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先入観なく、子どもの困りごとを見つめてみよう。「わからない」は「助けて」かもしれない。

#20230420-81

2023年4月20日(木)
 ノコ(娘小4)は月2回ほど児童相談所(児相)へ通い、面談を受けている。
 面談は1時間だが、片道1時間半はかかるので、その日は午後から学校を早退する。ノコも学年が上がり、授業を2時限受けられないのは気にはなるが、私たち夫婦だけでなく、ノコの生い立ちに理解のある第三者の目の意義は大きい。
 ノコの面談中、私もケースワーカーさんと面談だ。ノコの近況を報告する。
 年度変わりの異動で、担当ケースワーカーさんの顔ぶれも変わった。

 3年生の3学期頃からはじまったノコのヤダヤダの激しさを話す。
 ノコの困り事は見えているが、それについて動こうとすると、ヤダヤダ期のノコの反感を買ってしまい、歯がゆいことを伝える。
 今、ノコが欲しているのは、自分のどんな話にも耳を傾けてくれる存在だ。たとえ、ノコに非があろうともノコを責めず、ノコの「感情に寄り添ってくれる人だ。
 ゆっくりでいいからノコの心に安心が芽生え、根付いてほしい。
 そう思うが、この年齢の女の子の情緒成長はいちじるしい。心の機微を敏感に読み取り、グループ分けをし、おもてだってではなく、実にさりげなくけ者にしたりする。情緒面に未熟さが残るノコは、その友だちとの差に苦しんでいるように見える。
 だから、なかなか「ゆっくりでいい」と思いつつも、こちらもつい気がいてしまう。

 新しいケースワーカーさんは、私の話に耳を傾ける。
 「よくノコさんを見てくださって、感謝します」
 「そのように考えて、接してくださること、ありがたく思います」
 ノコは確かに児相が我が家へ委託している里子だ。
 児相が私たちに感謝の気持ちを口にするのは立場的に正しいと思うが、なんだかざらりとする。こんなに毎日ノコの言動に腹を立てているのに、いつのまにか私はノコを「うちの子」と認識しているのだろうか。フッと口角が上がった。
 ケースワーカーさんの言葉に目くじらを立てることもないので、こちらもありがたく受け取っておく。
 そして、私は私自身の愚痴になっていないか振り返る。ノコの立場に寄り添って、ノコの生きづらさを軽くできるよう児相と連携するための情報を報告できただろうか。
 正解のない子育てだからか、まだ新しく我が家を受け持ったばかりだからか、特にケースワーカーさんから提案はなく、面談は終わった。

 時間が解決することなのだろうか。
 私たちに新たになすすべはなく、今まで通りノコの心に安心が根付くのを待ちながら、小さな安心を積み重ねていくしかないのだろうか。
 正直、もどかしい。

 noteの記事を読んでくださった里親さんから、「発達検査」という言葉が届いた。
 今まで児相からノコに発達障害があるといわれたこともなければ、発達検査を勧められたこともない。委託3年(もうすぐ4年)にしては、我が家は児相との関わりが強いので、そのような傾向が見られるのならば児相から提案されると思っていた。
 「思っていた」が、もしかしたらかなり顕著でなければ、児相は動かないものなのだろうか。

 ノコは本が好きで、図書館で借りた日は食らいつくような勢いでページをる。1冊読み終えると、すぐ次の1冊へ手を伸ばす。余韻なんて無縁だ。
 こうなったら、「ご飯だよ」「お風呂の時間です」「宿題してね」という声掛けはすべて無視される。
 ただ…しっかり読み取って、想像を巡らせ、本の世界を味わっているかは怪しい。
 この年齢は多読・乱読だと聞いたので、そういうものかと思っていたが、本を読みあさっているからといって、理解しているとは限らないことに気付いた。

 学校の宿題でノコが「わからない」といったとき、何がどうわからないかまでは把握していなかった。解き方を教え、ノコがそれに沿って正解にたどりつけば、よしとしていた。
 わからない問題文を音読するよういうと、「ママ読んで」というが、それは読むのが面倒だからだと思っていた。もしかして、目で文字を読むより耳で音として聞いたほうが理解できるのかもしれない。
 「わからない」を人に伝わるよう言語化するのは難しい。
 誰しも自分を「普通」だと思っているので、ほかの人より何か苦労することがあったとしても自分の気質ではなく、努力の足らなさからだと考えがちだ。
 ノコが実際どうなのかはわからない。
 ノコはまだ自分の状況を説明するのが難しい。

 「わからない」は、単に「わからない」でないかもしれない。
 今は新学期がはじまったばかりで、ノコは新しい環境に翻弄されている。慣れようと毎日必死なので、さまざまなことが過剰に表出している。今すぐに児相に検査を依頼するには時期が適切ではない。もう少し落ち着いたら、児相にも相談してみよう。
 今回、それを気付かせてくれた。
 ノコは児相から委託されているが、毎日一緒に暮らしている私たち里親のほうがノコを見ているはずだ。
 自分の目と耳を信じて、ノコの困り事をもう一度拾おう。
 

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