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結紀はるか
2018年4月23日 00:18
大学生の時、部室で映画を観ていた。顔も名前も知らない先輩方が撮った映画。画面越しに見える風景はよく知っているはずの場所なのに、知らない場所に見えた。知らない人達に会って映画を撮った時の事を聞いてみたくなった。そんな不思議な感覚を後輩達が味わっているのだろうか。卒業して四年。もう私のことを知っている人がいなくなっているはずだ。脚本・撮影・編集・監督として流れてくる私の名前を後輩達はどんな想いで観て
2018年4月10日 00:10
「桜並木も綺麗だけど、一本だけ離れた所に咲いている桜もいいよね。風情があって」ふと脳裏をよぎった彼女の言葉。あの時は適当な相槌を打ってしまったが今なら迷いなく同意できる。静かに薄桃色の花びらを舞わせる様は綺麗で儚げで、思わず手を伸ばしたくなる。しかし花びらは掴めない。ふわりふわりと手の平をすり抜けていく。まるで彼女みたいなのだ。そう気付いてからポツンと佇む桜についつい目がいくようになった。