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ろうそくの物語

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非日常のろうそく屋さんで販売されているキャンドルの物語。 商品説明欄に書くには長すぎる、少しダークでファンタジーなお話。 短編小説メインです。 ファンタジーが好きな方、キャンド…
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非日常の物語【短編小説】

ろうそくの物語店主の気まぐれグラデーションキャンドル ろうそくの妖精 芯をさけるくん まずそうな林檎 こちらの世界の月 北の魔女のボタニカルキャンドル 北の魔女のボタニカルキャンドル2 ウンディーネとジェルのろうそく ドワーフの焚き火キャンドル 焚き火のキャンドルと人魚姫 ドワーフの鉱物症候群 ドワーフの焚き火キャンドル―秋保石のラビリンス― スターダストホリック 黄昏の燭台-たそがれのキャンドルスタンド- 逢魔時逢魔時-1

黄昏の燭台-たそがれのキャンドルスタンド-

人間界と非日常の世界を行き来する 便利屋の昔話 あぁ、降ってきたか。 便利屋が白い息を吐きながら、空を見上げた。 この季節はとてつもなく嫌いだ。早くあっちの世界に逃げるとするか。 鮮明に思い出が蘇ってくる前に、彼は記憶にきつく蓋をして 足早にその場所を後にした。 ポケットの中には冷たくなった思い出の品が入っていて 無意識にそれを握る手に力が入る。 暖かいろうそく屋はもうすぐそこだ。 Ⅰ今日もまた、ろうそく屋の作業場はとてつもなく荒れていた。 人間界が冬になると、ど

星屑の宴【短編小説】

静かな夜空に浮かぶ星たちが こっそりと楽しむお祭り。 火を灯せばそれはそれは美しく 星屑がまるで踊っているかのようなきらめき。 星屑の宴―前夜―今年も妖精たちは コソコソと集めた星屑を瓶に詰めて、 誰が1番美しい銀河を作るのかを競うのです。 判定を下すのはもちろん店主。 ⁡ 今年の夏は、いつもとは違う大きな星が輝くという噂が広がり、妖精たちはその煌めきを逃すまいと今夜も夜空を飛び回るのでした。 ⁡ 今回妖精たちが集めた星屑には 残念ながらその大きな星が入っていなかったよう

ドワーフの鉱石祭り【短編小説】

ドワーフの日記より抜粋 先日の地層調査にて、興味深い鉱物を発見した。 名前がつけられて人間の世界へと広まっていった クリスタルやゴールドとはまた違う 様々な物質が地層から出てきた。 これは土なのか、石なのか。 透明感のある部分もあるが 真っ黒な物質が混ざっている部分もあり 非常に興味深い。 新しい地層から採掘をして 成分を調査しようと思う。 欠片を分析するため、少し削り、形を整えた。 今回は研磨せずに、より自然に近い形での標本とする。 分析が終わるまで厳重に保管す

スターダストホリック【短編小説】

一度見たら忘れられない、店主が作った星屑を 欲しくて欲しくてたまらなくなったら あなたはもう「星屑中毒」このろうそくの虜。 Ⅰこちらの世界の食べ物を口にすれば、 モノが発する声を聞くことができるようになる いつかドワーフのレリオンがそんなことを言っていたなと思いながら 店主は便利屋が作っていった卵サンドを口に運んだ。 店主のおばあちゃんのサラは、こちらの世界ではずいぶん慕われていたようで。あのサラの孫が星屑を作っているという噂はすぐに広まった。 ところが今の店主に

店主の気まぐれグラデーションキャンドル【短編小説】

非日常の世界に住む 引きこもりがちな店主の話 非日常の世界には 星空を作るという仕事があるという。 この世のものとは思えない 美しい星空は、小さなろうそく屋の手から出来上がる。 星空の素を見たくはないか? 誰かがそう囁くと、そこにぽつりと火が灯る。 そこからは嘘か真か 小さな星屑が宙を舞い、暗い空へと姿を消した。 Ⅰ店主がまだ人間の世界で暮らしていた頃 彼はよく 空を見るためにお気に入りの川に行きました。 山の中にあるろうそく屋で 祖母に育てられたその男の子は

ろうそくの妖精 芯をさけるくん【短編小説】

店主のイマジナリーフレンドの不思議な妖精のお話 助けてよ、誰か そう言っても、暗い空間に ただただ言葉が溶けていくだけ そばでずっと見守っていた 誰よりも一番の存在を 早く思い出してほしかったのに 思い出してくれないなら もう勝手に連れてきちゃうよ こっちの世界に Ⅰろうそく屋の作業場には たくさんのキャンドルが並び その一つ一つに宿っていると言われている 「ろうそくの妖精」 彼らはみんな白くて 頭の上に青い炎を灯しています。 もともとは店主のイマジナリーフレンド

