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家長選手が猛スピードで走る後ろ姿が忘れられません

 note公式さんが「サッカーの忘れられないシーン」というテーマの記事を募集しているのを見たとき、すぐに僕の脳裏に浮かんだのは、かつての大宮アルディージャのエース、家長選手がベンチに向かってもの凄いスピードで走る後ろ姿でした。

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 僕はそのとき、NACK5スタジアム大宮のゴール裏の上のほうから家長選手の後ろ姿をずぶ濡れで見つめていました。その日の夜はかなり強い雨が降っており、僕はカッパを着ていなかったのです。でもその大雨と寒さが全く気にならないくらい、その試合は熱い試合でした。大宮が勝てばJ2優勝が決まるという非常に大事な試合でしたが、後半に大分トリニータに2点先制され、僕は「今日優勝するのは無理そうだな…」と半ば諦めていました。

 しかし後半の残り20分くらいで、FWのムルジャ選手が鋭い右足のシュートで1点返し、そのあとまたムルジャ選手が泥臭く得点を決めました。2対2の同点になって以降の大宮サポーターと選手たちの一体感は、それまでに感じたことがないほど大きなものでした。アウェイ側のゴール裏(の大宮サポ用スペース)にいた僕のところに、大宮サポーターの「積み上げたものを信じろ!」という歌声が大波のように繰り返し押し寄せてきて、自分の身の内の魂が燃え上がるのを感じました。

 そしてムルジャ選手が相手陣内のペナルティエリア近くでドリブルをしかけると、ペナルティエリア内で相手DFに倒され、PKを獲得しました。PKを蹴るためにボールを手にとったのは、そのシーズンで大活躍していた家長選手でした。「家長が蹴って外すならそれはしかたないな」と僕は思いました。他の大宮サポも同じように思っていたのではないでしょうか。僕のいる席から彼の表情は見えなかったけれど、テレ玉で放送された映像では、PKを蹴る前に家長選手は楽しそうに苦笑いを浮かべていました。

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 「おいおいマジかよ? こんなドラマチックな展開ってある? サッカーってすげえな!」と思って笑ってしまったのではないかと推測します。そして家長選手は、まるでサッカーの神様が降りてきたかのような完璧なペナルティキックを相手ゴール左隅に決めました。すると割れんばかりの大歓声が起こり、彼は大宮のベンチに向かって一直線に走り出しました。そのスピードがものすごく速かったことと、白い背番号41が光り輝いて見えたことが僕の記憶に強く強く残っています。また、そのときの家長選手のランは、試合中の彼のどのランよりも速かったので笑いました。

 ちなみに、この記事でアップした画像は、2015年12月31日にテレ玉で放送された『ARDIJA EXCITE MATCH PLAYBACK』から引用したものです。トルネで録画したこの番組は、僕のプレステ3が寿命を迎えるその日まで、これから何度も何度も観ることになると思います。そのたびにきっと僕は鮮明に思い出すでしょう。激しく雨の降るNACK5スタジアム大宮で見た、家長選手の小さな輝かしい後ろ姿を。

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