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「リゾートでリモートワーク」だけが、ワーケーションではない、と気づいた話

こんにちは。昨夏、萩市で子連れワーケーションをして以来、すっかりハマっている編集部のコダマです。

いやはや、世の中予測不能とは言われますが、想定外だったのは、ここ最近のワーケーションの過熱ぶり。

それまで、「フリーランスだからワーケーション行けるんでしょ」と若干冷ややかな目を背中に感じながら、アウェイ環境の中で普及活動をしてきたわけですが、今年は、な、なんと、あの『現代用語の基礎知識』が選ぶユーキャンの「新語・流行語大賞」にもノミネートされているのだとか!!

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なんという追い風でしょう。まさか、「あつ森」や「アベノマスク」の対抗馬となるとは……。我が子の成長を見守る母のごとく、小鼻を膨らませている筆者なのでございます。

と、前置きはこれぐらいにして、今回、このコラムで何を伝えたいかと言うと、「ワーケーションをブームで終わらせたくない!」ってことなんです。

GO TOキャンペーン施策も重なって、SNSでワーケーション体験者の投稿を目にする機会も増えました。それはとっても喜ばしいこと。
ただ、日本において、まだワーケーションの定義が定まっていないうえに、それが浸透もしていないため、明らかに観光ツアーっぽいものがワーケーションツアーと謳われていたり、リゾートライフも満喫できて仕事の生産性も上がるあの働き方でしょ、と期待が大きく膨らみすぎてしまっていたり。
言葉だけが一人歩きしてしまっているように感じる、昨今です。

かく言う、私も先月まで、ワーケーションを「非日常の場で日常の仕事をリモートですること」と狭義に捉えていました。
気づいたのは、2泊3日の「ワーケーション視察ツアー@兵庫県新温泉町」にの参加したことがきっかけでした。

その気づきを与えてくれたのは、一緒に視察した仲間たちです。
参加した仲間は、普段の生活では出会えないような他業種の人たちばかりでした。寿司職人、日本酒ソムリエ、研修事業経営者、和菓子屋さん、映像クリエイター、音楽コンポーザーなど。その人たちにとってワークは、私の想像していたワークより、ずっとずっと広義だったのです。

寿司職人にとっては、地元の美味しい魚を発掘できることもワーク。
酒屋さん&日本酒ソムリエにとっては、地元の酒蔵をまわることもワーク。
音楽や映像クリエイターにとっては、地元でしか見られない景色や音と出会えることもワーク。
研修事業の経営者にとっては、地域課題を解決する研修の企画を発想することもワーク。

つまり、これだけ職種によってワークの定義が変わるのであれば、リモート環境の整備だけが、ワーケーション先の魅力向上に繋がるわけではないのです。もちろんリモート環境は大事。でも、それだけが最重要課題ではないのです。

その土地でしか見られない景色、音、匂い、光、空気、そして人との出会い。それらを、暮らしながら、働きながら、感じることができるのが、ワーケーションの真の価値であり魅力なのだと思いました。

以前、自治体の方に「どうしたらワーケーション先としての魅力が上がりますか?」と聞かれた際、リモート環境の重要性を語ってしまったことがありましたが、この場を借りてお詫びしたいと思います(ぺこり)。

「ワーケーション先として魅力的かどうか」は、職種によってさまざま。加えて、本人の捉え方次第でいくらでもワークにすることができることも分かりました。

たとえば、編集や執筆を生業にしている私の場合、地元の課題に触れたり、地元の面白い人と出会ったりする中から、新しい企画を発想することができました。

つまり、たとえリモート環境が現段階で十分に整っていなかったとしても、打ち出し方次第では、今のままで、誰かのワーケーション先候補になり得るのではないでしょうか(むしろ、リモートワーク環境を整備することだけに頑張ると、他の地方との差別化にならずに埋もれてしまうので危険!)。

ワーケーションの価値とは、「ワークとバケーション両方楽しんじゃおう」という表面的な話ではなく、越境経験をすることで、イノベーション創出だったり、社会課題解決だったり、もっともっと可能性を秘めたものなのだと思います。

そんなことを考えながら、昨日、「【働き方をアップデート!】ワーケーションって楽しいの?そのメリット・デメリット~働くを考えるvol.2」のイベントを拝聴。最近、noteの投稿を見つけて気になっていた、関西大学社会学部教授の松下慶太氏も登壇されていて、非常に面白い内容でした。

そこで発表された「ワーケーションにおける活動の整理」が非常に分かりやすかったのですが、松下氏がnoteにも公開されていたので、そちらを引用にてご紹介(表の解説は省きます。元記事をご参照ください)。

ワーケーションの活動の整理

この表は、主にオフィスワーカー向けの分類になると思いますが、オフィスワーカーだけでも4つに分けられるほど、ワーケーションの「ワーク」には、いろんな活動が内包されていることが分かります。

だからこそ、松下氏は次のように締め括ります。

実際はどれかだけではなく、混じり合いながら過ごしていくことも多いかと思います。しかし「とりあえずワーケーションにいって普段の仕事をする」ではなく、出かける前にどういったものをしようかとイメージしていくと思っていたのとは違う、ということが少し和らぐのではないかと思います。

いやー、共感しかありません。
こうやって、ワーケーションを広義で捉え、それを発信していくことが、ブームで終わらせないために必要なのでしょう。ということで、その発信をこちらで続けたいと思います!!


執筆:児玉真悠子
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・ フリーランス協会 地方創生チーム&フリパラ編集部株式会社ソトエ代表取締役、一般社団法人日本ワーケーション協会公認ワーケーションコンシェルジュ。
ビジネス系出版社を経て、2014年にフリーランスの編集&ライターとして独立。以降、子どもの長期休暇中に、自身の仕事を旅先に持っていく生活へ。各自治体の発信業務に関わる中で、「地域・大人・子ども」にとって三方良しの親子ワーケーションの可能性を感じ、株式会社ソトエを創業。現在、「親子deワーケーション」の企画・運営・発信事業を通じて、仕事と子育てをどちらも大事にできる暮らし方を普及すべく邁進中。twitter@mayukoda


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