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【最新号試し読み】月刊不動産流通 24年3月号

「月刊不動産流通2024年3月号」が発売となりました。

その中から、
・特集「カスハラ対処法」
・編集部レポート「ここがポイント!事業承継」
の試し読みを掲載します。

月間不動産流通3月号

なお本誌では、ココロバランス研究所の島田さんがご寄稿くださり、「カスハラの対策」「カスハラにあったときの対処法」についてご解説頂いております。

試し読み①(全文掲載)
特集「カスハラ対処法」

 顧客からの過剰な要求や不当な言い掛かり等により従業員がダメージを受け、業務に支障を来すこともあるカスタマーハラスメント(カスハラ)。
 被害を最小限に抑えるためにも、防策や遭遇した時の対応策を知っておくことが重要だ。本特集では、(カスハラ問題への対応や支援活動を行なっている(一社)ココロバランス研究所・日本カスタマーハラスメント対応協会代表理事の島田恭子氏に、カスハラ発生の背景や企業としての対策などについて解説していただく。また、不動産会社に、実際に遭遇したカスハラ体験や対応策などを聞いた。

(中略)


トイレに閉じ込める、罵詈雑言を浴びせる…。想像絶するカスハラ体験
 


サービス業という消費者からクレームを受けやすい業界、なおかつ、金額が高額で取引への思いが強くなりがち、担当者との関係がそれなりの時間継続する…といったことから、不動産業界はカスハラが発生しやすい下地がありそうだ。どのようなカスハラが発生しているのか、不動産会社に取材をしてみると、胸が痛くなるようなエピソードが続出した。
 

管理外の物件について執拗なクレームと暴言
 
埼玉県久喜市に店舗を構え、賃貸仲介・管理を手掛けるベルデホーム㈱では、オーナー自主管理のマンションを仲介した顧客からのカスハラ被害に遭った。賃貸契約から数ヶ月後、駐車場の出入口に段差ができ、「車の底部分をこすってしまうからその段差を直してほしいとの連絡を受けた。「自主管理物件のため、当社では何もできない。オーナーさんにお願いするようにとスタッフは伝えたのですが、電話をしてもでないとのことで、こちらからオーナーさんに連絡もしました。しかし、オーナーさんが対処をしてくれなかったようです」と語るのは、同社代表取締役の熊切伸英氏だ。「何を考えているんだ、お前の会社は」等と延々と文句を言われ、「当社では管理はしていないのでオーナーさんに言っていただけますか」と説明しても、「怒りがヒートアップしていき、『お前のところが悪い!』と怒鳴られました。しかも、目星はついているものの、相手はかたくなに名前を名乗らない。「お前頭が付いているのか」と罵詈雑言まで浴びせかけられました」(熊切氏)と振り返る。
 

わがままが言える?と度を越した要求も
 
新たに家を建築・取得する場合には、「一生に一度」かもしれない機会に、なおのこと要求が過剰になったり、わがままになったりするのかもしれない。首都圏で分譲住宅や注文住宅の施工・販売を手掛けるケイアイスタート不動産㈱(埼玉県本庄市、代表取締役社長:塙 圭二氏)のカスタマーサービス課で責任者を務めていた石垣德和氏の話も衝撃だ。「引き渡した住宅について『トイレの水が飛び散る』とのクレームが入り、訪問したところ、異常は見当たらず。それを説明しても一向に納得してもらえず、『自分で用を足せば再現できるだろ!トイレに閉じ込められた担当者がいました』(石垣氏)。
 非がないのにもかかわらず、これほどの攻撃を受けるのはたまったものではないが、非があった場合でも、度を過ぎた、いわゆる「ハラスメント」を甘受しろ、というのはおかしな話だ。
前出・ベルデホームでは「『家財保険は義務ですか?』と聞かれたスタッフが、『はい、義務です』と回答。それに対して、必要以上に攻撃されてしまいました。そのスタッフは、『万が一のときに大変な賠償責任が発生してしまうので、加入していただきたいということなんです』と伝えるも、『義務って言ったじゃないか』『上の者を出せ』『なんだお前、その態度は』となかなか話を終えることができませんでした」(熊切氏)。その態度には、言いたいことを言っても許されるのでは、というカスタマー側の甘えが透けて見えるようにも思える。
 ちなみに同社では、来店して怒鳴られるというケースは滅多になく、たいていは電話によりそうした被害に遭うというケースが多いという。…(続く)
 

試し読み②(一部掲載)
編集部レポート「ここがポイント!事業承継」

 経営者が高齢になった、病に倒れた、経営難に直面したなどの事情で不動産会社が直面する事業承継問題。しかし、それを実施しようにも、さまざまな課題に直面してうまく進められないケースも少なくない。本特集では、親子間での承継や、M&Aによる承継など、さまざまなパターンでの事業承継事例を紹介しながら、当事者に円滑な事業承継のためのポイントを取材した。

