7月 つぶやき

フリーペーパ７月号は本屋スタッフざきのひとり号です。７月のことを呟くように書いたので気軽に読んでもらえたら嬉しいです。

✩⌒ ざきの７月 ⌒✩

- 夏 -

リュックに風鈴をつけているおじいちゃんが電車に乗っていて、揺れるたびにチリンと鳴るので電車が揺れるたびに夏だった。

- ライブ -

渋谷WWWにLe Makeupのライブを見に行った。ずっと楽しみにしていたのに当日になって仕事のトラブルが起きて、３曲だけ聴いて帰ってきた。少ししか味わえなかったけど、その僅かな時間があまりにも素晴らしくて、楽しみを諦めなかった自分のことが大好きになった。そんなふうに思わせてくれることのそばで生きていたい。

追記：この世界に好きな曲があって、それを歌ってくれる人がいるってすごい！

- にこにこ –

Leah Douの曲を聴きながら友達の家に向かっていたら、こっそり迎えに来てくれていた友達ににこにこ嬉しそうで良いと褒められた。

- いいな〜 –

なんとなく見ていたドラマの中で政権交代が起きていて、いいな〜と思った。

- 全然進まない -

6月に出そうと思っていたzineの制作が滞っている。直すたびに何か違う気がして、いつのまにか遠いところに流れ着いてしまったような心細さを感じる。そんな時は、前にzine を出したときにいただいた「これからもぜひzineを出されてください」というDMを思い返して、自分の作るものはきっと誰かに届くと唱える。形にすることを大切に思っているから進まないと焦るけど、滞る中で、形にすることも自分の中では重要だけど、できる範囲で人に優しい言葉を届けることも大切だと改めて気づく。私の言葉もあなたの言葉もきっと届くから、素敵な言葉は口に出していけたらいいね。

- 最近の趣味 -

口の中を見ることに夢中。口を大きくあけてスマホのライトで照らすとピンク色のうにょうにょした姿が現れて、それが面白くていつまでも見てしまう。あっという間に一時間経ったりして、恐ろしい趣味。連日やっていたら少し喉が痛くなってやっぱり恐ろしい趣味。

- 最近の趣味2 –

新ざわざわ森のがんこちゃんの公式ページがアツい！がんこがおならをしてないとウソをついただけで「ウソをつくと尾尻に花が咲く」術をかけられたり、えんぴつが家出したりと愉快。道徳を教える名目があるらしく、回ごとに”誠実”や”自分の特徴に気づく”などテーマが設けられているのも面白い。でも、オナラのウソは見逃すのが優しさでは・・？などと思うのでした。

- 染み込ませる –

谷川俊太郎の『生きる』という詩にある“かくされた悪を注意深くこばむこと”という言葉を何度も口に出して言ってみる。

- 私は何を見てるの？ -

私はいつもぼんやりしていて多くのことを見逃し過ぎている。

- Better Call Saul -

大好きで何回も見ているドラマをまたみている。おばあちゃんが悲しい思いをする回があってそこだけは本当に嫌だけど、それでもやっぱりこのドラマが好き。これは誰かを好きでいることと似ているなあと思う。どんなに素晴らしいと感じる人にも足りない部分はあって、消してしまいたい過去があって、それでも丸ごと好きだと思う、みたいなそんな感じ。

- 人は変わるもの –

七夕に浅野いにおの『おやすみプンプン』が無料公開されていたので大学生ぶりに読み返した。あの頃は一切気持ちが分からなかったプンプンママに寄り添う気持ちが生まれて、私は変わったんだな、と思った。借りパクされたままの私のプンプンには好きなシーンに付箋が貼ってあって、私は一体どこを好きと感じていたんだろう。

- やる気 –

頑張れない時に見る映画にBLACKPINKのドキュメンタリーを追加。もう一つは『ホドロフスキーのDUNE』。

- 答えが見つからない –

2023年7月26日、津久井やまゆり園の事件から7年が経った。自分が何かを書いていいのか分からないけど自分の感情を残してみる。

ニュースを初めて見た日の衝撃を今でも鮮明に思い出すことができる。殺傷された人数、場所、動機が報道されるたびに呼吸が浅くなり涙が出た。耐え難いような動機を目にして怒りが込み上げると同時に殺されたのは自分だったかもしれないと思った。ニュースを見てそう思ったのは初めてだった。被害者が居る事件に自分を重ねることは傲慢だと思うけど、どうしてもその感情を止めることが出来なかった。

そういう感情が湧きあがったのは、私は自分を生き残ってしまった人間だと思っていたから。優生思想や差別に抵抗していた自分の中に、自分を劣っている、生き残っているだけと思う差別の眼差しが潜んでいたことに気がつき、さらに暗い気持ちになった。事件に関連する本や記事を読むほどに、事件に至ったことは社会全体の問題であり、さまざまな眼差しを手放すことが出来ない自分の問題であると思う。

まとまりの無い文章になってしまったし今もまだ混乱し続けているけど、差別を孕んだ眼差しは自分にも向けてはいけないということだけは、あなたの目を見て言いたい。

- 労働 –

暇さえあれば単発のバイトに行っている。単発バイトにはあらゆる状態の人がいて、政治とは、人生とは、自分とは何だろうと泣きたい気持ちになる。何かを掴みたくて単発バイトに行き続けている。

- 家族 –

夜の海に友達カップルと行く。真っ暗な海がいつも怖くて、今日も怖い〜と怯えていたらふたりが私を挟むようにして手を繋いでくれる。家族だねって笑う。

- 映画 –

今月は『CLOSE』『aftersun』『君たちはどう生きるか』を映画館で観た。どれも本当に良くて幸せ。余韻を噛み締めて歩く帰り道が好だから映画はひとりで観る派。

- ポッドキャスト –

teke me high(er)のp.2、ラジオ屋さんごっこの#99、さらさとてっちゃんの恋愛ホットラインEp.10は何回でも聴ける！あと、ラジごのどこかの回で「女は女の味方だよ！」って言ってたの、好き！

- 愛 –

膝の上で寝る姿や木の上でキリッとポーズを決めている姿など迷子の猫のポスターの写真が愛情に溢れていて泣きそうになる。再会できますように。

- 自転車 –

自転車で坂道を下っている時だけ生きている。スピードを感じる時サガンのことを思い出す。

- おわり –

例えば一緒に見た朝日が美しかったとか、味付けに失敗したご飯を笑いながら一緒に食べたとか、そういうかけがえのない瞬間の思い出の重なりが一緒に居続ける理由であり、同時に決断を鈍らせるものになる。過去と今は地続きだけど、これからのことは自分で選び取れることをいつでも忘れたくない。選んだ日の自分は強くて美しくて、かっこいいなと思った。

- 夜の犬 –

夏なので夜の散歩道に犬が増えて嬉しい！嬉しい、嬉しい、嬉しい！

- 不便な本屋 -

来てくれるお客さんが本当にみんな優しくて、面白くて、この世はこんな人ばっかりないんじゃないかって幸福な勘違いをしそうになる。あらゆる人がそんな勘違いをしたまま生きていければいいのに。

- おわりに –

みなさんの7月はどんな日々でしたか？フリーペーパーが流れゆく日々を立ち止まって見つめるきっかけになったら嬉しいです。それではまた来月号で！

書いた人のInstagram：＠fuben_na_honya ＠tomokomoko_