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結紀はるか
2017年9月22日 10:27
肺から漏れた空気が無数の泡となり、水面に上っていく。射し込む光を浴びて輝く泡は宝石みたいに輝いていて綺麗だった。ゆるゆると手を伸ばす。触れる前に泡は消えていく。虚しく水を掻いた青白い手が頼りなく揺れる。不健康だと頭の片隅で考えて、ゆっくり目蓋を下ろして、意識が闇に落ちていく。 そこで目が覚める。水の中にいて、尚且つ肺に水が入ってきているのに苦しくない。そんな奇妙な夢を毎日のように見ていた。最初
2017年9月12日 22:13
「あ」短い悲鳴が聞こえて振り返る。彼女の手から離れた絵コンテが地面に落ちていく真っ最中だった。眉を寄せ、彼女は拾い上げる。足元に舞ってきた一枚を拾う。枠の中に描かれた人物画は演者にそっくりで、横に書かれた説明文も丁寧な字で簡潔に書かれている。「あんまりじっくり見ないで」困り顔の彼女に没収される。「参考にしようと思ったのに」「粗だらけだからやめて。私より上手い人なんて沢山いるんだからさ」
2017年9月4日 20:55
2017年9月2日 20:47
「まだ満月じゃないんだね」彼女が指さす先には半分より少し膨れた月が浮かんでいた。空は薄い紫色で夜の始まりを告げている。「綺麗だね」見上げたまま呟く彼女に僕は何も言えなかった。じっとその横顔を眺めていた。月よりも空よりも彼女の方が遥かに綺麗だ「何時だっけ?」「何が?」話を全然聞いていなくて、反射的に聞き返す。相変わらず視線は僕に向かない。「満月」「明後日辺りじゃなかったかな」「へー
2017年9月1日 14:59
懐かしい人の夢を見た。二人で他愛のない話をしているだけのありきたりな夢。しかしそれはやけに現実味を帯びていて、目が覚めた瞬間、カレンダーを確認してしまった。ああ、夢か。解っていたはずの現実を改めて認識させられ、知らず溜め息を吐いた。二度寝をしたら同じ夢を見られるかもしれない。往生際の悪い私は、期待をこめてもう一度目蓋を下ろした。待てど暮らせど眠気はやってこず、枕元でアラームが鳴り始めた。どう