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【料理の旅人 再現中華12】 盐水河虾 yan shui he xia / 塩水の川海老

【料理の旅人ー再現中華ー】
2023年3月、既に風天を閉め、会社の清算、廃業申請の認可待ち。
帰国寸前に20年間に及んだ中国との関わり、生活の集大成。
ネガティブな問題の蓄積、結果として離れる中国だが、無駄にせずポジティブな経験とすべく、ギリギリまで中国旅をして郷土中華料理に親しみ、中国の素材を使った料理、日頃距離を置いた( 日本食を扱う仕事の為 )中華の技法を独自に学ぼうと試みた。
仕事と違う側面。日本人料理人による、中華への取り組みを記事にする。
日本人的なアレンジは多少あるが、食べて舌から学んだ料理を再現したもの。
旅の料理人としてのアーカイブ。

再現中華ー寄稿に際してのコメント 


河虾フーシャ he xia                                                   2023.5

住んでいたのは江蘇省常州。蘇州、無錫と並んで市の南は太湖タイフーtai hu  という大きな湖に通じています。
太湖には有名な特産として、” 太湖三白 tai hu san bai タイフーサンバイ " というモノがあります。
” 白魚バイユュ "、” 銀魚インユュ "、” 白虾バイシャ " の三つ。
帰国前に地元の食材や、中国ならではのものを調理したいと思う中、この川海老に注目しました。川海老は死ぬと身が多少白く変色するようですが、太湖産のものは通常水晶のような透明度をもち、死後は綺麗な純白になるそうで。特に殻や頭が小さく身が多いので食感、味も良いようです。

そんな事を調べるうちに、川海老を料理しようという流れになります。
5月、時期的にも悪くない。
菜場ツァイチャン に行けば、います。活けの川海老、川海老と言っても、湖水の養殖物かと思われる。大きさが綺麗に揃っているので。それでも、小さな個体の魚ほど” 活け " はありがたい。

” 唐揚げ " なら日本でも見かけるところ。
盐水虾 yan shui xia イェンシュイシャ " 、中華にも鮮度の良さをそのまま楽しむシンプルな料理があります。


まだ生きてるピチピチです。


サッと水洗い。


チュウゴクスジエビ?

▲ 日本の淡水エビに詳しい方の、面白いブログを見かけたので。

私は、川海老をほとんど知りません、手長であるか、ないかぐらいしか知らないのですが、綺麗な写真での見た目の比較と名前の由来通りかと思われます。
日本名は、” チュウゴクスジエビ "。



盐水河虾イェンシュイフーシャ                2023.5.15


腹側に灰色の粒、子を持ち始めている。

作り方はシンプル。鍋に湯を沸かし塩少量、うま味調味料少量、数枚の生姜スライスを入れカワエビを入れる、再び湧き上がるところでアク( 鮮度良くほとんど出ない ) を引き火を止める。
” ドゥアン duan " (中華の切り方、円柱状のものを数センチの長さに筒切り )した小葱を散らして出来上がり。2、3分蒸らせば火は入る。

海のモノでは無いので、味付けはほとんど感じないくらいの極薄が良い。
殻が柔らかいのでそのまま丸ごと食べれる。
熱いのも良いし、そのまま汁ごと冷まして冷えたものも美味しい。私は何もつけないで食べるが、黒酢に刻み生姜をつけダレにするのも美味しそうだ。

写真は前日の夜に作って取り置いた2日目の冷たいもの。作りたても良かったが、夜の蛍光灯下と、朝陽の射す写真とでは美しさに差がある。
結構、美味しそうに見える料理写真を多く撮り続けてきたと自負しているが、やはり80%以上はこの太陽光がもたらす恩恵によるものだと、この時も思った。


河虾粥フーシャジョウ he xia zhou                                  2023.5.15


" 川海老の粥 "。川魚のスープで合わせたかったが、自分の台所には他の料理の流れで、すずきのスープがあったのでそれを使っている。
普通に美味しい。

中国の料理名から " 粥 " と表現したが、厳密には一度炊き冷まして、再加熱したのり 状のものでは無いので、” 雑炊 "と呼ぶべきかもしれない。


                                                                                                                以上


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