「誠実で愛される会社に」父の思いを明確化
(有)ニシダハウジング(大阪府八尾市)


中小企業の事業承継で最も多いのは親子間での承継だ。
ただ、承継が約束されている場合でも、親と子の考え方の相違から円滑な承継が難しくなってしまうケースもある。

大阪府内を中心に賃貸仲介・管理などを展開する㈲ニシダハウジング(代表取締役:西田 純氏)は2017年、父の西田久範氏から息子の純氏に会社を承継した。純氏は、東京での刃物製造・販売の大手企業に勤めていたため、いぜんから久範氏は「息子の純が継がないのなら廃業する」と口にしていた。
 純氏は、長年の実績ある同社を廃業するのはもったいないと感じ、12年、いずれは自分が会社を継ごうと承継を念頭に、勤めていた会社を退職して帰阪。父母2人で切り盛りしていた同社に入社した。4年間久範氏の下で経験を積み、16年に社長を引き継ぐ計画だったが、積極的に業務を拡大すべきと考える同氏と、事業拡大には及び腰だった父とで度々意見がぶつかった。「けんかばかりで、顔を見るのも嫌でした」(純氏)と、親子関係は険悪に。ついには社長就任の直前になって父が「社長を任せることはできない」と翻意。社長交代が1年先送りになってしまった。
 
父親が大事にしてきたことを改めて認識
 
そんな事情を、同氏が同業の先輩に打ち明けると「経営理念がないからではないか」と指摘された。早速、久範氏に一番大事にしてきたことを聞くと、「誠実な取引と多くの人に愛される会社であること」という回答が返ってきた。「それが当社の経営理念だったわけです。父の中にはそれがあったのですが、私自身はもちろん家族の誰にも共有されていませんでした。そこでそれを明確化したのです」(同氏)。
そして17年4月に純氏が同社の社長に就任。当初、会社を同氏に承継した後も会長職として残り、経営についてアドバイスしようと考えていたという久範氏。その話し合いの後、承継を果たすとすっきりした顔で、「社長を息子に譲った。完全に引退する」と宣言し、経営から完全に退いた。
「自分が立ち上げて大事に育ててきた会社を、自分の思いまで含めて承継できることが分かり、すっきりしたようでした」という同氏。けんかばかりだった父子関係も改善し、2人でお酒を飲みに行くことも増えた。
 社長就任後、同氏は外国人向けの賃貸仲介事業や、外国人入居に不安を持つオーナーからのサブリースなど、新しい取り組みをスタート。新たに家族以外のスタッフ数人を採用したほか、外国人向け賃貸のために外国人社員も雇うなど積極的に事業を拡大したところ、23年の売上高は承継前の約1.7倍に成長した。「外国人客の要望に沿い、東京の物件紹介も開始しました。大阪と東京を比較すると、東京の方が圧倒的に市場規模は大きい。将来的には東京進出も果たしたい」(純氏)。
 事業を積極的に拡大する一方、リフォーム会社や水道・ガス工事会社、顧問弁護士ら取引先については、父の時代から引き続き付き合いを続けている。「父との個人的な関係から『会社の付き合い』になり、より強固な信頼関係が構築できたと感じます」(同氏)。
 
「理念の承継」ができれば誰が継いでもよい
 
不動産オーナーの多くも事業承継に不安を抱えている。そこで同氏は、一連の事業承継の経験を同社や業界団体の開催するセミナー等でも披露し、「経営理念の承継」の重要性を伝えている。「『何のために賃貸経営という事業を行なっているのか』という理念をはっきりさせ、それを後継者に継いでもらうようアドバイスしています。事業を継ぐということは、資産や営業・経営ノウハウだけでなく、
経営理念を継ぐということ。その理念さえ継ぐことができれば、継ぐ個人は子供でも、社員でも、それこそ他社に売却していいと感じています。このことを説明すると、真剣に耳を傾けてくれます。そこから不動産相談につながるケースもありますよ」(同氏)。…(続く)



その他さまざまなコーナーが有ります

月刊不動産流通2024年3月号」では、この他にも不動産実務に関わるさまざまなコーナーを掲載しています。

・宅建業者が知っておくべき『重説』に必要な基礎知識Q&A 〜建築編
「店舗の利用制限」

・関連法規Q&A
「オンラインによる不動産取引の注意点について教えてください。」

・一問一答!建築のキホン
「角地でも建ぺい率が緩和されるとは限らないというのは本当ですか?」

・不動産登記の現場から
「過去の遺産分割協議について」

・適正な不動産取引に向けて―事例研究
「瑕疵担保免責特約に関して、その瑕疵に悪意の売主の責任が認められた事例」
                             
などなど…

不動産会社の取り組みや、不動産業に携わる方々に役立つ情報を多数紹介。業界の把握に役立ちます。

月間不動産流通3月号 目次

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☎ 03ー3580ー0791

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