見出し画像

「仕事が途切れない人になりたい!」第一想起されるための強みの尖らせ方・価値の高め方

仕事が途切れないフリーランスになりたい。誰もが一度はそう思ったことがあるのでは?

取引先から仕事をもらい続けるには、「そうだ、あの人に任せようと第一想起される」ことが重要だと語るのは新規事業家の守屋実さん。第一想起されるための自己紹介のポイントや「新規事業家」と名乗るようになった背景など、守屋さんご自身のご経験をもとに、「自分の売り出し方や価値の高め方」をたっぷり教えていただきました。

※この記事は、フリーランス協会「Independent Power Fes2023」内のセッション「自分株式会社の売れる商品開発と営業戦略」の内容をもとに作成しました。

新規事業家 守屋実さん

守屋実(もりや みのる)さん
新規事業家、株式会社守屋実事務所 代表取締役
1992年ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口氏と創業。2010年守屋実事務所設立。新規事業家として活動。
ラクスル、ケアプロの立上げに参画、副社長を歴任後、キャディ、シタテル、ガラパゴス、みらい創造機構、ファンディーノ、日本農業、サウンドファン、セイビー、リベラウェア、フリーランス協会、おうちにかえろう病院、博報堂、JAXA、JR東日本スタートアップなどの取締役など、東京医科歯科大学客員教授、内閣府有識者委員、山东省経済顧問を歴任。
2018年にブティックス、ラクスル2か月連続上場。近著、新規事業を必ず生み出す経営、起業は意志が10割、DXスタートアップ革命など。

ユニークな肩書きだと、検索で見つけてもらいやすい

「フリーランスがより自分らしく自律的に生きようと思ったら、第一想起されることが大事です」と語る守屋さん。

守屋さん自身、2021年に自著『起業は意志が10割』を出版したことがきっかけとなり、新規事業家というユニークな肩書きを名乗るようになったのは、「第一想起されるため」だと言います。

「それまでは連続起業家とか、〇〇会社副社長のような複数の肩書があったのですが、どれもピンとこなくて。編集者さんから『新規事業家はどうですか?』と言われて、ずっと考えていた答えはこれだと思いました」

ネットで、新規事業家と検索すると「守屋実」と検索すると新規事業家が表示されるほど、珍しい肩書きなのだとか。この肩書きにしてからレッドオーシャンで勝負しなくてよくなり、ユニークな肩書きを名乗るメリットを感じるようになったそうです。 

「数字の人」と、覚えてもらうだけでOK

ほかにも、以下のような、自分を第一想起してもらえるユニークな自己紹介も発案されたとのこと。

何回も色々な人に話して一番刺さりやすかったのが、この算数を使った自己紹介です。万能薬ではないけれど、自分のことを説明するときに、最も相手に分かりやすく、インパクトも残せるのが気に入っています」

計算式の数字を考える際、社内起業や独立起業の数に加えて、週末起業の数も入れて、あまり硬くなり過ぎないように工夫してみたとのこと。

この自己紹介をされた人は、数字までは正確に覚えていないかもしれません。でも、「50いくつイコール何とかみたいな数字の人」と覚えてもらえたら十分だと語る守屋さん。

自己紹介の目的は、相手の記憶に残ること。そこまで持っていけるかどうかが大事だと思うんですよね」

例えば、もし似たような経験とスキルを持ったフリーランスが、自分と同じような自己紹介をしていると何が起きるでしょうか。

「そこでは間違いなく価格交渉、ダンピングが起きます」と守屋さん。そうならないための戦い方が、第一想起されるユニークな存在になることなのだそうです。

自分の商品価値を高めるための4ステップ

「『この分野はこの人に頼めば大丈夫』と認知されるようになると、仕事が途切れなくなります」と守屋さん。そのためには自己紹介やユニークな肩書きで他のフリーランスと差別化を図ることも重要ですが、フリーランスとしての自分の商品価値を高めていく努力も欠かせません。
 
守屋さんは、新規事業家として自分の価値が高まっていく過程で、4つのステップを踏んでいたと振り返ります。

「最初のステップで大切なのはお金ではなく仕事の量です。量稽古は裏切りません。仕事を請けたら、とにかく一生懸命に頑張ります。頑張っているなと思われたら、次の仕事がもらえるからです。頑張ってどんどん仕事をもらい、量稽古をする。この繰り返しが1つ目のステップです

