クレジットカードの洗礼(52歳の田舎のおばさん留学記18)
2017年当時、地元の田舎地域の「現場」では、金銭のやり取りにカードというものを使うことがほとんどなかった。
生活に電車が入り込んでこないので(車社会)、Suicaなどとも全く無縁である(当時)。
使われていたのは、せいぜい、店舗ごとにハンコを押す紙のカードぐらいである。
クレジットカードを使う機会も、もちろんなかった。
持ってはいた。ネットショッピングで使うし、某オンライン英会話スクールの支払いがPayPal だったので、そこに紐づけたりもしていた。
でも、店頭で使う機会がない。持ち歩かない。
クレジットカードは2枚持っていたのだが、渡米を前に暗証番号がどっちがどっちだったか不安になり、カード会社に確認をしたほど、使っていなかった。
しかし、飛行機でアメリカの地に降り立つと、カード社会(当時)のアメリカの洗礼はすぐに訪れた。
シカゴ・オヘア空港で飛行機を降り、そこからシカゴの街中のホステル(ホテルは高くて手が出ない)に行くには、まず、ブルーラインと呼ばれる列車に乗って、街へ行く(一番安い方法)。所要時間は45分ほどである。
入国手続きで、必要な書類が預け荷物の中にあって、冷たい顔をされるとか、
目の前のおっちゃんが、警備スタッフに抱えられて運ばれていくとか、
スーパーのバックヤードに入るようなドアを通り、あまりにも長いブルーラインへの地下歩道をひたすら歩いて不安に苛まれる、
というような、精神的打撃を受けつつ、ブルーラインの駅に来ると、そこにはチケットベンディングマシーーーンがあった。
もう、視界がグルグルである。
一瞬で英語を読み取るような力もないので、時間がかかりそうだ。
後ろから来たお姉さんに、順番を譲り、
やり方を注意深く見守る。
ここで、重要な告白なのだが、
私は当時、安いiPhoneに乗り換えたばかり(奨学制度の合格が出る前)で、これがSIMを入れ替えられないやつで、wifiが繋がっている場所しか使えなかった。
大枚払ってでも、最新式のiPhoneにするべきだったのだが、とにかくお金がなかったので、そこをケチってしまった。
ということで、「突然何かを知りたくなった」時は、アナログ的な方法に頼るしかなかった。
ここでは、お姉さんに順番を譲らず、お姉さんのご指導を仰げば良かったのかもしれない。「おねえさん」だったんだし。
でも、しかし、私は新幹線も通っていない田舎からの旅で、すでにエネルギーは切れ気味だったのだ。知らない方に英語を話してこの場を凌ぐ元気がなかった。
なるべく現金を使いたくなかったので、クレジットカードでいく、ことにしたのだが、
クレジットカードを入れる向きがわからない、というところから始め、
何度かキャンセルボタンを使ったものの、
クレジットカードでチケットを買うことに成功。
ようやく私は、アメリカで暮らし始める人になったようであった。
降り立った駅はどこであったろうか。
大きな駅は迷うから、と、小さめの駅で降りたかもしれない。
スーツケースは大きいし、もう疲れているので、歩こうとは思わず、タクシーを使うつもりだった。
そこで、事件は起こった。
すぐに捕まえられると思ったタクシーがなかなかないとか(当時すでにアメリカはUber(車の方)がかなり使われていたので、タクシーが減っていたのかも)、
「タクシーはどこに走っていますか?」と店の人に聞くくらいなら、もう、ホステルまで歩いちゃった方が早かったと後から気づいたという事件を乗り越え、
確かこの辺り↓からタクシーに乗った。
「君さっき、タクシーを止める時、手を振って止めただろ? あれだとわからないんだよ。ほら、あの男の人を見てごらん。(男性が歩道から車道に向かって、指をチョキの形にして、おでこのあたりから挨拶をするように上に振り上げている) タクシーを止めるときにはああいうふうにやるんだよ」
と、楽しくお話をしてくれていた運転手さんだったのだが、
ホステル前で降りる段になり、雰囲気が変わる。
支払いのためにクレジットカードを読み取り機に入れるも、反応しないのだ。
私「あれ、なんでだろう」
運転手さん「ちょっとリセットするから、待って」
私「これ、スライドすればいいんですよね?」
運転手さん「そうそう、そういうふうに・・・」
私「向きが逆なのかな・・・(←自信がない)」
これが、何度やってもやっても反応しない。
運転手さん「まだ?!」
私「あの、現金で支払うのダメですか。現金あります」
運転手「(泣きそう)記録が報告されるから、機械でやらないとダメなんだよ!」
私「なんでだろう。なんでだろう。(半分パニック)」
運転手「時は金なり、っていうだろう?! はやく!(泣きそう)」
私「さっきのブルーラインで使えたんだから、このカードは使えるはずなんですよ・・・」
そして最後は
運転手「君、アメリカシカゴに来るの初めてなんだろう? もういいよいいよ!(投げやり)もう降りていいよ!無料にするからっ!!」
私「え・・・。でも、少しはじゃあ、受け取ってください(チップを渡そうとする)」
運転手「(投げやりに)いらない!いらない!」
この↑写真の右角、黒い車の曲がっているあたりの少し手前で、
よろよろとタクシーを降り、
なんだか、もう、ボディーブローを受け続けたボクサーのように
ヘロヘロと、ホステルのカウンターへ行った。
なんか、もう、うまくやろうとか、何もかもどうでも良くなっていた。
ここは外国からのお客さんが多いから、私の拙い英語もきっと拾ってくれるはずだし・・・
私「ここ、って、クレジットカードで払うんでしたっけ?
今さっき、タクシーで、なんか機械がカードを読み取ってくれなくて、運転手さんちょっとキレちゃって・・・(泣きべそ52歳めがねアジアン女性)」
スタッフ「ああ、ああ。よくあることだよ。気にしなくてOK!」
よ、よくあるの?
そうなのか・・・・。
エレベーターの中でも使わないと指定階で降りられないホステルのキーカードを受け取り(そんなのも初めてだった)、
日本の田舎からの旅で、枯渇した最後のエネルギーを絞り出して、ホステルのシステムを聞き取り、
部屋に入って、
ようやく、寝床にありついた。ああああ〜〜〜〜〜
教訓32;日本の田舎の支払いシステム<<日本の都会のシステム<<アメリカのシステム 慣れてないんだからしゃーない!
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