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芸術家の集うウジュピス共和国

 ウジュピス共和国へ来た。ヨーロッパはバルト三国の南のリトアニア共和国の首都・ヴィリニュスの旧市街のいち地区だが、ウジュビスは1997年4月1日に憲法を作って独立宣言をしたのだ。そして今となっては地区内にウジュピスの国旗が溢れ、あまたの言語で憲法が書かれた看板が並び、街全体もアートの街となっている。居住者は約7,000人、うち1,000人が芸術家だという。その街の空気感は、まるでデンマークのクリスチャニア、フランスのモンマルトル、インドネシアのジョグジャカルタのようだ。

 ウジュピス共和国は割と名の知れた辺境であり、調べれば情報などはふんだんに出てくる場所である。従って調べても出てこない情報をここにまとめようと思う。憲法全文と、いい顔をした壁だ。

ウジュピス共和国 四十一か条の憲法

 1.誰にもヴィルネーレ川のほとりに住む権利があり、
   そしてヴィルネーレ川には皆のそばを流れる権利がある。
 2.誰にもお湯と冬には暖房と瓦の屋根を有する権利がある。
 3.誰にも死を選ぶ権利があるが、決して義務ではない。
 4.誰にも間違いを犯す権利がある。
 5.誰にも自分らしくいる権利がある。
 6.誰にも人を愛する権利がある。
 7.誰にも愛されない権利があるが、これは必須ではない。
 8.誰にも平凡に生き、知られない権利がある。
 9.誰にも怠けて何もしなくていい権利がある。
10.誰にも猫を愛し、世話をする義務がある。
11.誰にも、犬か人間かのどちらかが死ぬまで、
   犬の世話をする権利がある。
12.犬には犬である権利がある。
13.猫には飼い主を愛する義務はないが、
   必要とされたら飼い主を助けなければいけない。
14.誰にも時には義務に無自覚でいい権利がある。
15.誰にも何かを疑う権利があるが、これも義務ではない。
16.誰にも幸せになる権利がある。
17.誰にも幸せにならない権利がある。
18.誰にも口にしない権利がある。
19.誰にも信念を持つ権利がある。
20.誰にも暴力をふるう権利はない。
21.誰にも人間の小ささと大きさを分かる権利がある。
22.誰にも永遠を侵害する権利はない。
23.誰にも分かる権利がある。
24.誰にも何も理解しない権利がある。
25.誰にもどの民族でいる権利がある。
26.誰にも誕生日を祝う権利または、祝わない権利がある。
27.誰にも自分の名前を覚える義務がある。
28.誰でも持っているものを分け合うことができる。
29.持っていないものは分け合わなくていい。
30.誰にも親兄弟を持つ権利がある。
31.誰にも自由でいる権利がある。
32.誰にも自身の自由に責任を持つべきである。
33.誰にもなく権利がある。
34.誰にも誤解される権利がある。
35.誰にも他人に罪を着せる権利はない。
36.誰にも個人として生きる権利がある。
37.誰にも権利を持たない権利がある。
38.誰にも恐れないでいる権利がある。
39.勝つな。
40.やり返すな。
41.でも降参するな。

 この憲法から見られるような自由な雰囲気は、芸術家には確かに好かれそうである。そして猫については犬と区別されながらも大事に扱われているのも、また、良い。

ウジュピス共和国の街並み

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入国の橋。独立宣言の日(4月1日)以外はパスポートなどは不要。ピクトグラムのモナリザなどはジョークであろう。

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橋の欄干に大量につけられている鍵。ヨーロッパの観光地に見られがちであるが、いわゆる恋愛成就の願掛けである(南京錠をかけてから鍵を捨てれば二人は二度と離れることがない)。


ウジュピス国旗。白い背景に掌が書かれている。

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憲法が各言語で書かれている壁。

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チベット仏教のタルチョーやストゥーパ的なものがある地域。

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いい顔をした壁たち。


今まで記事で書いてきたような辺境とは趣が異なり、首都の中にありアクセスもしやすい地域である。もしリトアニアに行かれた際には、訪れて欲しい場所である。

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