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背伸びするより身の丈に合った文章を書いていたい/とりあえず書く日記

とりあえず書いてみる。

この書き出しは紙の日記でよく使う。
とりあえず書く、と書く。
そうすると何かしらの言葉が続くのだから不思議だ。

何を書こう。

昨日はぶどうをたくさん食べた。
職場の同僚が親戚から2キロのぶどうをもらったらしい。
シャインマスカットやピオーネ、瀬戸ジャイアンツともう一種類。
ひとりじゃ食べ切れないからと4房の立派なぶどうを4人で食べた。

あんなにぶどうを食べるなんて滅多にない。
途中、ふと全員の手が止まったときにぶどうを持ってきた同僚が言う。

「結局ピオーネがいちばんおいしいんだよね」

私は内心うなずきながらも何も言わないでいた。
確かに4種類の中ではピオーネの味がいちばん濃く、水っぽくなくてジューシーだった。

でも、それを大っぴらに言ってしまうと他のぶどうやマスカットに悪い。
どれもまだまだ残っているからなおさらだ。


そういえば、ジューシーってジュースらしいって意味だろうか。
書いてからジューシーという言葉はまだ自分の中に入っていないものだと感じた。
意味もわからないのに使っている言葉、文字にするなら"じゅーしー"と書きたくなるくらいのぎこちなさ。

ジューシー

聞き慣れているつもりだけど、表現として使うにはまだまだ距離がある言葉だ。


右奥がピオーネ
どれも大粒で立派なぶどうとマスカットだった


自分が使う言葉は、自分がわかるものから選びたい。
文章を書くとき常々思う。
いや、言い過ぎだ。常々ではない。
たくさん流れている思考のひとつ、ぐらいの位置づけで意識している。

この訂正ついでに書いてしまうと、書いたそばから文章は自分の感情と照らし合わされている。

先ほどの常々のように、とりあえず常々と書いてみるけれど、書いたときにはいや、違うなと思う。
だから立ち止まって考える。
常々じゃなければ、どれくらいの頻度?と問いかける。
しっくりとくる言葉が出てくる時もあるし、無理矢理に言葉当てはめて次に進むこともある。


常々、なんて言葉を使ったから脱線した。
そう、言葉はわかる言葉を使いたい。
その続きを書きたかった。

カタカナとか漢字がたくさん並んだ賢そうな文章は、書こうと思えば書けるんだろう。
でも賢い文章を書きたいわけじゃない。

なんだろうな。

今、私が書いている文章は考えていることを言葉に落とし込む行為なわけで、そこに難しい言葉はいらないんだろうな。

考えや感情に当てはまる言葉を探しているのに、自分でもよくわからない言葉を使うのは矛盾している。

わかる、わからないなんて書いてるけれど、どこからがわかっている言葉になるのかは判断が難しい。
ただ、わからない言葉は書くとわかる。
それは書いたそばから、この言葉ってなに?と頭の中の自分が聞いてくるから。

さっきのジューシーだってそう。
ジューシーって、なんだ?
そんな疑問が浮かんで、答えられないと気づいて初めて、自分はジューシーという言葉をわかっていないと気づく。


わかる言葉だけ使う。裏返すと、わかる言葉しか使えない。
この心がけ、または制約のせいだろうか。
自分が書くものを、知っている言葉が少ない幼い子どものようだと感じる。

もし仮に、書くときに現れる架空の辞書が頭の中にあるんだとしたら、私の辞書は薄めの文庫本くらいかな。
出てくる単語も、中学生までで教わる言葉ばかりだろう。

そんな自覚があるからか、私が使えない言葉を、自分になじませている人の文章を読むとなおさら語彙のとぼしさを感じる。
そしていろんな言葉が使える人を素直にすごいなと思う。

ただ、使える言葉が少ないからだめな書き手だとか、そんな声は私の中にない。
背伸びした文章を書くくらいなら、身の丈に合った文章を書いていたい。
その方が違和感がなくて好きだから。

でも使える言葉が増えないと、いつまでも幼い文章のままなんだろう。


・ ・ ・


ぶどうのことを書いていたのに、気がついたら言葉について書いていた。

最近noteが書けていないから、noteじゃなくて日記を書くよって言い聞かせて書き始めた。

誰かに何かを伝えるための文章は、書けそうな気配を振りまくくせに書けない。書けないのか、書きたくないのかはわからないけど、言葉が出てこなくなる。
本当にもどかしい。

だから日記から始めることにした。

昨日の出来事と、そこから考えだしたことと、今の自分の文章の記録。

将来の、少し大人になった自分が読んだときに幼い文章だと懐かしく思ってくれたらそれで十分かもしれない。



🍇お借りしたみんフォト

スイートぽてとさんのイラストをお借りしました。色えんぴつの雰囲気と果物ってなんかしっくりくるんですよね。
イラストありがとうございます。

(検索キーワード:ぶどう イラスト)

たいしたものはお返しできませんが、全力でお礼します!! 読んでくださり、ありがとうございます!