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ARTとWell-beingの研究記事 その6:WHO(世界保健機関)が初めて公表した「健康とウェルビーイング向上におけるアートの役割」のレポートを読んでの雑感。

2019年の秋から若手医療チーム マチマニアさん
アートとWell-beingの研究会「UMUMアートラボ ART×Well-being」をスタートしました。
この研究会では作品制作や作品鑑賞、セッションなどを通して
Well-beingとアートの関係を考察しています。

Well-beingとは、諸説ありますが
直訳すると「良くいること」=「精神の健康」を意味します。
近年Well-beingの考え方がサービスや政策において注目されている一方
現状ではWell-beingに明確な定義はありません。

このnoteマガジンでは、医師をはじめ、研究者、美術教育家、医療系会社員など
個性豊かな研究会運営メンバーのそれぞれの視点&専門分野から研究記事を綴っています◎
これまで公開した記事も、ぜひ読んでみてください👇

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あけましておめでとうございます!
マチマニアメンバーのさやかです。

2019年は、マチマニアの活動に加えて、UMUMのれいさんと出会い2回のアートワークショップを開催することができました。

2回目のワークショップを振り返った時、心に残った言葉は「他者貢献が自己実現である」ということ。

自分はどうしてArtとwell-beingに興味があるのか?と振り返った時、自分がアートワークショップを通して心を整えたり、憂鬱な気持ちを払拭したり、友達と非日常の時間を共有して絆を深めたりとアートを通じてポジティヴな経験を得た原体験が多かったことを思い出しました。

2020年も、メンバーと共に時間を見つけて
アートと健康の関係について追求していけると良いなと思っています。

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今回は、2019年11月にWHO(世界保健機関)が「健康とウェルビーイング向上におけるアートの役割」について報告したレポートの内容について少しだけご紹介します。

WHO(世界保健機関)が報告したレポートとは

このレポートのタイトルは”What is the evidence on the role of the arts in improving health and well-being? (健康とウェルビーイングにおけるアートの役割に関するエビデンスとは?)”です。Scoping reviewという形式で、これまでに世界各国で蓄積されてきた既存の文献の結果をまとめたものです。

アートと健康の定義について見解を述べた後に、アートと健康の関係についてモデル図を用いて説明しています。

邦訳とまではいきませんが、独断と偏見を交えて日本語で概要を説明してみたので、興味がある方は内容をチェックしてみてください!

(※リンクのURLは私個人の独断と偏見によるチョイスなので、気になる方は自分でググってください!)

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▶︎アートの定義

ここでは、アートを定義することは難しいと前置きしつつ、アートを以下の5つの分類で紹介しています。

1)パフォーミング・アート…音楽、ダンス、演劇、歌唱、映画など

2)ビジュアルアーツ、デザイン、クラフト…工芸、デザイン、絵画、写真、彫刻、テキスタイルなど

3)文学…文章、読書など

4)文化的活動…美術館、ギャラリー、展示、コンサート、劇場、地域の文化的イベントへの参加など

5)デジタルアート…アニメーション、映画制作、CGなど

料理や園芸などの一般的にいわゆる「アート」とは見なされていない類の創作活動、そして建築や内装のデザインは、本レポートの範囲には含めていないと記されています。


▶︎健康の定義

健康の定義といえば、WHO憲章の中で述べられている文章が有名です。

「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。」

しかし、1948年に健康の定義が発表され広く普及した後、完全に健康であること、ウェルビーイングであること自体が全ての人にとってのゴールではないことも指摘されてきました。例えば心身の慢性疾患を持っていること自体が不健康なのではなく、その疾患をセルフ・マネージメントする技量を持つという動的なプロセスそのものが「健康」であるという提案もされています。

また本レポートでは、健康とは、個人の努力はもちろん、国家や文化といった大きな枠組みの影響も受けるものだと付け加えられています。


▶︎アートと健康のつながり

文化的活動は、健康を促進すると言われている様々な要素がギュッと複合した「介入」だとみなすことができます。

本レポートでは、アートと健康のつながりについて、下のような要素を持つモデル図で説明されています。(レポートの3ページ目に図があります)

<アートの構成要素>
審美的体験
・想像への関わり
・感覚の活性化
・感情の喚起
認知刺激
社会的相互作用
・身体的活動
・健康に関する話題への積極的な関与
・医療・福祉サービスとの相互な関わり
<アートへの反応>
・心理的反応
(例:自己効力感の向上、コーピング感情制御など)

・身体的反応
(例:低ストレスなホルモン反応、免疫機能と心血管反応の向上など)

・社会的反応
(例:孤独と孤立の減少、社会的支援や社会的行動の促進など)

・行動的反応
(例:運動の増加、健康的な行動の導入、技能開発など)
<結果とその測定>
・予防
・促進
・治療
・マネジメント

上記の内容は、抽象的な言葉だけだと分かりづらいですが、本レポートの中で紹介されている具体例や研究内容を読むと、世界中で様々な観点からアートと健康の関係が研究されていることが分かります。

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以上、WHOが「健康とウェルビーイング向上におけるアートの役割」について初めて公表したレポートの一部を紹介しました。

アートのような文化的な活動は何かしら健康に良い影響を与えそうだと予想できるものの、学問的に分類して考察すると、また新しい視点を得られて面白いですね!

一緒にこのレポートを読み解く仲間、募集しています(^^)/

今年もみなさんにとって、ハッピー、ヘルシー、ピースフルな一年になりますように!


<次回の研究会開催のお知らせ>

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日時:1月13日(月祝)13:30~16:30
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対象:医療福祉従事者、医療従事者
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