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ARTとWell-beingの研究記事 その7:Turn the Town作製に至った私の背景

2019年の秋から若手医療チーム マチマニアさん
アートとWell-beingの研究会「UMUMアートラボ ART×Well-being」をスタートしました。
この研究会では作品制作や作品鑑賞、セッションなどを通して
Well-beingとアートの関係を考察しており
2020年4月からは長期プログラムとしてブラッシュアップした企画をスタートする予定です。

Well-beingとは、諸説ありますが
直訳すると「良くいること」=「精神の健康」を意味します。
近年サービスや政策において注目されている一方
現状ではWell-beingに明確な定義はありません。

このマガジンでは、医師をはじめ、研究者、美術教育家、医療系会社員など
個性豊かな研究会運営メンバーのそれぞれの視点&専門分野から研究記事を綴っています◎
これまで公開した記事も、ぜひ読んでみてください👇

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明けましておめでとうございます。
マチマニアメンバーのもっくんです。

前回の投稿で、アート×医療の取り組みの1つとして
「まちと医療」をテーマにしたボードゲーム(Turn the Town)を作製したとお伝えした所
このことについても「触れて欲しい!」という有難いお声を頂きました。
その中で、なぜ私がゲームを作るようになったのかという背景は
ゲームでメッセージを伝える為にも重要と思っていますので
今回の記事は「Turn the Town作製に至った私の背景」について語りたいと思います。

長文になってしまいますが、年始の綴りということでお許し下さい。

 

山梨で感じた孤独と退屈

私はいま、山梨に住んで6年程になります。
今では山梨でステキな人達と出会い、都内では感じることができない
違った幸せも感じ取ることができています。

山梨で出会えた方達には本当に感謝しています。ありがとうございます。
今では山梨に住んだからこそ見えてきた世界があるとも感じています。

ただ、最初はそうではなかった。。。
正直しんどかった。。。

甲府のまちを歩くとシャッター街になっており
まちの中で賑やかさを感じることがなく
寂しさを感じることが多々あります。
車社会ということもあり、歩く人もなかなかおらず
道路を走っていても、見える景色は建物・自動車・畑・田・山々、時々人。
普通に生活しているだけでは人と出会い、刺激を感じることがありません。山梨で生活を送る中で孤独と退屈を感じていました。

18歳の頃、1年間決まった数人と会うだけの環境になった時があり
その生活が本当に嫌で、そんな生活は繰り返したくないという想いがあり
その時と同じ感覚だったことを覚えています。
ただ、18歳の時は1年間という縛りが見えていたので良かったのですが
山梨での生活は期間が見えなかったので、更に焦りを感じていたことも覚えています。

そんな心境の中でやっぱり自分は「人と触れ合う環境が好きなんだな」と改めて感じました。


人と触れ合うことが好きと感じた原点

高校生の頃、オーストラリアに1ヶ月間ホームステイしたことがあります。その時に感じたことで鮮明に覚えていることがあります。

ホストバディ含めた同級生の皆と大きな芝生の生えた校内のグラウンドで初対面を交わす際、彼らは「Hello」「How are you?」「Nice to meet you」「What’s up?」と仕切りなしに声をかけてくれました。

日本人の外国人に接する態度は「英語できないから、話しかけづらいな」というもの。
向こうの方は「オープンマインドなガンガンいこうぜ」
高校生の頃の私は「何故この人達はこんなに言葉が通じない我々に積極的に声をかけてくれるのだろう」
と感じたことを強く覚えています。

その瞬間、広大な景色を見た時、この人達の素敵なオープンマインドな感覚は
「日本にはないこの広大な敷地と自由闊達な校風から来ているのかな」
「要はここで暮らしているという環境だな」
と直感で感じました。

この頃からです。
「世界」と「人」に興味を持ち始めたのは。


糖尿病は生き方を問う病気

糖尿病の方達と集うキャンプに参加したことが
私にとって生活の中に医療を考える大きなきっかけでした。

世間でよく言われている糖尿病は2型糖尿病。
太っている方に多く、インスリンの効き目が悪くなって、悪化していくもの。
でも、1型の糖尿病は小児でもなります。
その方達と一緒に暮らす生活をして、親の気持ちになりました。
小さい子が好きなものを好きなだけ食べられない、毎日の生活でどこか負い目を感じており
その子を見る親も子供のそのような状態をわかってくれる場が日常(友人、保育施設、学校、地域など)になく、苦しんでいる。
周りに不健康な状態が蔓延っているので、ストレスを感じながら生きなければいけない。
環境が健康な状態であれば、無理せず、苦しくなく、ストレスフリーで健康な状態でいられるのに。

この時でした。
糖尿病は生き方を問いていく病気でもある。
そして、病気を抱えている人、抱えていない人、関係なく「場の力」は大きな味方となる。
人にとって「いきがい」を問いていくことは永遠の課題であるかもしれないが
その人にとって良い場はその人の人生にとって+(プラス)の生きがいを与えていく。
と感じたのは。

スゥーーっと全てが繋がった感覚を今でも覚えており
それが私の今動くエネルギーになっています。

理論的な理由はなく
全ては出会ったから。感じてしまったから。

 

