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【災害に不安を感じているあなたに】『ぼくらの津波てんでんこ』

はじめに

この度能登半島地震により被害を受けられた方々に、
心よりお見舞い申し上げます。

今回、改めて自然災害の恐ろしさを身に染みて感じた方が
多いのではないでしょうか。
しかし、記憶は徐々に薄れてしまうもの。だからこそ ”今”
本をきっかけに 被災時に取るべき行動を考えてもらえれば、と思いました。

そこで今回は『ぼくらの津波てんでんこ』から、
覚えておくべきポイントを絞って紹介します。

『ぼくらの津波てんでんこ』
著:谷本雄治 定価1,400円+税




「津波てんでんこ」とは

著者が取材に訪れたのは、東日本大震災で被災した岩手県釜石市。
この地で話題になった、「釜石の奇跡」をご存じでしょうか?

急な地震・津波にも臨機応変に対応し、市内の小中学校に通う
生徒の99.8%が自らの命を守り抜いたことをたたえたものです。

この背景には、東京大学大学院の特任教授(当時は群馬大学大学院教授)、
片田敏孝さんによる熱心な防災教育がありました。

防災授業を行っている様子   ©片田研究室

特に片田さんが何度も教えたのが、「津波てんでんこ」の考え方です。

「てんでんこ」とは、「それぞれ」「別々に」という意味。
避難する際、つい別のところにいる家族や親戚のことを思って
後戻りしたくなるかもしれませんが、災害発生時に何よりも大切なのは、
”自分の身を自分で守る”ことなのだと教えてくれています。


避難するときに思い出して

また、生徒たちが片田さんから教わったことに「避難三原則」もあります。

避難三原則
1.想定にとらわれるな!  …ハザードマップなどを信じすぎない
2.ベストをつくせ!    …全力でやれば、できないことなんてない
3.まっ先に逃げよう!   …自分が助かることで他の命も救える

『ぼくらの津波てんでんこ』本文より

被災時に大事なことは山ほどあり、混乱してしまいそうですが
このように避難時の要点をシンプルに押さえておけば、
いざという時もすぐに思い出して行動に移すことができそうです。

避難する鵜住居地区の小中学生、地域の人   ©片田研究室


未来のために、被災者の言葉から学ぶ

このような片田さんの的確かつ分かりやすい防災教育を受けて、
あの日どのように考えて避難に至ったのか。
この本では、当時の状況が生徒たちの視点でありありと綴られています。
実際に経験した人だからこそ表現できる当時の恐ろしさや
行動する勇敢さが伝わり、防災教育の大切さを実感できることと思います。

今この文章を読んでくださっているあなたが学生なら、
この本で語られる同世代の生徒たちの考え方に共感できたり、
勇気ある行動を真似したい、と思っていただけるはずです。
もし大人の方であれば、
大人には過去の教訓を自分のものに変え、子どもにしっかりと
伝えていく義務があります。
対策を後回しにせず、”今”、読みやすい本から正しい知識をつけて
いってほしいと思います。


最後に

今回被災された地域に一日も早く平穏な日常が戻りますよう、
お祈りしております。
そして、皆さんが自分の身を自分で守るための知識をつけ、
この本がいざという時の道標になることを願っています。

2012年3月9日に市立釜石小学校で行われた、東日本大震災の追悼集会
©時事通信フォト



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