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遂に浮上した伏竜、事業計画策定支援システムのProfinanSSが狙う新市場とは

皆さんこんにちは。藤原です。今回のスタートアップ取材記事は事業計画策定支援サービス(ProfinanSS)のローンチを発表したばかりの株式会社プロフィナンスを取り上げます。

代表の木村さんは僕の大学の後輩でもあります。それではさっそく行ってみましょう。プロフィナンスは良いぞ。(取材日:2020年1月14日)

この記事の登場人物

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プロフィナンス代表取締役社長 木村義弘氏(上写真)
藤原弘之(質問内容を太字で記載)

産みの苦しみを味わった事業計画策定ツールローンチ

今日はよろしくお願いします。
木村「よろしくお願いします!」

まずはプロダクトローンチおめでとうございます。
木村「ありがとうございます!実は昨年末に藤原さんにデモをお見せしたときは本当にローンチ直前でクローズドβの真っ最中だったんですよ。」

そうだったんですね。開発期間ってどれくらいだったんですか?
木村「2019年の2月・3月にプロトタイプを作りまして、それを元に、7月くらいまでかけてβ版を完成させ、それから2019年末までクローズドβという流れで、全3フェーズで開発していました。クローズドβ期間中にはUI/UXで色んなアドバイスをくれる方も見つかりまして、かなり大きな改善を行いましたね。ほぼフルスクラッチみたいな。」

それは大変ですね。データベースの構造とかも?
木村「いや、DBの構造は同じですが見た目はもうガラッと変わりました。結構な再開発でしたね。とは言え初めからそのつもりではありましたが。実は、一昨年は僕もコードを書いていたんですよ。ただ、サーバーサイドの開発が重くなったときにさすがに厳しくなって外部の力を借りました。」

確かにフロント部分は何とかなってもサーバーサイド、特にDB周りは素人が手を出すと簡単に事故りますから賢明だと思います。
木村「ホント当時はいっぱいいっぱいでしたね。ただ、何とか年末にローンチできましたので良かったです。」

なるほど。そういうスケジュールだったので10月末のVCナイトに来てくれたんですね。確かCoral Capitalの澤山さんとの対談の会でしたか。
木村「初めてお会いしたのはそこですね。それから年末に藤原さんに画面をお見せして、御社のFUNDBOARDと何か連携できればって話を(笑)」

そうでした(笑)。今ってどんな体制なんですか?
木村「内部は僕と共同創業者の安川さんと、あと20代前半の若手の社員が1名で、開発自体は外部の方に手伝っていただいています。」

20代!えらい若いですね。どうやって見つけたんですか?
木村「たまたま出席した異業種交流会で出会いまして。新卒でコンサルファームに入ってご活躍されていた方なのですが、スタートアップに関心が強いということと、すごい仕事ができて丁寧な方だったので、なんとか説得してジョインしてもらいました。今はプロダクトマネージャー的な業務からマーケティングまで、随分細かいところまで見てもらっています。自分で勉強してガンガン吸収するので助かっています。このメンバーがいなかったらぶっちゃけリリースできませんでした(笑)。」

共同創業者の安川さんはどういう方なんですか?
木村「マッキンゼーの東京とシカゴで勤務された後、SoftBankで十数年、孫さんのもと、社長室長として数々の事業の立ち上げを担ってた人です。最近は僕らがプロダクトをローンチしたので、安川さんの人的ネットワークで色んな人にプロダクトを宣伝してもらって、改善のためのユーザーインタビューを企画していただいたりしています。」

結構ガッツリ入られてるんですね。
木村「そうですね。彼はエンジェル投資とか他のスタートアップに対しても様々な支援をやってるんですが、『共同創業者で取締役までやってるのはきむ兄のところだけだよ』って言ってくるので、僕も『そう言うんやったらもっと仕事しなはれ』と言って頑張ってもらっています(笑)。」

そういう掛け合いができる関係は良いですね。
木村「そうですね(笑)。甘えさせてもらってます。ちなみに弊社としては、いいプロダクトを提供し続けるために組織を作ることに注力し始めています。実はエンジニアの方の採用も決まり、さらに組織体制を一緒に考えてくださる人事マネージャーの採用も決まりました。」

それは良いですね。プロダクトのユーザーへの反応はどうですか?
木村「まだ解析している途中なんですが、ユーザー数としては900くらいで、1000ユーザーが見えてきました。」

実際に動いているというか、利用しているとおぼしきユーザーはどうですか?アクティブ率というか。
木村「利用には段階があるんですが、初めに簡易版で3年分の事業計画をざっくり立てた後に、詳細を詰めていくところまで、一通りやってくれている人の割合がだいたい30%くらいというのが体感値です。」

