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二大学派による仁義なき戦い ウォール街のランダム・ウォーカー第1章(バートン・マルキール)

私たちは、一般の投資家はとてもプロの投資家にはかなわないと思っている人が多いいと思います。
しかし、「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、個人投資家は、専門家以上に優れた運用成果を上げることが出来ると述べられています。

そもそも、ランダム・ウォークとは、「過去の動きからは、将来の動きや方向性を予想することは不可能である」ということを意味する言葉です。
いくらプロの投資家がチャートを読み解いたところで短期的に株価を予想することはできません。
このランダム・ウォークの中では、個人投資家もプロの投資家も優位性はありません。このランダム・ウォークの中で、いかにして投資を行っていくかがとても重要になってきます。

1,投資と投機

資産を運用していく中で、投資と投機の違いを理解することが大切です。
投資とは、配当や賃貸などの確実性の高い形で利益を得るもので、長期で保有していく資産を買うことを言います。
一方、投機とは、リスクが高く、短期で利益を出せる商品を取引することを言います。
私たち個人投資家は、投資により、利益や利益を出すための期間を合理的に予想できる取引を行うことで資産を増やすことが出来ます。
私たちにとっては、投機ではなく投資をすることでじっくりと着実に資産を増やし続けることが重要です。

2,二大学派「ファンダメンタル価値学派」と「砂上の楼閣学派」

株式投資は、主に二つの学派に分かれます。
一つ目は、「ファンダメンタル価値学派」と呼ばれる学派であり、もう一つは「砂上の楼閣学派」と呼ばれる学派です。

「ファンダメンタル価値学派」は、ファンダメンタル(本質)と呼ばれる絶対的な価値があり、現状分析将来予測により推定できると主張する学派です。
市場の価格が、このファンダメンタル価値を下回れば購入し、上回れば売却するチャンスだと考えます。
現状分析を行うことは、公表されている情報から分析することが出来ます。しかし、ファンダメンタル価値の難しい点は、将来の予測をするときに、はっきりした根拠のない予測に依存してしまいます。この点において、ファンダメンタル価値を予測することは難しいと考えられています。
ウォーレン・バフェットは、この手法を用いて長期にわたり伝説的な投資成果を上げてきました。

一方、「砂上の楼閣学派」は、心理的要素を重視する学派です。
この学派は、大衆の希望的観測が株価に組み込まれるので、大衆心理を利用して一歩先に取引を行うことで利益を出そうとすることで株価が動くと考える学派です。
この学派は、ケインズが引っ張ってきた学派で、ケインズは「将来を予測することは不可能で、実際に将来に取引されるまで株価は分からない」と主張します。
しかし、ケインズも「ファンダメンタル価値学派」の現状分析を行うことの優位性は認めています。

二大学派である「ファンダメンタル価値学派」と「砂上の楼閣学派」は相反する立場であり、現代でもこの二派が争いあう構造が続いています。
これらの学派は実際に投資において意味を持つのか本書では検討を行っています。
今後、実際にはどのような要因が株価にとって重要なのか述べていきます。


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