保険会社の担当者に翻弄された〜意味不明で死んだ〜(52歳の田舎のおばさん留学記11)
写真は、忘れもしない2017年の東京某地女性用カプセルホテル。「近未来みたーい」とかなんとか、ちょっぴりはしゃいだ気分で撮ったものでしょう。
ここで、深夜と早朝に、52歳のおばさんは挫けそうな心と戦いながら、英文メールを打ってアメリカの保険会社とやりとりしてました・・・。忘れられない・・・。
当時のメールのやりとりを読み返すと、今でも胸が痛む。おばさん(私)カワイソス。
健康保険申し込みの期間を間違える
孤軍悪戦苦闘しながら、なんとか某健康保険会社に申し込むと決め、
websiteのフォームから健康保険の申し込みをした(英語)。
保険開始日を入力して、リターンキーをパン!と押す。
あれ? 保険終了日の入力画面が出ない。
そして画面には契約内容が・・・。
ん?「申し込み内容の確認」画面かな? それにしても金額、高くない?
え、どうして? どういうこと?
・・・・?
あーでも、こーでもと、画面を読み解くと、
どうやら私は1年コースに申し込みを行い、契約が成立してしまったらしい。
おそらく、申し込みフォームが既に1年コースで設定されており、そこに開始日さえ入力すれば良い形式になっていたと思われる。
慣れない英語フォームで、私はそこまで気が払えなかったのである。
2ヶ月で良いところを、12ヶ月分も保険料を支払うことになってしまっていた。
年齢的にお高いのに!
ちょ、ま、
キャンセル!キャンセル!
どうやって、キャンセルしたらいいの?
あっちを見て、こっちを見て、(日本の契約もキャンセル、ってわかりにくいところにありますよね)
どうやら、キャンセルにはメールをする必要がある、ということがわかった。
げー!
いきなりハードル高!
ここで、財団に相談すれば良かったのだ、と、だいぶ後になってから気が付いたのだが、
テンパっている上に、
下手に年齢が高いので、保険の契約なんぞ、一人で行うもの、という先入観がある(先入観?)。
オンライン英会話でちんたら英会話していただけの私が、いきなりアメリカ在住の見知らぬ労働者とメールでやりとりである。アメリカ実社会の人と英語を介してやりとりするのは初めてなのだ。
でも、最初のメールを送る時は、すぐになんとかなる、と楽観していた。
その後1週間、毎日のようにやりとりすることになるとは思ってもいなかった・・・。
1週間。
そう、キャンセルは可能期間が定められていて、申し込み1週間以内がキャンセル可能、だったのだ。
意味不明のやりとりが続く。締め切りは迫る。英語でやりとり苦しい。
「こんにちは。恐縮ですが、私は貴サイトにて、間違った申し込みをしてしまいました。2ヶ月のところを1年にしてしまったのです。1回キャンセルしてもらえませんか?」
的なことをメールした。
その保険会社のStephanie(私のメールを受け取った担当と思われる)からの答えはこう。
「うちの保険は、最短で3ヶ月なの。じゃ、キャンセルするとして、あなたが留学する予定の大学のDSをあさっての午後3時までに送ってくれない?」
DSというのは、「この大学でこの人は勉強する予定ですよ〜」という大学から出される証明書のようなもので、ビザの申請などに使われる。
「ん? 申し込みの時はDSいらないのに、キャンセルの時はいる、ってどうして?」
おかしい、と思うも、必要だというなら仕方ない。
私、DSが何か、知ってるもんねー!という、謎の優越感が判断を鈍らせた。
が、実はこの時まだDSはもらっていなかった!
決して私が勇足で保険を申し込んだわけではなく、奨学財団とのスケジュールにそうと、そういうことになる。
あさっての午後3時というのは、こちらでは、朝6時である。
タイムリミット厳しい!
時差というのは非情だ。
向こうの労働時間が、仮に9時から17時なら、こちらは、0時から8時の間(場所による)にあらゆる人と交渉を進めなければならない。
ここで、奨学財団の保険担当のDavid(in America)に「かくかくしかじかで、DSが必要なんだって。どうしよう〜」とすぐさま書き送る(英語)。
すると、彼が既に用意してあったDSを私にPDFファイル添付で送ってくれたので、
よかった・・・と思って、保険会社に送る。
いちいち、英語を調べながら書くので時間がかかる。
保険会社のStephanieからの返事
「まーみ、ちょっと書類を調べたんだけど、キャンセルに関する承諾書類が見当たらないの。あなたはどこでこの情報を得たのか、教えてもらえない?」
はいいいいいい???
えーと、どういうことでしょうか?
私
「・・・・。えと、あの。このページを見て、書いているんだけどね?(PDF添付) 本当、ありがと。すごく感謝してる。けど、とにかく私キャンセルしたいので!お願い!」(英文メール)
自分の英語力がないために、英語を理解できないのか、
留学手続きの仕組みをわかっていないために、やり取りの内容が理解できないのか、
アメリカの社会・文化をわかっていないために、Stephanieの状況を察せられないのか、
何もかも自信がないが、なんか、おかしい・・・。
そんなやりとりの合間に、その保険会社の別の人から
「ハニー、助けが必要かい?」
という、意味不明の短文メールが送られてくる。
?
や。必要ですけど。
あんた、誰?
そんで、その態度、何?
スパム?