ワーキングキャピタルの増加量も自動計算

BSが出るところまで簡易版でできる?
木村「はい。実は簡易版でもBS、PL、CFが出るんですよ。事業計画の粒度が違うだけなんです。簡易版はプロダクトが一つだけしか登録できなかったり、人件費は一つの給与レンジを設定してざっくり計算したりですね。まずは絞り込んだ数字でざっくり作って頂くことを念頭においてます。」

法定福利費が設定できないとかですか?
木村「法定福利費は自動計算されます。だいたい支払給与の15%というのがモデルを作るときの一つの指標です。詳細版では、例えば職位・役職なんかに応じていろいろ設定できるようになるイメージですね。」

CFまで出るってことですけど、それにはΔWCが必要ですよね。その辺で大抵のファイナンス初心者が挫折すると思うんですが。
木村「例えば仕入があるようなビジネスだったら、原価がどれくらいで、どれくらいの在庫をどれくらいの期間持つのかといった情報が入力できるようになっています。『ワーキングキャピタルの増加量は?』とか急に聞かれても分からないと思いますので、『在庫はどれくらい抱えますか?』と聞いて『2ヶ月間』と入力してもらって、『代金はいつ支払いますか?』で『翌月』といった感じです。」

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確かにこう聞かれた答えられますね(上記画面参照)。これらのデータを使って裏ではΔWCを求めてる。
木村「はい。PL項目だけでなくて、その背景の運転資本など、BS・CF関連項目も自動計算されますので、結果、現金残が計算されます。それで例えば『今の計画だと2年目に資金ショートしますよ』といった警告が自動で出せる訳です。単に成長していけば良いというのではなくて、急成長するほど必要資金が大きくなる。理屈では分かってる人も多いですけど、このように体感値として理解してもらいたいという想いがこのシステムには込められています。」

資金がここでショートするから資金調達額としてこれくらい必要ですという話ができる訳ですね。
木村「はい、このまま進んでもらえると『資金調達』という画面が出てきて、場合によっては資金が足りてなかったりするわけですね。戻ってコストや売上を見直したり、この画面で銀行借入とか増資でキャッシュがショートしないよう設計していきます。」

この資金調達の機能と僕らのFUNDBOARDの機能が将来的に連携したら楽しそうですね。
木村「そうなんですよ!単に資本政策表を作ればよいという話ではなくて、ちゃんと事業計画と連動したものとして作成できますので、そのデータを元に御社のFUNDBOARD for StartupのIR機能に流し込めたりしたら便利だと思っていますので、よろしくお願いします(笑)」

承りました(笑)
木村「FUNDBOARD for Startupのローンチ、僕的にはかなり心待ちにしているんですよ。というのはウチは応援団としての個人株主が多いんです。ファイナンスの専門家としては『株主は少ない方が良いよ』とか言いながら、自分の会社は株主が多い(笑)。でも僕にとっては、知見豊かな応援団の方々ですから、しっかり状況を報告したりアドバイスもらったり頻繁にやりとりしたいので、ここが効率化できたらめちゃくちゃありがたいんですよ。」

(注)FUNDBOARD for Startupは、投資家が使う未公開株式管理ツールである『FUNDBOARD』のスタートアップ版として、この春ローンチ予定です。スタートアップのIR業務における様々なペインを取り除くためのシステムで、基本無料です。現在、事前登録受付中ですので、スタートアップ経営者の方はぜひご登録ください。(下記リンク参照)

ProfinanSSプレミアム版の構想

良い感じに宣伝できたところで話をProfinanSSに戻しまして、今後のプレミアム版の構想を言える範囲で少し教えてもらえたらと思うんですが、時期的には夏頃ですか?
木村「そうですね。夏頃にはリリースしたいです。機能としては、先ほどもありましたが、月次の機能は絶対実装します。他には予実管理であったりとか、あとは簡単な企業価値評価(Valuation)なんかも入れていこうと思っています。」

そうなるとFCFは分かるとしても、WACCをどうするかという話ですね。
木村「WACCはちょっとゲーム性を出そうかなと。WACCにワクワクしてもらおうと思っています。」

それ言いたいだけですよね。
木村「いやいや、結構真面目に考えていますよ。もちろん資本コストを厳密に出そうとすると考えなければならない事が沢山ありますが、米国の論文とかでは、これくらいのステージだったらWACCはだいたいこれくらい、という経験値があるんですね。初めはそれを使っていこうかなと。」

いったんざっくりは出せますと。
木村「そうです。で、サービスを使えば使うほど、その企業価値が上がっていくという仕掛けを、、、ここからは乞うご期待ということで(笑)。もっと厳密に算出したい場合は、その先の有料サービスの一つとして、連携している公認会計士と一緒にValuationするという話に持っていけたらと思っています。最終的にはこのシステム内だけで完結できるのが理想的ではありますが。」