色んな場所に出かけて感じたアートの力

これまで20カ国程旅をしました。

山梨の生活を始めて苦しんでいる時、尊敬する方に私のこれまで人生を語る時があり
「もっくんはもっと世界を見るといい」とも言われました。
そこから世界というものに対する意識が更に強くなりました。

それから回った場所で、アートの力を感じました
日本では柳ヶ瀬商店街に行った時
韓国では甘川文化村(カムチョンムナマウル)に行った時
トロントではHospital for Sick childrenに行った時
ニューヨークではCooper Hewittに行った時
など
これまで寂れていた場所が復興し始めていたり
人の支援があったり
想いやメッセージから新しいものが生まれていたり
そこに何かしらアートが絡んでいる

まだまだ表面的なことしか見れていないかもしれません。
ただ、そこに人が集まる場があったことは事実、変化が生まれていたことも事実。
「力」を感じました。

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それらに共通することは
「ワクワク」であったり
「貢献」であったり
「現状打破」であったり
この力を医療に対する無関心層の人にも届けることができれば。
「アート」と「医療」が繋がったのはこんな時でした。

更に「南医療生協病院の見学」を行い、まちと医療が繋がっている実態を見たことや
「アートの力とマネジメント(gacco)」で下記のような事柄が示されていることをきっかけに
「アートと医療」に、大切と感じていた「場」も繋がりました。

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点滴をしている方、試験勉強をしている方が
病院の中のロビーにいる風景

<アートとデザイン>
・アートは劇薬ではなく日常の常備薬
・人々がアートの面白さに触れ、何かに気づき、それを自分たちの生活へとフィードバックしていくとき、その地域コミュニティはわずかに変化していく
・子どもを連れて美術館に行くことは難しい。子どもの遊び場としての美術館を作ることで「エッジの効いた場所」から「日常の場所」へ社会システムが変化する
・デザインは今への答え(目の前で困っていることを解決する)
・アートは未来への答え(何か新しいアイデア・想念をもたらす)


Turn the Townの開発(HeLPersの結束)

桃太郎電鉄をご存知でしょうか。
徹夜でこのゲームをやったことがある人も少なくないはず。

このゲームをやった時のきっかけは何でしたか?
99年目指してゲームをクリアすることや
皆でワイワイしながらただ楽しみたいということだった記憶が私にはあります。
つまり、「達成感」や「ワクワク」を求めて
ゲームを「やりたい」という意欲が生まれていたと思います。
結果、得たものは「地域の名産を知ること」や「友人との時間の共有」でした。

求めていることは「遊び」、得ていることは「知識・繋がり」
これを医療にも落とせないものか。
そこで思いついたものが、オフラインでリアルに繋がるボードゲームでした。

ゲームを通して
まちという場に医療が落としこまれる世界の実現。
そのきっかけとなる健康に対する知識への触れ合い。
医療者と非医療者が壁なく繋がるきっかけ作り。
プライマリケア医、家庭医のメンバーも同じような志を持っており
HeLPersという団体が出来上がり
想いだけで走ったところ喜ばしいことに
慶應医学部 健康医療ベンチャー大賞で敢闘賞も頂くことができ
その勢いでゲーム開発まで至りました。
非医療者の自分が医療者のメンバーと繋がり、医療貢献を目指すツールが生まれました。

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楽しみながら気づいたら知識・繋がり(特に非医療者と医療者)が生まれることは
我々は非常に大切と感じており、ゲームの中にもその要素を入れています。

 

ツールは違えど
今UMUMとマチマニアが行なっているアートラボ ART×Well-beingの取り組みも同じです。
楽しみから始まるツールに触れることをきっかけに
少しでも多くの方が
医療者と非医療者が繋がること
日常に少しでも医療・健康に触れること
周りに困っている方がいる時に共感してあげられる社会ができること
を目指しています。

このような医療を日常に落とし込むアクションを一つのアートと捉えており
アートが場を作り、その場に自然と人が交わることで
well-beingが生まれることを信じています。


長文となりましたが、最後まで記事を読んで頂き、ありがとうございました。


(参考)
柳ヶ瀬商店街 サンデービルヂングマーケット http://ysbmkt.com/
Cooper Hewitt https://www.cooperhewitt.org/
Sick kids http://www.sickkids.ca/AboutSickKids/index.html
無料オンライン講座gacco https://gacco.org/
桃太郎電鉄 https://www.konami.com/games/momotetsu/
HeLPers https://www.facebook.com/helpers.jp/


<次回の研究会開催のお知らせ>

第3回UMUMアートラボ ART×Well-being 参加申し込み受付中!
日時:1月13日(月祝)13:30~16:30
会場:IKE・Biz としま産業振興プラザ
  (〒171-0021 東京都豊島区西池袋2丁目37−4)
対象:医療福祉従事者、医療従事者
「Well-being」に興味のある方
「健康」と「アート」の考察を深めたい方
✴︎アート、医療関係以外の方も、テーマが気になる方は大歓迎です!
詳細、お申し込みはこちらから↓

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