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世界の人々の名前の不思議

アメリカ人の不思議

アメリカでは、息子に父親と同じ名前をつけることがある。有名な例では、現大統領のジョージ・ブッシュにマイクロソフト会長のビル・ゲイツ、市民運動家のキング牧師など。
もちろんそのままでは世の中や自分たちも混乱するので、息子の命名をしたときから父親は自分を「シニア」と名乗り、息子は「ジュニア」と呼ばれるようになることが多い。
さらに孫にも同じ名前を付けると、孫は「サード」と呼ばれたりする。

感覚的には、昔の王様の「ヘンリーIII世」とか、日本でいうと「○代目中村勘三郎」とかと同じようなものかと。

でもアメリカの方は、シニアが亡くなったときジュニアがその称号を外す人もいれば、ずっと「ジュニア」で通す人もいる。このあたりかなり融通が利くというか適当みたいで、よく分からないです。

スペイン人の不思議

スペイン人の人名は、「本人のファーストネーム(洗礼名)・父方の姓・母方の姓」が正式な形。たとえばレアル・マドリードFWのラウール・ゴンサレスは、本名はラウール・ゴンサレス・ブランコ。父方の姓がゴンサレスで母方の姓がブランコというわけ。女優のペネロペ・クルスも本名はペネロペ・クルス・サンチェスだ。
お分かりの通り、普通は母方の姓を省略して名乗ることが多い。

また洗礼名が2つある場合もある。同じくレアル・マドリードMFのグティは、本名は「ホセ・マリア・グティエレス・エルナンデス」。ホセとマリアは洗礼名だ。

さて、最初に「父方の姓」「母方の姓」と書いたが、父も母ももちろん同じように「父方の姓」「母方の姓」を持っている。で子供の名前に使われる「姓」はどちらの姓かというと、両方とも父方の姓。
たとえば、「ラウール・ゴンサレス・ブランコ」君と「ペネロペ・クルス・ サンチェス」さんが結婚して娘マリアちゃんが生まれたとすると、マリアちゃんの本名は「マリア・ゴンサレス・クルス」となる。(ただし、近年では父姓ではなく母姓を引き継いでも構わないらしい。)

ところで結婚した女性の姓・名はどうなるかというと、実は全く変わらない。つまり我が国の一部で話題の「夫婦別姓」ってやつですな。便利といえば便利だけど、敬虔なカトリック信者が多いお国柄とこの合理的なシステムがちょっと不似合いな気もして面白い。

ロシア人の不思議

ロシア人の名前は、「本人のファーストネーム・父称・姓」から成り立っている。

父称というのは何かというと、よく分からないけど(笑)父親の名前にちなんで付けられるものらしい。息子なら父親の名前にヴィッチがつき、娘ならヴナがつく。

たとえば現大統領のプーチンは、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチンが本名だ。ということはプーチンの父親は実はプーチンと同じウラジーミルということ。名家では息子に同じ名前を付けるというのは古今東西、世界共通のようだ。

そしてプーチン大統領の長女はマリーヤ・ウラジーミロヴナ・プーチナ。ちゃんと父称が「プーチンの名前+ヴナ」になっている。

ここで「あれ?」と思った人、するどい。そう、女性の場合は姓までも変化するのだ。女性は名前も姓も最後が -a, -ya で終わる。なので同性の夫婦や兄妹・姉弟でも姓の形が微妙に変わることになる。

もう一つ例を挙げておくと、女子テニス選手マリア・シャラポワの父親の名前はユーリ・シャラポフ。Sharapov → Sharapova と変化したわけね。とここまでくるとシャラポワの本名は…もうお分かりの通り、父称がついてマリア・ユーリェヴナ・シャラポワだ。

女性の名前が -a で終わるというのはラテン語系言語の特徴だと思ってたけれど、それがロシア(スラブ語派)でも通じるというのは・・・うーん、面白い。

東欧人の不思議

誰もが一度は不思議に思ったことがあるはず。東欧の人はやけに「~ヴィッチ」が多い。1998年フランスW杯では、ある試合のユーゴスラビア代表選手はGK以外全員が「~ヴィッチ」だったということもあった。

で、この「ヴィッチ」ってなに?

答は、意味としては「~の息子」のこと。もっとも、長い年月を経て意味そのものは失われて、一般的な姓の一部として残っているということらしい。日本人に「田」で終わる姓が多いのが極端になったと考えれば納得できるかも。

東欧系といえば他には「~スキー」とか「~コフ」「~チョフ」が思い浮かぶが、これも深い意味があるわけではなく、昔からの伝統でそういう姓が多い、というくらいの理解でよさそうだ。でもつい気になるんだよなあ。

オランダ人の不思議

オランダ人といえば、なんと言っても「○○・ファン・××」という名前。サッカー選手でもマルコ・ファン・バステン、ルート・ファン・ニステルローイ、エドウィン・ファン・デル・サールなど、挙げればきりがない。

で、この「ファン(van)」ってなに?

WikiPedia によれば

van は英語 of あるいは from の意味を持ち、出身地を示すが、現代ではもともとの意味はほとんど失われている。

Wikipedia

とのこと。マルコ・ファン・バステンは「バステン地方(またはバステン家)のマルコ」という意味になるわけだ。(あくまで語義としては、ね。実際そうかどうかは「林さん」が林に住んでるわけでないのと同じく、全く関係ない。)
欧州各国ではたいていどこでも同じような単語があり、スペイン語では del (デル)、イタリアでは di (ディ)、フランスでは de (ドゥ)、ドイツでは von (フォン)、などなど。

日本人として感覚的に理解するには、2ちゃんねるで簡潔かつ見事なコメントがあったので紹介したい。

藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の「の」のようなもの。

どうでしょ?僕はあまりのシンプルさに感動すら覚えてしまった。( ̄ー ̄)


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