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【読書メモ#6】坂の上の雲 司馬遼太郎(著)

今回は司馬遼太郎の「坂の上の雲」について取り上げてみます。

明治維新から日清戦争、日露戦争にかけて
日本が近代国家体制を整えていた激動の時代を、
軍人の秋山兄弟と俳人の正岡子規を主人公として描写した歴史小説です。

当初は純粋に歴史を学びたいと考えて読み始めたのですが、
仕事にも活かせるような組織論等の学びがあったり
読んでるうちに心惹かれる人が増えたり
とても読み応えのある小説でした。

そこで、

その①(今回):心に残ったこと
その②(次回):作中に出てきた、私の心惹かれた人

2回に分けてnoteを書いてみたいと思います。

今回は心に残ったことを以下に書いてみます。


■【メモ①】質問の本意を確認する

「質問の本意」も聞かずに弁ずるのは、政治家か学者だ by秋山好古

子規が好古に対して、
「この世の中で誰が一番偉いと考えているか?」と尋ねた際に
好古は「なんのために聞くのだ?」と子規に質問の本意を聞き返しました。

好古曰く、
敵を相手にするのが仕事である軍人が
敵の本心、気持ち、相手が求めていることを明らかにしてから
答える癖を身に付けないと、
戦場に臨んだときに一般論の虜になったり、独善に陥るとのことです。

現代においても仕事などで通ずることかと思います。

■【メモ②】戦いは出鼻で勝たなければならぬ

戦いは出鼻で勝たなければならぬ byメッケル

陸軍大学校の教官としてドイツから赴任したメッケルが残した言葉です。

私の解釈としては
弱者が強者を倒そうとする場合に特に当てはまると考えています。

学生時代にアメフトの試合で格上相手に勝てたときも
試合序盤で奇襲を仕掛けてモメンタムを掴み、
そのまま勝つことができた記憶があります。

仕事でも同じ事が言えると考えていて
競合に勝ちにいくときに先に仕掛けにいったり、
プレゼンの序盤で相手の心を掴みにいったり、
「出鼻で勝つ」ことは個人的にも勝つために重要な要素と考えています。

ただし「出鼻で勝つ」には、
同時に相当な準備も必要になるかと思います。

■【メモ③】個々に自分の戦術を打ち立てよ

あらゆる戦術書を読み、万巻の戦史を読めば、諸原理、諸原則はおのずから引き出されてくる。みなが個々に自分の戦術をうちたてよ。戦術は借りものではいざという時に応用がきかない。 by秋山真之

日本海軍の参謀として、
日本海海戦で当時世界最強と言われていたロシアのバルチック艦隊を
自らがほとんど立案した迎撃作戦で打ち破った真之。

大学予備門(現在の東京大学)から海軍兵学校に移って首席で卒業し、
36歳の若さで東郷平八郎の元で作戦立案を行っていた天才作戦家です

暇があれば本を読んでいるぐらいの侠気に満ちた読書家で
且つ、かなりの要点主義者だったそうです。
真之の読書法は必要な部分のみを記憶して、あとは処分したり、
学生時代はテストで出題されそうな部分のみヤマを張って勉強し、
テストで高得点を取ったり。。
後に形成される「戦略」と「戦術」から成る真之兵術の思想も
この要点主義発想法が基礎となっているようです。

最近の世の中では「働き方改革」が叫ばれ、
「選択と集中」という単語が流行ったりしていますが、
真之は明治時代からそれを体現していますよね。

そんな真之が放った言葉だからこそ
「戦術は応用がきかないから、個々に自分の戦術を打ち立てよ」
というフレーズが心に残りました。

■【メモ④】外交より内交の方が難しい

本来、外交というものは、外交より内交のほうがむずかしいものなのだ
by小村寿太郎

現代でいうと、
社外との取引よりも、社内調整の方が難しいということでしょうか?、、
なんとなくわかる気がします。笑

■【メモ⑤】戦いは主将選びが大切

戦いというのは主将をえらぶのが大切である。妙なことをいうようだが、主将がいかに天才でも運の悪い人ではどうにもならない。 
by佐藤鉄太郎

日露戦争時に海軍の第2艦隊先任参謀であった佐藤鉄太郎が
戦後、海軍大学校の教官をしていたときに述べた言葉として残っています。

日露戦争で連合艦隊の司令長官に東郷平八郎を指名した理由を
海軍大臣であった山本権兵衛が明治天皇に聞かれた際に
「東郷は運の良い男ですから」と答えたのが事の所以となります。

理由は説明しづらいですが、私も妙に共感した言葉です。


今回は以上になります。
次回は私がこの小説の登場人物で
最も心惹かれた人、児玉源太郎について書いてみたいと思います。

長文を読んで頂き、有り難うございました。

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