混乱しながら、全体の流れから予想するに、
この「助けが必要かい?」は、発信者の彼が、私を担当しているStephanieに送ったもので、
それをCc.で、私にも送っている、ということのようだ。(謎)
ふー。
私は、井戸の中のカエルなので、Cc.とかBcc.とかのついたメールや、その使い方を知らなかった。
混乱に混乱したが、
どうやら、この人の短文メールは無視しても良さそうだ。
そして、Stephanieは、誰かに助けを求めたんだね? よし、状況は好転するかも・・・。
そして、また、Stephanieからメール
「あなたの留学のアドバイザーから、この契約をキャンセルしてもいい、っていう承諾のletterが必要なんだけど」
はいいいいいーーーー?
なんで? どして?!
第一、なんで初めからそう言わない?
もうこの時点で、キャンセル締め切りは明日だよ!
守護神たる騎士、もしくは品の良い優秀な執事David、まーみ姫を助ける
冒頭の写真の説明に戻る。
私はこのカプセルホテルに、奨学財団の事前説明会に出るために宿泊していた。
でも、せっかく来たのだから・・・と、
他の予定も抱き合わせで、
記録によると、このカプセルに4泊している。
健康保険会社とのやりとりは、このtripに出る前から始まっているが、
このカプセルホテルに泊まっている間にも続いていた。
夜中の12時は眠くて頭が働かず無理だが、その前にメールは送っておき、
なんとしてでも6時前に起きてメールチェックをして、すぐに答えられるものには答える、というふうにしていた。
が、朝一番でいちいち挫けるメールを受け取り、どう対処するか?というのを考えつつ、カプセルホテルの中で、あれこれ調べ調べ、英語も調べ、カチャカチャとりあえずの返信を打ってたりした。(この時はすでに、1月の面接でアドバイスされた(?)Macを手に入れていた)
心が折れそうだが、とにかくなんとか続けていた。
が、奨学財団のletterが必要で、キャンセル締め切りが明日、ということで、
もう私は、担当のDavidに泣きついた。
「こんなやりとりがあったの! 意味不明だよね? どうしたらいいの? 焦ってます。だって、キャンセルの締め切り今日だよ!!(時間がたって”今日”になっている)」
そして、この「今日」というのは、この財団の事前説明会の日で、
Davidは日本に来ており、この日の午後に会うことになっている。
この日までに健康保険を申し込みをしておくように、ということだった(と思う)。
なぜ、そんなギリギリのやりとりを?
と思われるかもしれないが、それは、もう、知っている人は知っている、留学にはいろんな手続きがある。その上、私生活でも娘の就職先が急に変更になって、遠方に引っ越ししたり、自分が不在になるため、隣に住んでいる一人暮らしの叔父を対応可能なように施設につなげたり、といろいろな手続きをしていた。予防注射打ったり、歯の治療したりも!
もう、仕方なかった。のんべんだらりとしていたわけではない。
だから、自分を責める気持ちはなかったが、
Stephanieを責める気持ちはあった。(「適当に引き伸ばしを図って、締め切り待ってる・・・?(*`へ´*)」)
かくして、Davidは、私に返事をくれた。
「このletterを、保険会社に送って。あと、私の名前は、DaviDです。DaviTじゃないよ」
さーせんっ!!ずっとDavit、Davitと書いていました!
そして、私はそのletterを読んで震えた。
「まーみは、うちらが”キャンセルしろ”と言ったから、キャンセルしているので、よろしく!(私注;そんなことはない) 貴社とは長いお付き合いですね。いつもうちの学生のフォローありがとう。どれだけ丁寧にフォローしてくれているか、私たちはそんなこともみながら、貴社を推薦しております」
的なことが書かれていた。
怒ってる。
怒っているよ、DaviD。
そして、その英文は、本当に美しい英語で書かれていた。
美しい英語、ってどういうものか私にはわからない、けれど、このletterの英語は美しい、と思った。
その美しい英語で、Davidが静かに怒って諭しているのは、震えた。
どうしたら、こんな英語が書けるのだろう。
どうしたら、こんなふうに綺麗な言葉で諭せるのだろう。
英語学習のゴール、ってこういうところに、きっとあるんだろうな・・・
私は、カプセルホテルの個室の中で膝を抱えながら、
Davidのletterを何度も繰り返し読んだ。
気持ちが、静かに深いところに落ちついていった。
そして、保険会社へ送信した。
そしてどうなったか
「まーみの保険は、無事キャンセルしたし、払い戻しも◯日までにいたします」
保険会社の
Stephanieじゃない人から、メールが来た。
やややややたーっ!!
やりとげた・・・とほほー。
そして、その日、直接Davidに会って
DaviTの件のお詫びと、今回のフォローに対するお礼をした(英語での会話だったので、勇気が必要だった)。
「まーみには、あの会社じゃなくて、こっちの会社の保険がいいと思うよ?」
「それ、あの、見たら、私の年齢ではダメって書いてあったような・・・」
「?そうかい? でも、同じような年齢の人がそれ使っているから、大丈夫だと思うよ」
アメリカの会社、信頼できねぇ!
という気持ちMAXだった私は、
Webになんて書いてあろうとも、
Davidがそう言うのなら大丈夫だろう、
と、過日、その保険会社に申し込みを行い、無事、契約を結べたのであった。
(なんだよ、あのWebの説明〜!とは思った)
(このnoteを書き終わったら、胸が痛いのがだいぶ取れて、客観視できるようになりました)
あー、いよいよ、事前説明会の話まで来ました。
教訓22;渡米前に、アメリカの会社のやり方(?いい加減?)の洗礼を受ける可能性あり。
教訓23;日本の会社でどうメールが使われているのかすら知らなかったおばさんは、アメリカとのやり取りで、メールの使い方(Cc.の存在など)の一端を知ることがある。
教訓24;英語話者の実世界に出て、実践英語の中に、美しい英語を見ることができる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?