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姫乃たま『アイドル病 それでもヤメない29の理由』読書感想文

 こないだ行ったとあるガールズバーの女の子が、元地下アイドルの姫乃たまさんのファンだったので、「じつは僕、トークイベントで姫乃たまさんと共演したことがあるんですよ! ガチ恋おじさんとして!」とドヤ顔で自慢してしまいました。

 そのトークイベントでは、たまさんがとても優しくて、僕のハイボールのコップが空になるたびにハイボールをつくってくれたので、僕はイベント中にもかかわらずべろんべろんに酔っ払ってしまいました。そのため、残念ながらそのガチ恋トークイベントで何を話したのか、8割がた覚えていません。でもそのイベントに来ていた僕の友人が言うには、「ふちりんさんはイベント中に頭のおかしい言動をしたわけではなかった」とのことなので良かったです。

 トークイベントが終わったあとには、DJイベントがありました。僕は素敵な音楽を聴きながら、姫乃たまさんや、たまさんのファンの人たちと楽しくトレインダンスを踊ったことを覚えています。そのことはなぜか明瞭に覚えています。トレインダンスというのはいま思いついた言葉ですが、幼稚園児がやる電車ごっこみたいなものです。

 そして実は、姫乃たまさんとはもう一度いっしょに登壇したことがあります。姫乃たまさんの写真集『私小説』について、たまさんとスカラベさんと僕とで語り合うというトークコーナーでした。スカラベさんというのは、たまさんのことを大好きなヲタクで、僕の昔からの友人です。僕が梨華ちゃんの写真集でオナニーをしまくっていることから、スカラベさんはこのトークコーナーにふちりんを呼んだのだと思います。

 ここでも僕は酒を飲みまくって、何を話したか8割がた覚えていません。しかし、39歳にして童貞を喪失したことを壇上で報告すると、たまさんと、たまさんファンの方々が「おめでとう!」と祝福してくれたことはよく覚えています。気恥ずかしかったけれど、とても嬉しかったです。

 そんな姫乃たまさんが、新しい著書を電子書籍として発売したことをツイッターで知りました(姫乃たまさんは文筆家としても有名です)。『アイドル病 それでもヤメない29の理由』というタイトルです。

 たしかに、一度アイドルを始めた女の子は、転生を繰り返して長いこと辞めないというイメージがあります。僕は、その理由をぜひ知りたいという気持ちもあったし、たまさんのクールながらも愛のある文章が好きだったし、たまさんのインタビューを受けた29人のアイドルの中によく知っているアイドルがいたので、kindle版を購入してみることにしました。

 僕のよく知っているアイドルの名前は、廻環美(めぐりかんみ)ちゃんです。どうしてよく知っているかはわけあって言えませんが、とにかく知っています。繋がりがあるというわけではありません。ただのいちファンです。度入りの丸眼鏡と多数のピアスがよく似合うとても可愛らしい女の子です。ショートカットで、顔がすごく小さいです。そんな環美ちゃんがどのように書かれているのか気になった僕は、まず最初に環美ちゃんのページを開きました。

 そしたらまず「死ぬまで鬱アイドル」という見出しが目に飛び込んできて、「え! 鬱なの!? 僕と同じじゃん!」と思いました。その次のページでは、可愛らしい環美ちゃんの写真が大きく表示され、胸がときめきました。さらにページをめくると、「自傷しないと気が済まない」というキャッチコピーが表示され、「え! 環美ちゃんリストカッターなの!? 昔の僕と同じじゃん!」と思いました。僕と同じなので、環美ちゃんが鬱でリストカッターでもまったく引くことはありませんでした。むしろさらに好きになりました。

 環美ちゃんはインタビュー時、「サンクチュアリ」というアイドルグループに所属していたようだけど、いまは別のアイドルグループに所属しています。棘(おどろ)というグループです。環美ちゃんは最近そのアイドルグループに新メンバーとして加入し、日々レッスンやライブに精を出しているようです。

 今も自傷行為を繰り返しているのかどうかは分かりませんが、できればしていないといいなと思います。環美ちゃんの綺麗な白い肌が傷つくのは悲しいですから。鬱に関しては、なかなか治らないと思うので、ともに治していきましょう。棘にはYouTubeチャンネルがあり、下の動画で環美ちゃんの歌って踊る姿が見られます。よかったらご視聴ください。

 姫乃たまさんのこの本、『アイドル病』を最後まで読んで感じたのは、「ヲタクの老後を心配しているアイドルがやたらと多いなあ」ということでした。将来的には孤独な老人ヲタクの介護サービスをしたいと考えるアイドルがいたり、ヲタクの共同墓地をつくる計画を立てているアイドルがいたりして、「なんて優しいアイドルたちなんだろう!」と感動しました。そこまで行くと、もはや「アイドルとヲタク」ではなく、「人間と人間」という関係性だなあと思いました。その形は、僕にとっての理想でもあるので、ヲタクとアイドルの関係性がそういう方向に向かっているのはとても嬉しく感じます。

 僕はご存知のとおり、元モーニング娘。の石川梨華ちゃんのガチ恋ヲタクなのですが、将来的には、梨華ちゃんと同じ一人の人間として彼女と交流していきたいなと考えています。「アイドルとヲタク」としてではなく、「年老いた人間と人間」として、場末の居酒屋でビールの一杯でも酌み交わせるときが来たらいいなと思います。

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