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戦略、立てるのはいいのですが、そこで解決したい問題、果たしたい目的は何のため、誰のためなんでしょう?[事業編 #11]

事業の定義を現実の成果に結びつけるものが経営戦略である。経営戦略の目的は、組織をして、その望む成果を上げさせることである。(中略)同時に、経営戦略は事業の定義の適切さを明らかにする。経営戦略が望ましい成果を上げないときには、事業の定義を考え直さなければならない。

明日を支配するもの』 第2章 経営戦略の前提が変わる 21世紀の現実
p48より


事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。
その「事業」の定義
①組織をとりまく環境
②組織の使命(目的)
③使命を達成するための必要な強み
という要素から成り立っています。

②組織が存続する使命、事業の目的を明確にしてメンバーと共有し、①現状と、今起きている変化を観察し、③チームとして組織として、メンバーの強みをどのように活かし成果をあげるかを考えます(事業を定義する)。
そして、いつまでに、誰に対して、どんな変化を起こしていくことで、社会においてどんな良い変化を起こせたか(成果をあげられたか)をどのように測定するかを決める、というのが戦略の決定です。

戦略に則って、定期的に、例えば、半年、1年、3年、5年……と、目指す方向と力の強さ・大きさが適切かどうかをフィードバックしながら進んでいくことになります。
そのフィードバックが狙ったものに到達していなければ、戦略が不適切だった、ということでしょう。

ドラッカー先生の言葉は、さらにそこから一歩踏み込んで、戦略が望ましい成果を上げない、と判断するということは、事業の定義そのものが不適切だったのではないか、そもそもそこに解決すべき問題は発生していなかったのではないか、ということを考えよ、ということですよね。
言葉を変えれば、なすべきことではなくやりたいこと・できることをやっていたに過ぎないのではないか、ということです。


「ドラッカーで「気づき」、デザイン思考で「創造し」、目的達成のための戦略を「実行する」」(「はじめに」から引用)という言葉に魅かれて、『戦略の創造学』 (山脇秀樹 著 東洋経済新報社)をご紹介します。
「筆者をデザイン思考に向かわせたのは、ドラッカースクールの講義での学生からの質問です。
「新しい事業機会は、どうやって見つけるのですか?」
講義で、イノベーションは大事だからイノベーションを起こしなさいとあなたはいつもいうけど、じゃあ実際、一体どうすればよいのですか、という本質とこちらの痛いところをついた質問です。「新しいアイデアを創出する現場」から直感的に学習しなければならないと思うようになりました。」(東洋経済新報社HPから引用)
ドラッカー先生の言葉は、メンタルヘルス対策という視点でも読めてしまうくらい縦横無尽に世の中の見方を問いています。
そのドラッカー先生の言葉とデザイン思考を組み合わせるなんて!! ワクワクしました。
今、何が起こっていて、何が受け入れられなくなり、何が受け入れられるようになっているか……知覚を身につける、という意味でも、本書はおすすめですよ♪


佐藤先生は、ドラッカー先生の著書において、戦略という言葉がほとんど使われていない、と解説されています。
確かに、『現代の経営』(下) 第28章 意思決定を行うこと 「戦術的な意思決定と戦略的な意思決定」節 で見た記憶があるくらいです。
ドラッカー先生の言葉は道具ですし、ドラッカー先生が説いているのは原理原則であって、方法論ではありません。
戦略という方法論に振り回されるのではなく、「何のために、誰のために」を熟考して事業を定義せよ、ということです。

うまくいっていない、とフィードバックから読み取れたとき、戦略という方法論をこねくり回すのではなく、そもそもの目的に立ち戻る必要があります。
うまくいっていない、ということは、解決すべき問題も困っている人もいない可能性もある、ということです。
目的がないところに貴重な資源や人財を投入する組織であるということは、組織の存続そのものが、社会から求められていません。
社会から求められていないような組織が抱えている資源や資材は、社会に放出してもらう必要が在ります。社会から求められていないような組織が抱えている資源や資材は、社会に放出してもらう必要が在ります。

戦略の創造学』でいうならば、「ドラッカーで「気づき」、デザイン思考で「創造し」、目的達成のための戦略を「実行」」していたはずなのに成果が上がらないならば、そもそもの「気づき」の時点で間違えているから、ということでしょう。

やった気になって、進んだ気になって……いるだけでは、社会から不要の烙印を押されてしまいます。
「気づき」が本当の「なすべきこと」と合致しているか、定期的に見直す必要があります。

あなたの事業の定義は何ですか?
事業のフィードバックのタイミングを適切に振り返っていますか?
フィードバックの内容を直視できていますか?
戦略は適切だったと何ではかりますか?
そもそもの事業の目的が適切だったと、どうはかりますか?
戦略の決定において、事業のやめ方をどのように定めていましたか?


実践するドラッカー【事業編】』 
PART1 理論編 chapter1 事業とは何か p27 #11


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サークル始めました♪
経営者に贈る5つの質問[第2版]』を使うと、深堀できますよ( *´艸`)
同じ事業を実施するチームメンバーと一緒に読むと、より多くの視点が集まって、事業がよりクリアになると思います♪


実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?

【事業編】は、時間軸を意識し、自らを変革させていく姿勢と方法を習得するため、自らの事業を明確に定義するための補助線として書かれています。

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