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機能がどんどん増えていくのは楽しみですね。あと海外展開なんかは?
木村「もちろん海外も狙っていきます。実は初めから海外に出すつもりで、当初はこのサービスも英語で作ってたんですよ。管理会計やファイナンスのシステムなので、各国の会計基準に厳密に従う必要がないんです。だから海外展開がしやすいというのはあります。日本発のグローバルB2BのSaaSを作りたいというのは僕の中でずっとありましたし。」

時期的にはいつ頃ですか?
木村「早ければ来年です。プレミアム版で料金をお支払いいただけるという感触がある程度得られたら、すぐにでも海外に出ようと思っています。」

プロフィナンスとしての資金調達はどうですか?
木村「これからガッツリやっていきます!ただ、単に投資というよりは、キャピタリストの方に「自分の投資先に使いたい!」と思ってもらえるようなプロダクトにしていきたいので、その辺の取り組みも一緒にできるVCの方だったら嬉しいなと思っています。」

確かに僕らのFUNDBOARDもVCの方々からはめちゃくちゃアドバイスもらっていて、かなり助かってますからね。
木村「キャピタリストの方も、事業のタイプに応じて注視している財務の数値項目が違うハズなんです。起業家側も投資家に言いたいことを言うというよりは、自社の事業に応じて必ず詰めておかなければならない、言い換えるとキャピタリストから絶対に注目される部分というのが、このシステムを使うことで半自動的に考えられるのでしたら、かなり便利だと思うんです。だから、そのあたりを一緒に考えてくださるVCさんに、ぜひ出資してもらえたらと思っています。」

木村氏のこれまでのキャリア

最後に木村さん自身の話をお聞きしたいのですが、確か大学の学部が僕と同じなんですね。この界隈では滅多に出会わないのでびっくりしました。
木村「はい、大阪府立大学工学部です。確かにこの界隈では出会わないですね。学生当時は絶対すれ違ってると思いますよ。」

僕は97年4月〜2001年3月で、主に4号館でしたけど。
木村「あ、先輩!僕は2000年入学なので、藤原さんが4年生になったときの新入生ですね。僕も同じく4号館なので、絶対すれ違ってると思います。」

卒業後はどういう経緯でこうなったんですか?スタートアップなんてかなり珍しい部類だと思うんですが(笑)
木村「僕はやりたい研究があったので、東京大学の修士課程に進学しました。経営工学に近い分野です。そこを出た後はインスパイアという、成毛眞さんが作った投資・コンサルティング会社に新卒1号として入社しました。そこで最初に担当したのがユーグレナでした。」

それがユーグレナとの接点だったんですね。
木村「そうなんですよ。ユーグレナって面白くて東大と府大の共同研究だったんです。奇しくも両方母校ということで、確か初めての出張が府大でしたね。何かすごく縁を感じて、今でも思い出に残っています。ユーグレナとの関わりが深くなるにつれて、しっかりと資金調達しようということになり、資本政策を作ったり、まさしく事業計画を練ったりしていました。それがかなり大変でしたね。」

あ、なるほど。その経験がこのシステムのベースになってる。
木村「はい、僕も当時はまだまだ駆け出しだったので、PLは何とか分かってもBSやCFを作るのがめちゃくちゃ大変で。このサービスを作る原体験の7割がユーグレナ担当時代から来ていますね。」

そういう体験があったんですね。今日はありがとうございました。今後もケップルアカデミーで講師もしていただきますし、システムの方も色々と連携していけたらと思います。
木村「ありがとうございました。こちらこそぜひ連携をお願いします!あ、同じくnoteで『エモいファイナンス』という連載もしているので、ぜひアクセスしていただけたらと思います。」

(注)木村さんの「エモいファイナンス」は下記にリンクを置いておきますので、ファイナンスにご興味がある方はぜひご一読ください。

株式会社プロフィナンスについて

共同創業者と

株式会社プロフィナンスは、代表取締役社長の木村義弘さんと共同創業者の安川新一郎さんの2名で立ち上げた、スタートアップや事業会社の事業計画をもっとラクにすることに全力で取り組む気鋭のスタートアップです。元マッキンゼーでSoftBank時代には社長室で孫正義氏の右腕も務めた経験がある安川さんの知見をふんだんに活用しながら、代表の木村さんが自らの想いをプロダクト開発にぶつけています。

彼らの新プロダクト"ProfinanSS"は基本機能無料で利用できますので、自社事業の財務計画やキャッシュフロー計画の策定にお困りの皆さん、ぜひ一度アクセスしてみてください。


さて、時間のキリがちょうど良いので今回はこれくらいにして、また次のnoteにつなげていきましょう。良かったらコメント・高評価・チャンネル登録・あとTwitterのフォローをしてくださると嬉しいです。

https://twitter.com/fuddy

では次回、スタートアップ取材記事でお会いいたしましょう。今回はこの辺で。

サポート代は大好きなスタートアップへの取材費に充てさせていただきます