不動産投資詐欺にあった話 その1

「ああ、これ騙されたな」

確信に変わったのはごく最近のことです。

そこに至る道のりは、地味で、しんどくて、わかってきた事実は、徐々に私の人生に影を落としていきました。それは、あまりに非日常というか、自分に起こったことだと信じられませんでした。

…数年前、第一志望の上場企業に入社したものの、配属先のほとんどの上司と合わず、適応障害を発症し退職しました。退職する前から、会社には行かず休職していましたが、その頃からよく会っていた社外の先輩に「会社を辞める前に、ローンを引いて不動産買っておいた方がいい」と勧められました。

その先輩もかつては上場企業に勤めており、その時に購入した不動産運用の話を聞くに、月2〜3万円のプラスで、何もしなくても収入の足しになっているとのことで、まあやらないよりはやった方がいいかと、紹介を受けて、先輩が買ったところと同じ不動産会社で物件を買うことになりました。神奈川県の物件で、2LDKで価格が約2800万円、フルローンで月々返済が約11万、サブリースで13万程の家賃収入、というスキームでした。不動産投資に対する知識もほぼなかった私は、まあそんなものなのかなと、買うつもりで、言われるがまま書類を集めたり、サインしたりと手続きを進めていました。

淡々と手続きを進めていたある日、私の学生時代の知人のT氏が登場します。某P生命保険のライフプランナー(営業)であるT氏は、一般の会社に就職後、フルコミッションの保険の営業マンとなり、私の所へも営業に来ていて、既に月3万円くらいの保険の契約をしていました。スマートというよりは熱血漢、そんなイメージの人です。

そんなT氏は、休職中であった私を何かと呼び出しては、保険の営業のために友人知人の紹介を要求してきたり、ネットワークビジネスに勧誘してきたりしてきていました。精神が弱っていた私は、話に流されたり流されなかったりしていましたが、この時も、会話の流れで不動産を買うことになったと言ってしまったのです。その時は「ふーん」くらいで大きな反応もありませんでした。

ところが、後日、T氏からメッセージが来ました。不動産のことで、会ってほしい人がいる、といった内容だったと思います。こうして、私はT氏の引き合いの元、運命のI澤氏と出会うことになります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?