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カーブミラーをのぞく

家を出ればそこかしこにあるカーブミラー。
カーブミラーを楽しむ時の視点を、他の方の写真をお借りしつつまとめてみた。

カーブミラーの魅力

一つの風景の中に、
縮尺、角度、遠近感の違う風景がもう一つ差し込まれていること。
地形の高低差や特徴的な建物がなくても、鏡で風景に抑揚ができる。

現実世界と、ゆがみのある虚構の世界が同居している感じも面白い。映っているのが何気ない景色でも、丸く切り取られて空中に浮いていると新鮮だ。

ピントが鏡の中に合わせられている。全体の景色も強弱があるから、いったんカーブミラーに目が行くんだけど、他のモチーフにも目が渡る。一色でまとめられているからか、盛りだくさんながら落ち着いた印象。

カーブミラーの楽しみ方

・佇まいを眺める

カーブミラーを発見したら、まず遠くから眺める。あのフォルムがぽつんと立ってるだけで、何かありそうな感じがする。
種類もいろいろ。ポールが曲がっていたり、鏡が複数あるもの。鏡の向きも俯いていたり、見上げていたり。

庭木のもこもことした緑の中に立つカーブミラー。
ふつう塀の外側に立ってそうだけど、塀の内側で植木に埋もれているのがいい。庭木が丸くて、鏡も丸い。カーブミラーが木になろうとしているみたい。


夕陽をいっぱいに集めたカーブミラー。
この傾き。この寂れ方。竹やぶを背にしていても浮いてない、趣ある佇まい。
自然物と人工物の組み合わせっていい。質感や、線の強さ細かさの違いに惹かれる。

・鏡の中をのぞく

近寄って鏡の中の景色をのぞく。角度によって景色が大きく変わる。
斜めからだと、鏡の面の丸さと帽子のつばみたいな短い庇がよく見えて、カーブミラーらしさが際立つ。

夜のしゃぼん玉みたいな色で幻想的。
空に向かって、スカイツリーが体を反らせている。実用的か分からないけど、こんな風に素敵な景色を見せてくれるカーブミラー、もっと増えてほしい。


桜の映る鏡が、神社や祠と一緒に配置されているって、とても贅沢な気がする。
絵になるよう意図して設置されたのかもしれない。鏡越しに、一味違った花見が楽しめそう。

・二ヶ所の変化をあじわう

カーブミラーの背景と、鏡が映す場所では違うドラマが起きている。それを同時に見られるのはカーブミラーならではだと思う。

カーブミラーの後ろでは、季節の巡りが一瞬一瞬あって。鏡の中には、これまた次々と過ぎ去る人が映っていて。絶えず変わる物事が、重なっては離れていくのを感じる。


東の空は夜になっているけど、鏡の西の空は沈む寸前で光が滲んでる。空のドームは広い。
夜空に夕焼けの欠片が取り残されたようにも見えて不思議だ。

終わりに

写されてない風景を想像したくなる写真がある。
影がメインの写真に時々あるような、この枠の外側には何があるんだろうと、見えない風景を想像するのが楽しいタイプだ。
カーブミラーも、本来見えない景色が一部見えるから、そういう写真になりやすいモチーフ。
実際にその場所の全体を見てみたいけど、知るのも少しもったいないような気分は、写真だからあじわえる醍醐味だなと思った。

カーブミラーの風景を採集しているマガジンを公開しました。もしよければご覧ください。


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