アート靴下〜完成から誰かに届けられるまで
初めてのクラファンに挑戦
パッケージが、靴下最終サンプルが、カードが次々完成して我が家に到着して、待ちに待った製品としての靴下が最初に納品されたのは2023年3月頭でした。
予定より数週間遅れたスケジュールの中で、最初に届けていったのは、クラファンを通じてご支援いただいた方々です。
私たちはこの靴下をつくるという過程をできるだけ誰かと共有したく、あえてクラウドファンディングに初挑戦しました(毎度ながらのチャレンジャー)。
そして靴下の製作費をご支援いただくだけでなく、一緒に誰かのためにしたいと思い、佐賀県内全ての特別支援学校高等部の卒業生へのギフトも目的に。
おこなってみれば、開始から一週間で北は北海道、南は沖縄までまさに日本全国から114人もの方々から温かいご支援を賜り、あっという間に目標額50万円を達成。また靴下製作の過程はNHK佐賀にて長期取材を経て放送いただき、放送中にクラファンが呼び掛けられると、即ご支援が届いたり、リアルでの温度も随所で感じることができたのです。
納品を待って、色々準備はしていましたが、事業所に頼むはずのパッキングは日程的に間に合わず、文字通り家族総動員で異なる内容ごとに梱包していく日々。
お一人ずつに一言ずつお礼のメッセージを書き精一杯の感謝の想いを伝えたかったのですが、準備不足で梱包など反省もたくさん残りました。
それでも、その後知り合う方に「クラファン参加しました!」と言われることが多いこと!知らないところで応援されていたっていうことが、アクションでまたリアルな繋がりを持て、この後嬉しい感激はずっと続きます。めちゃくちゃしんどかったけど(しばらくしたくはないけど笑)とても良い経験になりました。
支援学校への靴下プレゼントにうかがう!
クラファン達成と同時に支援学校への靴下お届けも始まります。全ての学校に自分たちでお届けは叶いませんでしたが(とにかくこの辺りのスケジュールは、ちょっと思い出したくないくらい密でした…)、6校にはfuco:と伺うことができました。
学校によっては卒業前の多忙な生徒さんに直接お渡しできたり、その場で開けてみていただくこともでき、fuco:自身も自分で誰かに渡せたこと、喜んでいただいたことを実感できたのではないかと思います。
私たちがあえて支援学校へプレゼントしたかったのは、いくつか理由があります。
まず同じく支援学校に在籍していたfuco:ですが、在学中には思いもよらなかった現在があり、卒業生の皆さんにもそれぞれの輝かしい未来にエールを送りたかったこと。もう一つはこれから障害があるという場に限定されず販売されるだろうこの靴下を履いて、勢いよく社会に出て欲しかったこと。そこには新鮮でワクワクするような「おんなじ(一緒の靴下ですね)」がきっとあるだろうから。そしてもう一つ、おしゃれすることは楽しいこと、人生が豊かになることだと思うので、このちょっといつもより派手で鮮やかな靴下を履いて出かけてみて欲しかったのです。
生徒さんたちからは「いっぱい履きたい、かわいい、おしゃれ、大事な時に履きたい」とご感想をいただきました。そして、その様子はSNSを通じて支援者の皆様にもご覧いただきました。
先生方には支援学校の卒業生からの寄付というあまりない出来事について、励みになると言っていただいたりずいぶん喜んでいただきました。また、私たちが直接そのご家族からの感想を受け取ることは少なかったのですが、ある支援学校卒業式では、保護者のお祝いの言葉の中で、私たちのこのプロジェクトについても少なからず語られたと聞いております。
この支援学校へのギフトは、一回きりではなくて継続しておこなっていけるいい方法があったらと今も考えています。プレゼントという小っ恥ずかしいことも皆さんと行うことができて、恥ずかしさがだいぶ緩和されました(笑)。
そして、一般販売開始もドラマチックにスタート
アート靴下の配色をしてくださったsocks select shop yockaさんのポップアップから始まりました。いつも思うけど、私たち本当にいつもタイミングがいいんです(笑)。
福岡天神無印という多くの人たちが集まる場所に、アート靴下も連れて行っていただき、更にミラクルなスケジュールで私たち自身もその場に伺うことができました。感度が高い方々が、アクセントになる靴下を一つ一つ吟味しながら選んでいかれる様は、靴下というアイテムの魅力を強く感じる場面です。
この後私たち自身も立て続けにイベント2件に出店させていただきました(これまた人生初体験)。私たちのことを知ってわざわざ来てくださる方も、yockaさんからうちに繋がった靴下好きな方も、いろんな方とリアルでお会いできるのもイベントの醍醐味で、その全てにfuco:も一緒に参加しました。
そのどれもが同じものでなく、規模も場所もすることも違うのですが、その場で必要とされることを彼女なりに受け入れ、試し、楽しんでいけたと思います。
知事への表敬訪問までさせていただく
またデザイナーtuiiのユキさん、イイダ靴下佐竹さんにもお時間をとって同行いただき、佐賀県庁を訪問、知事に直接この靴下制作をご報告させていただく機会もいただきました。
知事室という特別な場所をものともせず、いつも通りガンガン入っていって、勝手に椅子に座る彼女には、その場の誰もがクスリと笑っていました。「皆んなでつくったというのが良いよね」と言ってくださった知事には、その場で履いていただくという嬉しいサプライズまで!
そこで仲間だと思ったのか、その後は写真撮影の時から終わってもしっかり知事と腕を組んだままだったfuco:はやはり最後まで彼女でした(笑)。そして役割果たし率10割選手。
そして、これからのアート靴下!
ここまでのお届けは私たちの「想い」や「繋がり」から始まるもの。ここからが全く未知のコトになっていきます。それは自閉症のfuco:が頑張っているから応援したいという入り方でなく、商品として素敵だから購入したいと手に取っていただくことこそがlaboの目的だからです。
商品説明の企画書を書いて営業に伺うこともあり、彼女と納品に出向いたりして、今ゆっくりと確実に新しい場所で販売され始めたところです。
「履いてるよ!」と写真を送ってくださることもありますし、販売してくださっているショップのスタッフさんからどんな方が手に取ってくださったかお聞きすることもあるし、会う日にわざわざこの靴下を履いてくださる方々もいらっしゃいます。
「なんでこんなに靴下なのに高いの⁈」と今までになかったご意見は、商品そのものとして見ていただいてると嬉しくもありました。
知事だけでなく、佐賀のプロバスケ選手も履いてくださいました。その度にちょっとだけプレゼントした支援学校の生徒さんたちも、どこかで少し意外な誰かと「おんなじ」に出会えたかなと思い出します。クラファンで、店頭で、手に取ってくださった方々もどんな場面でこの靴下を身につけ、どんな1日を過ごされただろうと少し想像します。
その時、彼女のことを思い出すだけでなく、この靴下なんとなくアガルな、気分いいなと思っていただいたり、靴下から新しい出会いがあったりしたら、私たちの作戦は大成功でしょう。
自閉症だから、障害者だからでなく、fuco:が好き、このアートが好き、この靴下が好き、そんなベクトルもあっても良いかなと思っています。
一個人でどうしてこんな難しい挑戦をと我ながら思いたくなる日も勿論ありますが、自分たちだけでは絶対越えられないことは、誰かと一緒に越えていくという楽しみがあると思うことにします(笑)。
この想いのこもったプロダクトの挑戦はまだまだこれから。だからこそ、「このワクワクをご一緒に!」とやっぱり声を大きく言いたいのです。そして、密かにこのアート靴下の企みは静かにうんと熱く進行中。いいご報告ができるといいな!
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