ポエ文(ぶみ)その8

9月の風は、外側は冷たく、中で熱気が燻ぶっているような煮え切らない感触だ。それが体にぶつかって、アンビバレントを壊してしまった後悔の念を肩で切りながら歩く。
パンをついつい一個余分に買わせるのもこの風だ。たった一個椅子で貪る風体を思うと、食べたそばから腹が減る。体に穴が空いていて、隙間風が心を冷やすからだ。
外に出る前に靴を履くくらい当たり前に、僕たちは何かに与しなければならない。乗りかかった船の乗客ではいつまでもいられない。同じ色のもとへ集い、一つの方角へ歩かなければ。そうしている間は体が暖まっているし、なにより空腹のおかげで夕餉のことしか考えなくて済む。進め。進め。号令の中、体は合理的な形状に退化していく。進め。進め。聞き分けのない耳すらなくなった頃、もうすぐ体育祭だ。


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