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物事を見るとき、一方的な視点だけで見ていませんか? 双方的に見えていますか? 俯瞰的・包括的に見えていますか?[事業編 #25]

生産者や供給者が、製品の最も重要な特色と考えるもの、すなわち製品の質が、時として顧客にとってまったく意味がないということである。(中略)顧客の関心は「この製品は自分のために何をしてくれるのか」だけである。

創造する経営者』第Ⅰ部 事業の何たるかを理解する
第6章 顧客が事業である p121より


良く事例として挙げられるのが、「ドリルを購入するものは、ドリルそのものではなく穴がほしいのだ」というお話でしょうか。

「このドリルはどんな細い穴も簡単に開けることができます!!」と売り出したところで、木造住宅の大梁を留めるためのボルト(10㎜を超えるような太いもの)を設置するための穴をあけるには不十分、ということですよね。

がらりと商品を変えてみて、ホットケーキミックス粉であればどうでしょう?
「パンケーキのように薄くきれいに焼けて、もっちりとした触感を楽しみたい」という顧客に、「ふっくらとろけるホットケーキが焼けます!!」という質の粉は購入してもらえるでしょうか。

売り手側が、どんなにこの商品の最大の特徴はこれだ!! と売り出したところで、顧客にとって、顧客の満足を満たしてもらえる商品でなければ手に取ってもらえない、という悲しい結果になってしまいます。


今回の引用部分からだと、もう何ステップか必要かも……? と思いつつ、マイブームなので『リサーチ・ドリブン・イノベーション 「問い」を起点にアイデアを探究する』(安斎勇樹 / 小田裕和 著 翔泳社)をご紹介します!!

「生産者や供給者が、製品の最も重要な特色と考えるもの」は内側からのアプローチ、「この製品は自分のために何をしてくれるのか」は外側からのアプローチ、と考えます。
商品が顧客に入手してもらうためには、作り手の強い想いだけではなし得ず、顧客にその想いが届き、顧客がその想いに賛同したり、応えたい!! と感じるからこそ、顧客に入手してもらうことができます。
顧客の要望だけを追求し、自分の本当に提供したいもの、もしかしたら組織・個人が描いていた目的を達成する道のりにはなかったものになってしまう可能性もあります。
イノベーションを起こすための手法がこれまでいくつもブームのように新しく生まれ、使いこなされることもないまま、新しい手法が生みだされていました。
でも、それだともったいない、それらを単純な二項対立としてとらえるのではなく、包括して活用するからこそ、イノベーションを起こすことができる、というちょっと俯瞰した見方を提供してくれています。
連載ページも公開されていましたので、併せてご紹介です( *´艸`)


ドラッカー先生は、組織という道具を使い、適切なマネジメントを行うことで、社会に対してよい影響を与え、それにより社会に属する人たちが幸せに過ごせることを目指していらっしゃったと思っています。
じゃあ、ドラッカー先生は、組織の中で起きることのみを提言されていたかというと、それは違います。
「何によって憶えられたいか」という言葉を繰り返していらっしゃったように、個人としても有意義な人生を過ごすために、こんなことも考えておいた方がいいよ、という想いを、ドラッカー先生の言葉の端々から感じています。

今回ご紹介した『リサーチ・ドリブン・イノベーション 「問い」を起点にアイデアを探究する』のように、世の中全ては二項対立で考えられるものではない、双方相まって相乗効果を生み出すからこそ、より良いものが生まれる、よりよい社会に変化していくことを願って、ドラッカー先生は多くの著作を世に送り出されたんだと思っています。

ジェンダーだって法律だって制度だって、分けてしまったほうが楽だから、そうしただけです。
制度が優れているのだから、それにそぐわない人がいるからって制度を変える必要はない、なんて発言されているのを聞くと、多面的に物事を見たりしないぞ、と宣言されているように見えてしまいます。

同じように、人とのコミュニケーションの取り方も、学び方も、教え方も、働き方も、決められたものがあるわけではなくて、それぞれがそれぞれの在り方によって、グラデーションがあるものです。

ドラッカー先生の言葉は、書いてあることだけではなく、そこから色んな種類の問題や状況も、こんな風に見てみたらどう? と教えてくれているように感じています。
俯瞰的・包括的に見れるようになると、きっと世界が驚くほど広がりますよ!!
ドラッカー先生の言葉、ぜひご活用くださいませ!!

あなたが提供するモノ・サービスについて、製品の最も重要な特色と考えるものは何ですか?
あなたが提供するモノ・サービスは、顧客が考える「この製品は自分のために何をしてくれるのか」を満たすことができていますか?
顧客の要求に対し、あなたが提供するモノ・サービスはこのままあるべきですか? 変わるべきですか?
何か変化を必要としているならば、あなたは何をしますか?


実践するドラッカー【事業編】』 
PART1 理論編 chapter2 顧客が事業である p57 #25


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実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?

【事業編】は、時間軸を意識し、自らを変革させていく姿勢と方法を習得するため、自らの事業を明確に定義するための補助線として書かれています。


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