【7月4日】朝イチで「今日ほしい人格」を召喚する
よく仕事をご一緒する佐々木正悟さんが、ある講座の中でとてもおもしろいことを言っていた。
人間の中にはたくさんの人格がある。たとえば仕事をする人格、休む人格、家族といる人格、一人のときの人格などだ。
たくさんの人格が一日をとおしてとっかえひっかえ登場する。
そして二日ぐらい登場しなかった人格はかなり奥のほうに引っ込んでしまう。文章を書くのを二日さぼったら、次に書くのは二十日後、なんてことがとくに表現の世界では平気で起こる。
だから文章を毎日書きたいなら、文章を書く人格を引きこもらせないようにすることがとても大切だ。
そのために、佐々木さんは毎朝5分かならず何かしら手や口を動かして書くようにしているのだそうだ。めんどくさくても、アイディアがなくても、最低5分は書き続ける。音声入力でしゃべり続ける。
そうすることで、奥へ引き込もろうとする「書く私」がおもてに引っ張り出されてくる。
すると、一日のまた別のタイミングで彼がふとあらわれ、一息に文章を書き進めてくれたりするのだそうだ。
このお話には心当たりがありすぎた。「忙しい」「寝不足」「飲みすぎた」「つかれた」色んな理由をあげつらって、出てきてほしい人格たちをどんどん引きこもらせてしまっていたことに僕は深く反省した。
一日数分だけでも表舞台に立つチャンスがあると、彼らは「おっ自分にもけっこう出番があるじゃん」とやる気を出してくれて、一日に何度か顔を出してくれるようになるみたいだ。
たとえば、僕の中には「頭に思い浮かんだことはすぐにやる自分」という人格がいて、彼はたまに活躍してくれる。本当は、彼にはもっと舞台に上がってほしい。でも舞台監督である僕自身が「すぐやる自分はレアキャラだ」と思い込んでチャンスを与えないから、彼はずいぶんと引きこもってしまっている。
だから今日は起きてからすぐに「頭に思い浮かんだことはすぐにやる」時間をつくった。もちろん無理矢理そういう自分を演じているだけとも言えるし、疲れるけど、この儀式のおかげで、さくさくと決断して先に進める回数がいつもより増えた実感がたしかにある。
実際、こうやって1日が終わる前に文章を書き上げることができたのも、佐々木さんを真似して朝に5分、とにかく手を動かしたことと、即断即決モードで動いたおかげのような気がする。
明日はどんな人格を朝に召喚しようか。ちょっと楽しみになってきた。
読みたい本がたくさんあります。