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スタートアップ退職の有休消化中、コムデギャルソンの「青山バッグ」を買うために時間を使う。

5年半勤め、最後には執行役員をしていたベンチャー企業を辞める決意をし、有休消化中の夏休み。こんなに長く何もしない(無職)なのは久しぶりなので、自分に何かを課す意味も込めて、心境の変化や日々の過ごし方について書いておこうかと思ったり、今だけ思ったり。

自分にご褒美、というのをやりがちだ。
何かプロダクトを頑張ってリリースした時だったり、部長に昇進した時、執行役員に昇進したときなど、節目節目で、何か欲しくなるものだ。
というか、それを言い訳に、ちょっと良いものを買いたいだけ。

執行役員になったときは、モンブランのボールペンを奮発して買った。
大人なので、人前で恥ずかしくないものを手にしよう、という想いだったが、この半年くらいは人前で字を書くことがなく、もっぱら手元のノートに何か書く程度になっている。

さて、役員就任の時はモンブラン、じゃあ今回はどうする?

この5年半はほんとうに頑張ったと思うので、「頑張ったご褒美」を考えたところ、前からほしかった「青山バッグ」が浮かんできた。

コムデギャルソンには、黒いボストンタイプの革のバッグのラインナップが多数あるが、そのうち台形のタイプを「青山バッグ」と呼ぶようだ。
かつては青山本店限定として売られており、吉田カバンの職人がひとつひとつ手作業でつくっているから量産ができず、なかなか入荷しない、してもすぐに売れてしまって、手に入らないというカバン。

いまは、青山本店以外にも銀座のドーバーストリートや丸の内などの、大きめのコムデギャルソンで買えるが、入荷日が分からず、前もって教えてももらえず、何個入ってくるかもわからない。
そのため、店舗に電話して在庫や入荷があったことを確認するしか、確実に購入する術がない。

一般的な会社員ならば、毎日電話して在庫を確認する余裕もなく、もしあったとしても仕事を抜けて買いに行くこともできず、欲しいと思ったタイミングでちょっとだけ頑張って電話をしてみるけどなかったら諦める、のが普通だろう。

しかし、今の私は「一般的な会社員」ではない。
有休消化中なので企業に在籍はしているものの、はたから見たらただのニートである。
何時でも電話ができるし、飛んで今すぐ店舗に行くことだってできる。
なんならスッピンでもいいんだし、幸いどの店舗も家からそう遠くはない。

これはチャンスだ、今しかない、と思い、
それから数日間は青山バッグを買うことに専念した。

近隣3店舗に午前中から電話をかけ、入荷がないと言われては、いつごろかの探りをいれる、をくりかえす日々。
入荷がないといわれてはネット検索で入荷タイミングや過去に買った人の日にちから入荷の曜日を推測。
いつ「在庫あります」と言われてもいいように午前中には極力予定をいれず、どの服をきるかや家を出るまでの行動をシミュレーション。

そして3日目、ついに「在庫あります。2つ・・」と言われて、胸が躍る。
移動中に売れてしまう恐怖に煽られながら、シミュレーション通りの服に着替え、最短で店舗に辿り着き、
ついに手元に、「青山バッグ 下から2番目に小さいやつ」がきた。

嬉しい。
3日間で済んでよかったが、終わりなき旅であったので、もしかしたら一週間以上これを繰り返していたかもしれない。
でもそれでもいい、だって自分にとっては有意義な時間なのだから。
たとえ、暇なのね、と思われたとしても、実際表面的にはそうだとしても、
この時間すら、自分で働いて勝ち取ったものである。
そうだ、そういうことにしておこう。

ネットにはいつ購入できるかなどの体験談などがあまりなく、「何度も店舗に通いました」という投稿も見かけたが、今回の電話攻勢によってなんとなくタイミングなどの情報を得ることができたので、いつかだれかから聞かれたら教えてあげたいと思っている。

そんなみんなが働いている平日の、有休消化中の行動。

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