まずそうなリンゴ【短編小説】

便利屋が店主の手伝いをするきっかけになったお話 Ⅰ ろうそく屋の店主が暮らす小屋は、人里離れた山の中にあった。 自らを大賢者と名乗るドワーフのレリオンと 背の高い便利屋のサトウがろうそく屋に現れて 星空を作る者と呼ばれた店主は その生き方もいいかと気持ちを切り替えて せっせとろうそくを作っていた時。 便利屋が、部屋中に無造作に置かれたキャンドルを見て これをどこかに売りに行かないかと店主に持ち掛けた。 材料となるロウは昔おばあちゃんが使っていたであろうものが 物置に

こちらの世界の月【短編小説】

ドワーフの日記より抜粋 今夜の月がどんな月か、また見に行かねばなるまい。 見事な月に美しいと言わなければ 二度とその色合いを見ることはできないのだから… Ⅰ人間界から来たものが夜空を見上げて初めに驚くことは 月が「2つ」浮かんでいることだ。 たいていの人間が、頭がおかしくなったのかと 自分を疑い、頭を抱えるのを見て いつもこれが普通なのだと説明をしても、にわかには信じがたいという。 あの便利屋が初めてこちらの世界に来た時もそうだった。 当時は人間界で面倒が起きていて

北の魔女のボタニカルキャンドル【短編小説】

こちらの世界の北の果ては いつも氷に閉ざされて それはそれは寂しいものでした。 その奥地にあるお城には それはそれは美しい魔女が住んでいて その姿を見たものは誰もが 心を奪われるという。 そんな魔女とろうそくの話。 Ⅰその昔。 北のずっと奥にある森に一人で住んでいた魔女は お城の周りにある広い森に生い茂る 貴重な植物を摘みに行くのが楽しみでした。 そうして、誰にもその植物が奪われないように 永遠に朽ちることのない魔法をかけて 氷の部屋の中にしまっておくのでした。

ドワーフの焚き火キャンドルー秋保石のラビリンスー【短編小説】

木の芯から始まる不思議な話―3 ……ン キン… キーン…キン……キン― 甲高い金属のぶつかる音がどこからともなく聞こえる。 入り組んだ洞窟の中に響く音は ドワーフをさらに惑わせ、入り組んだ道へと導いた。 Ⅰドワーフのレリオンは、今日も新しい地層の調査で未開の地を探索していた。栄えている中央地区を出発し、南西の方向へ進む。 しばらく進むと他の地区にもあるような、鬱蒼とした森が現れた。 この森の先は、地図に記されていない土地。 手分けをして土地の調査をする地域と指定され

ドワーフの鉱物症候群【短編小説】

ドワーフの日記より抜粋 これを「ミネラルシンドローム」と名付けて 少しづつ研究することに決めた。 まずは標本作りをろうそく屋に頼むとするか。 鉱石の採掘も始まるし 忙しくなるな… Ⅰこの世界は広く、まだ全体像の地図は完成していない。 命の続く限りこの世界を冒険し 謎を解明するのが一族の定め。 自ら大賢者と名乗ってはいるものの 自分より知識のある生き物が この世界のどこかにいるかもしれぬ。 その時は潔く 情報を共有し合おう。 そんなことでまた争いが起きてしまっては こ

ウンディーネとジェルのろうそく【短編小説】

一年が終わる日の少し前。 明かされていなかった名前と素性が少しだけわかるお話。 ろうそくの物語は、まだ始まったばかり。 Ⅰ北の魔女のお城には様々な生き物が集まるが、 中でもろうそく作りに興味を持ったのは水の精霊だった。 キャンドルを一緒に作ったり、炎を眺めているうちに 彼女たちはとても仲のいい友達となった。 水の精霊・ウンディーネは、いつも草花に囲まれている魔女の事を とてもうらやましく思っていた。 いつか、自分の住む湖の中でも朽ちることのない 草花が欲しいと願って

焚き火のキャンドルと人魚姫【短編小説】

←前の話 木の芯から始まる不思議な話―2 ここにいさせてという声が頭の中をループする。 「私は人魚」 情報はそれだけだ。 あぁ、また何か変な事が起こりそうだ。 こわい、怖い。便利屋もいない… そうだ、さけるはどこに行った? どうしてこんな時に限って誰もいてくれないの。 いつもいつも、どうして一人なの。 Ⅰ気が付くと、僕の呼吸は早くなって うずくまって必死で息をしていた。 耳に入るのは、自分のかすれた呼吸の音。  息ができない これは、人間界にいた時にもなったこ