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筆の選び方その2 隠れた良筆!こまよせ筆

一般的な日本の筆とこまよせ筆の違い

筆の先端の形にも、実は種類があります。
一つは、中心に一番長い毛を一本配置し、その毛を支えるように、筆の外側にいくにつれて、短い毛を少しずつ混ぜていくものです。(写真左)
日本の筆の多くがこの形になっており、面相筆などの筆で、とても細い線が描けるのは、筆の中で一番細い部分が、文字通り毛一本分だけの細さになっているからなんですね。
どれぐらいの割合で短い毛を混ぜるかは筆によって違い、短い毛の割合や毛の種類、穂先の長さによって面相筆、彩色筆など呼び名が変わってきます。

もう一つは、筆の毛の先端が全てピッタリ揃っている形のものです。(写真右)
当店ではこまよせ筆、ゴジック筆とも呼んでいますが、元は蒔絵筆によく使われていました。
筆の毛の先端をカットせず、揃えることで作られているのですが、実はこの形の筆は、良質で先の細い毛を使わないと、穂先がきれいにまとまらず、うまく機能できません。
しかし、品質の高い毛を使い、しっかり先がまとまるように作られたこまよせ筆は、一般的な筆には無い描き味と、魅力がたくさんつまっています。
他のお店では見かけることの少ない、丸山雄進堂おすすめの筆です!

一般的な筆とこまよせの筆の違い

こまよせ筆は絵の具の下りがとてもいい!

毛の先端がピッタリ揃っていることのメリットとして、絵の具の下りの良さがまず挙げられます。
こまよせ筆と比べると、一般的な日本の筆の形では、たとえ同じ太さ、同じ長さの筆であっても、筆の先端まで下りていく絵の具の量が少なくなります。
というのは、絵の具は短い毛の先端まで到達すると、その先にはいけないからです。なので、短い毛の量が多ければ多いほど、筆の先端までちゃんと下りていける絵の具の量は、どうしても少なくなってしまいます。

赤の点線が絵の具だとお考えください

赤の点線が絵の具だとすると、先端まで下りていける絵の具の量が、一般的な日本の筆では少なくなる、というのがなんとなくお分かりいただけるでしょうか。
微々たる差かもしれませんが、表現や描き味の良し悪しは、こういった微妙な違いによるところも大きいので、是非一度比べてみてください。

こまよせ筆は細い線も描きやすい!

上の図だけを見ると、こまよせの筆だと細い線が書けないんじゃ?と心配になる方もおられるかと思います。
しかし、実際は、こまよせ筆の方が細い線が描きやすい、とご評価いただくことがとても多いです。

一般的な筆を使用した際のお悩みとしてよく聞くのが、

・一番長い毛の部分が細く出すぎてしまって描きにくい
・毛先がふにゃふにゃしてしまう

というものです。

これらの問題は、筆の先端の毛が少ないことから起こります。一般的な筆の構造上、避けにくい問題ですよね。
これにひきかえ、こまよせ筆は、毛の先端がぴっちり揃っているため、穂先の毛の密度が高く、上記のような問題が起こりにくくなっています。

細い線が描けるこまよせ筆の中で、特におすすめなのは、尖ゴジック筆1号です。毛丈が短いので、筆に慣れていない方でも細かいコントロールがしやすいですよ。
また、短穂のこまよせ筆は、側筆(筆の側面の部分を使う技術)も使いやすくなっています。
なので、尖ゴジック筆が一本あれば、色を塗るときは側筆、細かいところや線描は先端と使い分けることで、塗りにも線にも大活躍してくれますよ。

この絵のように小さな作品は
尖ごじっく筆一本だけで仕上げることもできます。
ポストカード半分ぐらいの大きさの絵です。

太いこまよせ筆では細い線は描けないので、細い線を描きたい時には、細いこまよせ筆をお選びくださいね。

こまよせ筆は塗りにも大活躍!

太めのこまよせ筆は、色を塗る時にもおすすめです。
特に水彩画用によくおすすめする筆に、黒テンゴジック筆3号があります。(こちらの動画でぜひ描き味をご覧ください!)

この筆は、絵の具や水の含みがとても良く、毛も柔らかいので、にじみやぼかしがとても綺麗にできます。
また、描き始めが日本の一般的な筆のようにとがらないので、優しいタッチでの色塗りがとてもしやすいです。
さらに、筆の先を平らにすると、平筆の様にも使えるので、まさに水彩画の塗りにはもってこいの筆になっています。
重ね塗りをする際に、下のレイヤーの絵の具をおこしにくいという点も、ご好評をいただいています。

この筆は太さがあるので、細い線を描くことはできませんが、柔らかく丸みのある線がとてもよく描けます。
テキスタイルや、ポップで可愛らしい文字を書くのにもおすすめですよ。
また、割筆(かっぴつ:筆の先をわざと割って細かい線を描く技術。動物の毛の描写やクロスハッチングなどにおすすめです。)や、点描など、塗り以外の様々な表現にも大活躍します。

本当に使い勝手がよいので、水彩画以外の用途でも、是非お試しください!

こまよせ筆まとめ

こまよせ筆は、絵の具の下りがよく、先端に程よく力があり、太さ次第で線にも塗りにもおすすめできるとても描きやすい筆です。

当店では、

  • 尖ゴジック筆1号 1,100円 (税込)

  • 黒テンゴジック筆3号 1,650円 (税込)

  • 黒テンゴジック筆4号 1,980円 (税込)

  • 黒テンゴジック筆長峰極小 1,452円 (税込)

  • 黒狸ゴジック筆3号 1,332円 (税込)

  • 黒狸金泥 1,290円 (税込)

  • シルバーフォックス線引面相筆極小 1,888円 (税込)

  • シルバーフォックス線引面相筆小 2,308円 (税込)

  • シルバーフォックス線引面相筆中 3,470円 (税込)

  • シルバーフォックス線引面相筆中 超長峰 4,737円 (税込)

  • シルバーフォックス紫軸ゴジック筆 2,200円 (税込)

など、色々な種類のこまよせ筆を取り扱っています。
筆によって、表現の得意不得意がありますので、こまよせ筆にご興味がありましたら、是非お気軽にご相談ください。
店舗では試し描きもできますので、大阪にお越しの際はどうぞ遊びにいらしてくださいね。
遠方のお客様には、筆の発送も承っております!

丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2−6−23
06−6211-6226

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