どんどん仕事をこなしていると、それに比例してさらにたくさん仕事が来るようになるのだそうです。中には、このような地道な努力をせずに早くお金を稼げるようになりたいと思う人もいるかもしれません。そういう人に対して、守屋さんは量稽古の大切さを次のように訴えます。

「最初の段階をはしょって、『汗水たらさずに売れるようになりませんか』と、何とか楽ができないかと考える人もいます。ですが、土台がグラグラしていると、上のステップにいこうとしても崩れてしまい、近道をしているようで結局遠回りになります

量稽古するから、”強み”に気づく

次に、頑張って仕事の量をこなしていると、ある変化が現れるそうです。

「強みがわかりやすい職種はあります。例えばお医者さんなら手術の腕がいいこと。料理人なら包丁さばきが優れていること。専門性が求められる職種は、強みがわかりやすい。でも一般的なビジネスマンであれば、はじめのうちは何が得意なのか、自分に何が合っているのかわかりません。だけど、量稽古をしているうちに『これは面白い。もしかしたらこの仕事が自分に合っているのかもしれない』といった成功体験が出てきます。そしてこれが自分の強みなのだというものに気がつきます」

たくさんの仕事の経験の中から自分の強みを見つけて磨いていくのが、2つ目のステップです。

自分の強みを生かすと、弱みを生かすよりはうまくいきそうですよね。だからどんどん仕事を引き受けて強みを磨いていく。徐々に強みのようなものが現れてきて、それを次の仕事に活かすとさらに良い結果が出る。『守屋いいじゃないか』と言われて余計仕事がくるようになり、さらにその分野に強くなる。良い循環が生まれてきます。それを繰り返していくうちに、強みがとんがってわかりやすく出てきます

ただその中でもより際立って世間で第一想起されるようになるためには、強みを広げすぎてはいけない。『広くなんでもできます』だと第一想起されないんです」

フリーランスが第一想起されるためには、この分野はこの人が一番だとわかるように、強みを尖らせていくことが大事なのだとか。

「3つ目のステップに入ると、強みを生かせる仕事をどんどん依頼されるようになります。それと同時に、私の元にいろんな人が集まってきました。私と一緒にいると仕事がうまくいくとか、教えてもらえるとか、単純に楽しいとか、一緒に仕事をしたいと思ってくれる人たちが集まってきてくれたのです」

外から見えるぐらい強みがとがった守屋さんの周りには、一緒に新規事業をしたいと思ってくれる人たちが集まってきて、次第に仕事の生態系のようなものができていったとのこと。

「最後の4つ目のステップではお金にも恵まれて制約条件が取り払われて、自由なことにチャレンジできるようになります。この段階は仕事が仕事ではなくなり、仕事が挑戦になる時期です。
この時期になると、個人では戦力不足で受けられないような大きな仕事も舞い込んできます。そんなときも3つ目のステップで生態系ができているので、チームを作って自分の強みを生かしたことにチャレンジすることが可能になルのです」

「こうなってくると、相当フリーランスとして強い」と守屋さん。心の底から、フリーランスとして自立してやっていますという状態になれるのだそうです。

自己紹介をまとめるメリットは、経験の可視化

自己紹介をブラッシュアップすることのメリットは、「第一想起される人になる」だけではありません。A4サイズの「自己紹介資料」を常に持ち歩いている守屋さん。独立起業してラクスルやケアプロを立ち上げる直前に書き始めたそうで、毎月更新しているのだとか!

「打ち合わせで自己紹介資料を使うたびに、新たに書き足したい部分が出てきます。説明するたびに、伝わりづらいところや、不足しているものや、内容は良いけど説明に時間がかかるので2ページに分けておこうとか、いろんな改善点が見つかります」

常にブラッシュアップを忘れない守屋さんは、自己紹介資料としてまとめることのメリットを次のように語ります。

「自己紹介をまとめることは、自分の宣伝材料を作ることだけではなく経験を可視化するためにも有用です
 
日々新たな経験と実績を蓄積していく守屋さん。多忙を極める中でも、自己紹介資料の更新を怠らないからこそ、「新規事業家」の第一人者として活躍し続けている所以なのではないでしょうか。

取材・文/小日向佑月
編集プロダクション勤務、公認会計士資格取得を経てライターに。2014年よりWebメディアを中心に活動中。お金・会計・税金・働き方に関する記事を執筆。2003年より札幌在住。趣味は家庭菜園と読書。さとゆみビジネスライティングゼミ3期生。2児の母として教育や家族問題にも関心あり。https://twitter.com/yuzukohi_writer
https://note.com/joyous_aster332
撮影/鈴木江実子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?