イタリア音楽旅行の前に
ある日。
仕事で少しの間ベルギーに旅立つ前。
突然知らないイタリア人から連絡が来た。
誰?
そう思いながらも、メールを読む。
え?
イタリアに招かれて仕事をすることになった。
初めてのイタリアが仕事になった。
それから、よく分からないなか、手探りで準備を進めた。
すると、なぜか、世界的な指導者が山ほど集まるところで指導するらしいことを知る。
そして、私は指導陣代表で演奏することが決まった。
よく分からないしありえないけれど、やるしかない。
音楽の世界は、嫉妬の世界。
オーストリアのウィーンにいるピアニストの台湾人の友人に報告すると、彼女からは、誰でも指導できるところよね、なんて言われた。
でも、彼女に、私はポツリと言った。
呼ばれないとできない仕事だよね。
彼女は、はっとして黙った。
彼女は私に嫉妬していたのだと思う。
最近の彼女はおかしい。全てにおいてゆがんでしまっている。
原因は分かっている。
彼女のなかで1番の理想だったオーストリア人の婚約者が精神を侵されていることを隠しながら自殺したのだ。
僕を忘れないでほしい。
という言葉を遺して。
あまりにもショックだった彼女は1人ではいられなくなり、一時期台湾の家族の元へ。
今はもう新しい恋人もいる。
でも、まだ彼女の傷は癒やされていないと思う。
そんな彼女はゆがんでしまった。
あんなに真っ直ぐな人だったのに。
ドイツのピアニストに報告すると、彼は嫌がった。
なぜなら彼のテリトリーではないから。
僕の知り合いのほうの音楽祭にしよう。
彼は嫌がったが、私は、初めて声をかけてくれたところにした。
後から知る。
私が参加する音楽祭は、指導陣が世界最高レベル、規模、かなり大きいことを。
彼の弾いてきた音楽祭よりもかなり規模が大きいことを。
彼は、私が彼のテリトリーから出てほしくなかったのだ。
彼は私が自分を越えてしまうのが嫌だったのだ。
なぜなら、私の同僚になる指導陣に彼の先生の名前までいたのだ。
私が参加を表明したあとに、先生達の名前が増えていって本当にびっくりした。
彼も私に嫉妬したのだろうと思う。
知り合いの音楽家全員から嫉妬しかされないイタリア音楽旅行。
応援してくれる私の味方は、家族と生徒しかいない。
きっと、私の人生のターニングポイントになる。
初めてのイタリアは、私の人生を変えるものになるだろうか。
私は、予測不能な自分の人生にときめいている。
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