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人間が植物になるには



1 序論
 大人でも高校生でも,毎日を忙しなく過ごしている人は多くいるだろう。そのような日々の中でふと「花になりたい」と思ったことはないだろうか。私はある。植物は過酷な環境でも生きる。食べず,動かず,地に根を張り1日1日を静かに過ごす。私は植物のそんなところに憧れを抱いた。
果たして,人間は植物になれるのだろうか。本論では人間の植物化について植物の特徴を人間が行うことが可能であるかという点から検証していく。

2 定義 
 植物の定義は実ははっきりと決まっていない。生物学の観点と生態学の観点で定義が異なるためである。
 ここでは生物学での分類である植物界で考える。植物界には草木や菌,藻類などがある。今回は草木のことを以下植物と呼ぶ。
 植物の大きな特徴としては,①光合成をする,②独立栄養生物である,③細胞壁を有するという3点が挙げられる。

(1)光合成について
 葉緑素をもつ生物が光のエネルギーを用いて二酸化炭素と水から炭水化物を合成すること。二酸化炭素を吸収し酸素を排出する。
(2)独立栄養生物について
 自ら無機物より有機物を合成する生物を指す。自らエネルギーを生成できるため捕食する必要がない。植物の場合,「自ら無機物より有機物を合成する」というのは光合成のことである。
(3)細胞壁について
 構成要素はセルロースやペクチンなどの炭水化物のポリマーからできている繊維がメッシュ状に絡まってできた,強度が高く柔軟性のある布のようなもの。植物の形や大きさを決める。また,傷害,ウイルス,細菌から身を守る役割も持つ。

3 仮説 
 定義で述べた,①光合成をする,②独立栄養生物である,③細胞壁を有するという3点を満たせば植物であると言えると考えた。

4 検証方法
 実際に,仮説の3点が実現可能であるか,インターネットを活用し,現時点での実証例を調査する。

5 検証結果
(1)光合成を行う方法
 アメリカの研究グループの実験によると,マウスの血管にシアノバクテリアという葉緑体を持つ細菌を注入して,心臓に光照射することで,光合成によって酸素が供給され,心疾患が改善したという報告があった。
 また,ドイツ(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン)の研究による
と,オタマジャクシの血管に生きた藻類(クラミドモナスまたはシネコシスティス)を注入すると,細胞に酸素を供給することが可能であるということが明らかになった。
 残念ながら,人間での実用化は現時点ではされていない。その理由として,葉緑体と動物細胞の共生が難しいという点が挙げられる。動物細胞にとって葉緑体は完全な異物であるため,葉緑体を動物細胞に注入したとしても,排除機構が働き,分解される。また,1個の動物細胞の中に葉緑体を入れることができたとしても,動物細胞が分裂した際に葉緑体も分配されなければ分裂後の宿主細胞は葉緑体を維持することができない。
 さらに,光合成は良いことばかりではなく,生命に必須な物質を破壊する活性酸素も発生するため,植物のような活性酸素処理機構が備わっていないと,動物細胞は光合成を起動した途端に死ぬ恐れがある。
 しかしこれらの研究結果から,人間の血管に葉緑体を持つ生物を注入することが可能になれば光合成ができると考えられる。

(2)独立栄養生物になる方法
 前述したように,人間の血管に葉緑体を注入することによって光合成ができると考えられる。つまり,自ら無機物より有機物を合成することができるということになる。
 一見,独立栄養生物であると言えるように思われるが,そうではない。人間が光合成のみで生きていくことは不可能だ。人間が必要とするエネルギーは非常に大きく,捕食も必要となる。こういった生物は「混合栄養生物」と呼ばれ,ミドリムシやクラゲ,食虫植物などが例として挙げられるが,人間がそのような方法で生命活動を維持することは困難だということがわかった。

(3)細胞壁を有する方法
 人間は脊椎動物である。体を支える骨があるため,細胞壁を有する必要がない。よって,動物細胞に細胞壁を生成させる研究は行われていないと考えられる。仮に人間が細胞壁を有した場合,体が硬くなり動くことが困難となる。

6 結論
 以上の結果から,仮説で述べた3つの特徴を満たすことは現時点で不可能である。人間は植物になることはできない。 しかし,「光合成をする」「細胞壁を有する」の2つを満たすことができれば,必要となるエネルギーが今より減少するため,相対的に「独立栄養生物である」も満たせるのではないかと考えた。 今回の探究を通して,生物の性質一つ一つに意味があり,関連性があるのだと分かった。
 さらにこれまでに挙げた研究は今後人間にも実用化されるだろう。近年では,光合成によって酸素を得ることの他に,光合成をする細菌によって癌を発見するなどの光合成治療が注目されている。東京大学大学院・新領域創成科学研究科では動植物ハイブリッド細胞・プラニマル細胞の創生を行っているとの報告があった。プラニマル細胞とは医薬品生産に用いられるチャイニーズハムスターの培養細胞やヒトのがん細胞と,ミニマム植物ゲノムを持つ原始紅藻類のシゾンを細胞融合したものだ。
 遠い未来,食糧難に陥ってしまっても光合成で補完し生きることができるかもしれない。人間が植物的要素を取り入れることによる恩恵は大きい。今回の探究では人間の植物化の可能性が見えた。


[参考文献]
1)一般財団法人日本植物生理学会
〈https://jspp.org/〉
(情報入手日 2023年2月1日)
2) Newsweek日本版
〈https://www.newsweekjapan.jp/〉
(情報入手日 2023年2月1日)
3)独立栄養と従属栄養
〈https://www.try-it.jp/〉
(情報入手日 2023年2月1日)
4)光合成動物細胞「プラニマル細胞」の創出を目指して
〈/https://www.tus.ac.jp/〉
(情報入手日 2023年2月1日)


以上は高校の探究学習で書いたものだ。

「人間の植物化」ではなく、人間として生まれてから植物になり得ることは可能だろうかというのが本当のテーマだ。私はそういうことを書きたかった。人間が植物の要素を取り入れることによってこういう利益がありますよということを伝えたいわけではないのだ。しかしこれでは全くもって倫理的でない。植物になるということは人間を辞めるということだ。しかも結論を発展させることが出来ない。だからしょうがなく「人間の植物化」というテーマにした。

結局私が伝えたかったことはなにか。
それはユニークさだ。
「私の発想って奇抜でしょう」ということを伝えたいだけのものだ。インターネットでさらっと調べてコピペして、それっぽくしているけど全くそれっぽくなっていない。植物と人間についての知識が全くない高校生が書いたチンケな書き物。
でも、やっぱり今見返してもそれなりにユニークだと思ったのでここに残しておきます。

この探究学習の発表会の時には私は既に不登校だったので参加しませんでしたけどね、トホホ

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