闘病記(38) イニシャルb
入院している患者に、
「病院にあるものや入院生活に関係するもので、bから始まる英単語を1つ言ってみてください。」
と質問したとしよう。(無茶振り以外の何物でもないが)どんな答えが返ってくるだろうか?(この際「うるさい!」「知るかそんなもん!」といった反応をする入院患者は1人もいないと仮定します。)
自分が考えるに、圧倒的な第1位は「bed(ベッド)」ではないかと思うのだ。そして第2位が、「bath (お風呂)」とか「bathroom(お風呂場、トイレ) 」ちょっと変わったところで、「breakfast(朝食) 」辺がランクインしてくるかもしれない。
冒頭なぜこんなまどろっこしいことを書いたかと言うと、自分が答えるであろうbから始まる単語は、誰もが想像できるものでは無いだろうと言う自負があるからで、別の言い方をすれば・・ってますます面倒くさい話になってますね、すみません。はい、本題に入ります。
「自分にとって入院生活でbから始まる単語のものと言えば
・・・balloon です!!」
どうだろう? この答えを想像した方がいただろうか?
balloon=バルーン。
それは自分の意思で排尿をコントロールすることができない状態にある患者のための処置である。尿管に管を入れ(カテーテルとも呼ぶと思う。多分。)出てくる尿は体の外の袋にためる。(一見、厚手のビニール袋のように見える、特殊な素材の袋のようだった。)
体外に排出された尿が袋に溜まっていくと、袋が徐々に膨らんでいく。それがまるで風船が膨らんでいく様に見えるためバルーンと言うのだろうなと自分は勝手に思っていた。実際のところはわからない。今でこそ悠長に、あの処置がバルーンと呼ばれる由縁を考えたりできているけれど、入院当時は何かと大変だったのだ。看護師さんから
「バルーンは、取れるまでは自分の体の1部だと思って扱ってね。」
と言われたにもかかわらず、寝相が悪いせいで管を絡ませて、袋に近い根もとの部分から引きちぎったこと数回。内股にテープで固定されている管を「痒くてたまらん!」と、寝ぼけて引き剥がすこと数回。なぜだか、腰の接合部から管を抜きベッド柵に尿をためる袋をぶら下げたまま(もし尿が出たらその辺に撒き散らす状態で)車椅子に乗ってしまい、結構な騒ぎになったこと1回。
バルーンが早くに外れてさえいれば起こらなかったことばかりなのだが、「自分の意思で排尿する。」と言う事はとても難しいことだった。なぜなら自分には右半身の感覚がなく、それはつまり「右半身で尿意を感じることができない。」ことを意味するからだ。
「ではどうやって尿意を感じとることができるようになったか?」「どのようにしてバルーンを外せたのか?」などなど詳しいことについてはまた次回以降で。
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