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写真展で作品を見る

昨日、写真展に行ってきた。東京をテーマにした3人のフォトグラファーさんによる展示。

写真を見るというとスマホかPCの画面なので、いつもと違う環境で写真見るの面白そう。フォトグラファーさん達が、テーマに沿って作品を選んで飾った手作りの空間ってなんかいいな、と思った。さいわい気軽に行ける距離。

道に面した入口はガラスで、展示会の様子が外から見えた。コンパクトで明るい会場は入るとなごやかな雰囲気で、しばらく作品を見ていると主催者さんが声をかけてくれた。作品について話したいと思っていたので、ありがたい。
ただ実際話すと少し緊張した。写真の感想を顔を合わせて本人に言うのは、そういえば初めてだなと。というか、本人でなくてもリアルで写真を話題に話すこと自体、初めてな気がする。
普段は文字で一方的につらつらと書くので、会話の中でいい感じに伝えるのは難しいと思った。作品を撮った時のエピソードとか、どの作品が特に思い入れのあるのかとか聞けた。嬉しい。
とりあえず覚えてる作品の印象をメモする。

Nocchiさん
シャープな陰影や建物のライン、ワンポイントの遠目の人影が生活感を感じさせず端正に見える作品はもともと好きで、今回は陰影のコントラストがそこまで強くない作品もいいなと思った。雨に濡れたつやつやの路面と黄色の電車の写真とか、動脈みたいにうねる何本もの車道を高い所から見下ろす写真とか。
都市の直線によるものか、ラム酒っぽいビターな色味によるものか、桜がスタイリッシュ。

IPPEIさん
会場に入ってすぐ目に入ったのが、ぼかした遠景のタワーを後ろに従えた赤信号のアップの写真。信号のボディが、メカメカしく孤高で強そう。ウルトラマンが出たシーンみたいにテンションが上がった。
建物や電車を隠す曇り空や霧の質感がきれいで、重厚な空気が好きだった。静かな迫力。ミステリアスだったり、非日常な感じがした。
灯りがついた窓がモザイクみたいになってる建物の壁の写真は、画面のフラットさや、緑がかった色味が未来感あってかっこいい。

YUKIさん
夕空のグラデーションと街灯りの温度差が利いた写真が素敵だった。空の涼し気な色と、暗い中の人の流れのざわざわとか建物の灯りの温もりとのコントラストが好き。
人のしぐさや服装がよく見える作品が多くて、日々の営み的なものに意識がいく。他のお二人の作品は整っていて、かちっと静止していると感じることが多く、YUKIさんのは時間が流れてる印象。下り坂が真ん中にある夜の街並みの写真が、人の姿見えないけどなぜかすごく仕事から帰宅している時の安堵感。

おなかが空いて恵比寿駅の駅ビルでごはんを食べる。YUKIさんとIPPEIさんはこの展示で初めて知ったので、店内でお二人のInstagramを見る。そのうち、せっかくの機会だからもう一回見ておきたくなった。
暖かくていい天気なので、展示に行く前にその辺を歩く。Nocchiさんのうねうねの車道の写真の影響で、生々しい人工物を見たい気分だった。電柱を見て回る。会場のアクセスマップでいうと、バンタンデザイン研究所とファミリーマートに挟まれた坂道に、生々しさを感じられる電柱がけっこうあった。電線が多くて、ベルトみたいな金具やいろんなパーツでごてごてしてる。電柱の頭で太い電線が絡まないよう空中で面白い形に曲がってて、歪なオブジェ感が強い。
展示に戻る。主催者さんの話を聞きながら写真を見たり、一人でぼーっと見つつ傍で誰かが写真の話をしているのを聞く。
来場した方々は、やっぱりフォトグラファーさんが多い。自分は写真を撮らないから技術的な話は分からないけど、来場者さんと主催者さんが、カメラの種類とか撮る人ならではの話で盛り上がる様子にほっこりする。だいぶまったりしてきた。
晴れてない景色が魅力的に見える作品もたくさんあって嬉しかった。

終わりに
帰った後でも印象に残っている作品は会話に出たものがほとんどで、その印象が果たしてどこまで自分でそう思ったのか、周りの人の話の影響でそう見えるようになったのか分からなくなった。展示会場で写真を見ていると、他の人の視点がゆるゆると頭の中で混ざってきて、その時間が楽しかった。


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