと そこにはいつもの小さな人影が。 ほっと胸をなでおろす店主の吐息に 「なんじゃ、起こしてしまったかの」と ドワーフがこちらに向きなおって言った。 木芯の

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ろうそくの妖精 芯をさけるくん

店主のイマジナリーフレンドの不思議な妖精のお話 助けてよ、誰か そう言っても、暗い空間に ただただ言葉が溶けていくだけ そばでずっと見守っていた 誰よりも一番の存在を 早く思い出してほしかったのに 思い出してくれないなら もう勝手に連れてきちゃうよ こっちの世界に Ⅰろうそく屋の作業場には たくさんのキャンドルが並び その一つ一つに宿っていると言われている 「ろうそくの妖精」 彼らはみんな白くて 頭の上に青い炎を灯しています。 もともとは店主のイマジナリーフレン

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店主の気まぐれグラデーションキャンドル

非日常の世界に住む 引きこもりがちな店主の話 非日常の世界には 星空を作るという仕事があるという。 この世のものとは思えない 美しい星空は、小さなろうそく屋の手から出来上がる。 星空の素を見たくはないか? 誰かがそう囁くと、そこにぽつりと火が灯る。 そこからは嘘か真か 小さな星屑が宙を舞い、暗い空へと姿を消した。 Ⅰ店主がまだ人間の世界で暮らしていた頃 彼はよく 空を見るためにお気に入りの川に行きました。 山の中にあるろうそく屋で 祖母に育てられたその男の子は

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