設計料は何のためにある?【コラム】
皆さん、こんにちは。谷崎です。
フリーダムアーキテクツのような設計事務所は、建築費用ではなく、設計料をいただいて仕事をしています。
家を建てるための費用が建築費用だとすると、設計料とは一体何に対する費用なのか、きちんと説明を受ける機会は意外と少ないのではないでしょうか。
しかし、料金として支払うからには、その本質をきちんと理解し、相応な価値があるかどうか判断出来るようになるに越したことはありません。
今回は、設計料についてその存在意義や価値について、考えてみたいと思います。
設計料の正体
設計料の正体を一言で言ってしまえば、目に見えない経験に対する価値だと言えるでしょう。
完成した図面の対価が設計料、と思われがちですが、それだけではありません。
会話をする中で、潜在ニーズをくみ取り、そのニーズを満たすような提案をしてくれる、という体験こそが、設計料の価値なのです。
美容師さんを指名するときも、似たような感覚があるのではないかと私は考えています。
指名した美容師さんに対して、髪を切ったり染めたりしてもらう、ということはもちろん前提として求めていますが、それだけではなく、「こんな雰囲気にしたい」という希望に対してアドバイスをくれる、似合う髪型や髪色を提案してくれる、ということに価値を感じ、お金を払っている、ということです。
設計についても、言った通りに図面を書いてくれるのではなく、自分のライフスタイルをしっかり理解した上で様々な提案をしてくれる、という経験に価値を感じて初めて、設計料が支払われるということが本来のあり方ではないかと考えます。
経験出来ない難しさ
潜在ニーズをくみ取るようなヒアリングをし、的確なアドバイスをする、ということが設計料の価値ということを前半にお伝えしました。
しかし、なかなかイメージはつかないのではないでしょうか。
それは当たり前のことだと考えています。なぜなら、設計者との家づくりは人生において何度も経験出来るものではないからです。
仮に、繰り返し様々な設計者と話をし、何度も家づくりをすることが出来れば、「あの提案は良かった」「こんな提案をされたけどあまり満足は出来なかった」という知見が自分の中に積み重なっていきます。そうすることで、判断基準が自分の中に作られていきます。
自分の中に作られた判断基準をもとに、良い提案が分かったとしたら、それに対してお金を払うこと、つまり設計料の価値を実感することが出来ると考えています。
しかし、あくまで「何度も家づくりを経験出来たとしたら」という前提になるので、最初から設計料がどのような価値をもたらしてくれるか、ということを心から理解するのは難しいことです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
日常的に受けるサービスの良し悪しを判断するように、設計料の価値を判断する、ということは難しいことではありますが、設計料は本来どのような価値に対して支払われるものなのか、ということを知っているといないとでは大きな差があるのではないかと考えています。
皆さんの家づくり、あるいは設計者としての価値提供に役立つことがあれば幸いです。
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