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去年は後半もつらかった

長い夏が始まり、憩室炎になった。
今まで虫垂炎は二度経験していたが(薬で散らす…治療をした)憩室炎は初めて。
病気の認識もしておらず、激痛ではないもののいつまで経っても右下腹部の痛みが消えないので消化器内科を受診しCT検査で判明した。

一週間の抗生物質の服用で一応痛みは治まったが
それからより一層自分の体調に神経質になっていく。

ちょうどその頃、知り合いに闘病をする人が(たまたま)増えており
その人もペットを飼っていたりして
自分が病気になったらこの子はどうするんだろう?という心配がどんどんどんどん私の中で膨らんで行った。
これは自分がコロナに感染したらこの子の世話は誰がするのだろう?と思い悩んでいた2020年の頃にもあったことだ。

私の知り合いの方は
自分の入院中はペットホテルに預けたり
配偶者の方が仕事を休んで面倒を見てくれたり
近くの親戚が預かってくれたりしてなんとかペットの平穏を保っていた。
私はどうしたらいいのだろう?

高齢で食事の管理も複雑で難しいこの子の世話をペットホテルにお願いするのは不安だし
配偶者は単身赴任中だ。ともすれば「俺の実家に預ければいい」などと言いだしかねない。
夫の実家に預けるなんて、ペットホテルよりもずっと危険な行為だ。(色々変わった方達なので)

そうなると、やはり私が健康でいるしかなく、病気なんてしている場合ではない。
普通ならそこでポジティブに、生活習慣を見直すとか…健康でいられる為に色々考えて過ごすのかもしれない。
けれど私はそういう性格ではなくて、日々「どうしようどうしよう」で過ごすようになってしまった。
少しの腹痛がとても気になる。
憩室炎の予防の一つとして〝便秘にならないこと〟と医者に告げられた私は神経質になりそのことばかり考えてしまったり。(そうすると出るものも出ない!)
とにかく、異常な暑さでただでさえ引きこもりになりそうな環境の中
精神的にも引きこもってしまった。
とは言え、愛犬の散歩には行かねばならない。
トイレは家の中で出来る子に育てていたけれど、一日中冷房の効いた部屋だけにいるのは体にも良くない気がしたし
夫が単身赴任の為、愛犬が接するのは私のみの生活では刺激が足りず、年齢のせいもあって、ぼけてしまうのではないかという不安もあったからだ。
足腰を使わず衰えることも心配だった。
だから、保冷マフラーを首に巻いて、少しでも暑さがしのげる時間帯に少しでも外に出られる機会を常に狙って…の毎日だった。

自分の体調管理、愛犬の散歩管理と体調管理。
自分の病院に行くには暑い中自転車で、愛犬の病院に行くには心を痛めながらタクシーで。
とにかく、自分が全てを背負っている、自分がダメになったら全てが終わる、と思っていた。
…実際、それらの〝費用〟を出しているのは、遠くの地で働いている夫なのだけれど、夫がしっかり働いてくれているからこそ、私達の生活は成り立っているのだと思える心の余裕は皆無だった。

あの暑すぎる夏の毎日で、もう一つ私を悩ませたのが〝虫〟だ。
虫が大の苦手な私。情けないほどの苦手っぷりである。
夫が単身赴任をしていない時は、家の中に虫が出た場合その部屋から退出して(例えそこがリビングであっても)夫の帰りを待った。
死んでいようが生きていようが関係ない。

ちなみにGなんて困難な虫ではない。カナブンレベルでも無理なのだ。
これはもう本当に誰がなんと言おうと無理。

そのカナブンが去年の夏は家の中に再三入って来たのである。恐らく洗濯物について入ったのか…。マンションで近くに大きな木もないのにどこからあいつらはやってくるのか?(住居は10階)

もうパニックである。どうしようもない。夫が単身赴任から帰宅するのを待つかカナブンが死ぬのを待つか?のレベルでパニックである。(アホらしい)
自分でなんとか退治してみようという気持ちも勇気も出ず、がっくり肩を落とし、でも、なんとかしなくてはと心臓をバクバクさせながら考える。
そして、同じマンションの知っている方に片っ端からLINEをし、優しい方が駆けつけてくれ退治してくれた。神様に見えた。
と同時に、こんなことも出来ない自分…に大いに凹むのだ。

ある時は、暗くなってから散歩に行こうと玄関のドアの開けるとそこにセミがいた。「…ヒィッ!」となってまずドアを閉める。
セミはひっくり返っていて、手を広げていたら生きている、手を閉じていたら死んでいると聞いたことがあったので(手…ではないだろうが)
それを確認する必要があった。まあ、例え手を広げていなかったとしても私にセミを触ることなんて到底出来ないのだが。

近くに行ってそれを確認することなんて以ての外だ。その間に彼が騒いだらどうするのか。(謎の男性設定)
仕方がないので、再び「ヒィーーーー!」と声を発しながら彼の写真を撮った。玄関ドアを少しだけ開けてすき間にiPhoneのカメラレンズ部分を入れてシャッターボタンを押す。
また「ヒィーーーー!!」って言いながらその画像を拡大してみる。
…手を広げているではないか。=生きている。
もう無理だ。私はもう外には出られない。(号泣)

そこでまたLINEである。どうやら生きているようなんだけど生きてるセミは触れますか?とカナブンを退治してくれた私の神様に連絡をする。
神様が夏休みで実家に帰っていませんように…!と祈りながらLINEし返信を待った私に、神様はやはり神様だった。
「爬虫類系以外なら大丈夫です!」と頼もしい返事と共にやってきて、無事にセミを運んで行ってくれた。ちなみにやはり生きていたそうである。どっと疲れが出た。私が退治したわけでもないのに、多分神様より汗をかいたと思う。

お盆に入り、私の実家に帰省した。
私が住んでいるところよりずっと涼しい場所にある実家だが、去年の夏の暑さはそんな実家にも容赦しなかった。
一般家庭に冷房なんて設置していない地域なのでとにかく暑い。親は「窓を開けていれば風が通って涼しいよ」と言って確かに涼しい顔をしていたが毎日冷房が効いた部屋で過ごしていた私には耐えがたい暑さである。

そしてここでも〝虫〟だ。
昼夜問わず窓を開けていて、おまけに台風で網戸が破れてから修理をしてない。
虫が入って来る。夜に電気をつけると現れる。
寝ている最中にブンブン音がしたり寝ている私の頭の後ろの窓にガツンガツンぶつかってる音がする。
スマホを見ていたらその光に突進してくる。(当然悲鳴)

暑さと共にずっと睡眠不足。もう本当に本当に最悪だった。もし来年も帰省することがあったら、網戸の修理代を出すから直してほしいと懇願しようと心に決めたのである。
(ちなみに愛犬も一緒の帰省だったが体調を壊すわけでもなく元気でいてくれたのだけが幸いだった)

そんな長くて暑くて虫に悩まされた夏がようやく終わった頃
私はまた憩室炎にかかったのだ。



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