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アートの価値ってなんだろうか

よくありそうなお題だが、やはり避けては通れない重要なテーマだと思うので、自身の考えをまとめていきたいと思います。

ただ今回はアウトラインというか考えの全体像を理解してもらうに留めるつもりでそれぞれの細かい考察はそれぞれ記事化していく予定なので、気長にお待ちください。

今回の結論

結論から言ってしまうとアートの価値は人それぞれで絶対的なものはない。つまり「あなたが目の前にあるアートに価値があると思えば、それは価値あるアート」なのだ。
こう言ってしまうと「あーこいつ何も考えてないで適当なことを」となってしまうと思うので、もう少し掘り下げていきます。

アートの価値は3つから構成されてる

アートの価値は以下の3つによって構成されていると考えています。

1. 市場価値
2. 要素価値
3. 礼拝価値

1はわかりやすいと思うがよく目にする「誰々の作品がいくらで落札された」という「価格」を中心とした価値だ。

<参考記事>
100億円で落札された「ラビット」と美術家ジェフ・クーンズ
ダビンチ作? 今どこに? 謎呼ぶ500億円の絵画「サルバトール・ムンディ」

脱線するが作品一つの最高価格はダビンチの「サルバドールムンディ」で約500億円。落札者は明確ではないもののアラブ首長国連邦(UAE)の文化観光局が保有しているとのことらしいがイスラム圏でキリストが描かれた作品が保有されるというのはアートの凄さを感じるところ。

話を戻して、市場価値はその作品の希少性や状態、過去の保有者などが考慮されるわけだが、多くの場合は「セカンダリーマーケット」の話。
セカンダリーマーケットって何?というのは省きますが、いわゆるオークション形式で2名以上の人が欲しいとなれば価格が上がっていく仕組みです。つまりセカンダリーでは「オークションに参加する人」に価格が依存されるわけです。
同じ作家で同じような時期の同じような構成、色味の作品が年ごとに価格が大きく変わるということは普通に起こることです。

次に要素価値。
要素価値と言う言葉はアートという文脈において一般的な用語かはわからないが、その作品に使われる素材や技法、構成など作品に物質的、構成的に内包されているものが作品に付与する価値のことである。
例えば「なんかわからないけど、見やすい絵」というのがこの要素が影響しているのだ。
構成が際立っている代表的な作家としてはピカソが挙げられると思う。

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うまいとか下手とかではなくピカソの作品は見やすい。
自分の中で最も尊敬するアーティストの村上隆さんは著書で「スキャンしやすい」という表現を使っていたが、まさにその通りだと思う。
ピカソの絵って誰でも描けそうじゃんと思わせるところが人々の作品に向けられる目線をコントロールし、飲み込みやすく(好き嫌いではなく)しているのだ。
こうした匠さがアートといえば必ず名前が出てくるぐらいピカソを有名にしたポイントだと思う。
ただ、要素価値を理解しようと思うとアカデミックなバックグラウンドがないとしんどいところがある。ある種アートのエリーティシズムの核をなしているものだと考えている。

最後に礼拝価値。
これが最も意味不明だと思うし、アート業界においてもこうしたアプローチを明言している人はいないと思う。多分ね。
礼拝価値とは「個人の体験や作品、作家とのコミュニケーションを通じて内面から湧き出る価値」といったものだ。
例えばアートに限らず音楽でも演劇でも、その作品に触れることで「目が離せなくなる」「涙が出る」といったポジティブな意味でもネガティヴな意味でも心を騒つかせたり、癒されたりする感覚は礼拝価値が見た人にとって高いと言える。
ここでなぜ「礼拝」という言葉を用いたかここでの詳細な説明は割愛する。

冒頭で「アートの価値は個人が決める」といった趣旨はこの礼拝価値が大きなウェイトを占めている。つまりアートの価値形成においては礼拝価値が一定の存在感を持たなければならないのだ。

3つの価値のバランス

現在のアート業界におていは市場価値がアートの価値を決め、その価値が高いとされた一部のアーティストがアート界の全てのような状態になっている。アート業界に詳しい人には「いやいやそうじゃない、もっと色々な作品が注目されている」と反論もあるだろう。

はっきり言いましょ。

「そんなん知らんで、みんな」

これが僕の正直な感想というか側から見たアート業界のリアルだ。

こうした現状を変え、アートが持つ機能を最大限に発揮していくためのアプローチが礼拝価値を高め、3つの価値のバランスを整えることなのだ。
ただはっきり言いたいのは市場価値がダメで礼拝価値が優位なのだというわけでない、あくまでバランスなのだ。むしろ市場価値を理解しないことがアート後進国日本を生んだ原因と考えると、重要な要素であることに間違いはない。

またそれぞれの価値の考察は次回以降に。

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