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#51 [文学] 戦争小説やブラックコメディーの中でも最高傑作の一つ

第8週 第2日(火)文学「キャッチ=22」

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。

今日は文学「キャッチ=22」です。

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本の要約

ジョーゼフ・ケラーの「キャッチ=22」(1961年)は、英語で書かれた戦争小説やブラックコメディーの中でも最高傑作の一つであり、今では「キャッチ=22」という言い方が、「どうしようもない状況」を指す表現としてアメリカでは定着している。

主人公ヨッサリアンは、第二次世界大戦中にイタリアのピアノーサ島に駐留するアメリカ空軍の爆撃隊員。爆撃中隊を統括する将軍たちが無能で、兵士たちに決められた数の出撃任務をこなせば帰国させようと約束するが、必要な任務の数は次々と増えていくため、誰も変えることができない。
こうした戦争の持つ官僚的な不条理さを象徴しているのが、小説のタイトルにもなっている空軍の単純だが巧妙な軍紀だ。

「キャッチ=22」とは、兵士は狂気と判定されれば戦闘任務を免除できるが、本人が実際に免除申請を出せば、それは正気を失っていないということなので出撃可能とみなされるという状況。

登場人物
・中隊長メイジャー・メイジャー・メイジャー少佐(メイジャー)
・食堂係マイロー・マインダーバインダー
・軍医ダニーカ

ストーリー構成は時間軸にそっておらず、前後を行き来する。
コメディ色が強い前半から徐々に不吉な様相に変わり始める。
当初は愉快に思えた話が、実は真相が全て明らかになると、とんでもなく深刻なものだったことが明らかになるように仕組まれている。

ヘラーは「キャッチ=22」について、これは特に第二次世界大戦についての話というのではなく、現代世界全般に見られる官僚・権力機構の不条理さについての話だと語っている。

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1961年

「キャッチ=22」が発売された1961年は昭和36年。
この頃日本は、池田内閣改造。佐藤栄作・河野一郎・藤山愛一郎・三木武夫ら実力者入閣。政治わからん…
坂本九の「上を向いて歩こう」が発売された年。コクリコ坂の舞台になっている年代でもあるみたい。劇中や映画のキャッチコピーにもこのフレーズが流れているのが印象的。

ドイツでは、ベルリンの壁が建設された年で、
アメリカは、ケネディ大統領就任。

世界が第二次世界大戦からすこしずつ復興していた時代だったんだ。

モダニズム的側面も

モダニズムとは、現実世界をありのまま表現すること(写実主義)にとらわれず、独創的で新たな表現方法を模索しようという芸術運動。

時間軸がばらばらに展開されていく表現なんかは、モダニズムの特徴とも言える。

キャッチ=22って言ったら今でも伝わるのかな。

今から60年ほど前の作品だから今の子に言っても伝わらないんじゃない?
それとも「月が綺麗ですね」みたいな隠語のように語り継がれていたりするのだろうか。

コメディでありながら裏では社会問題をテーマにするという巧妙な仕掛けは読者の心をより動かされる卓越した手法だと思う。

機会があればこれも読んでみたい。


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